次にSPAの改善のため原材料調達に着手しました。
柳井の決意は「アパレルにおいては原材料を制する者が小売りを制する」という言葉によく表れています。
商社や卸などに原材料の調達を丸投げすると品質のばらつきが出てきます。また当時は原材料の調達について値段に透明性もありませんでした。
原材料のコストは製造原価の7割を占めているので、その先の染め賃、縫製賃、物流コストなどと比べ物にならないほどアパレル業界にとって重要なことであったのです。
ユニクロは原材料調達にかかわることで店舗の売れ行き状況に合わせて在庫を調整する能力を格段に高めることに成功しました。
ユニクロは原材料調達を3段階に分けて行うことができ、店舗の売れ行きに合わせて色についても2段階目までは変更可能になっているのです。
こうしたことができるのは日本ではユニクロだけだそうです。これがユニクロの圧倒的な強さを支えています。
ユニクロは原材料調達の3段階システムを持っていたおかげでフリースブームが去った後に迅速に他商品への振り替えを行うことができ、推定で数百億円規模の損失を防いだと考えられています。
(浅沼 宏和)