2012年1月30日月曜日

現代的なチーム型組織

ドラッカーの組織論は、すべての組織は職能別組織チーム型組織の組み合わせでできているというものです。

一般的にはそのように言われていませんが、私はドラッカーの著作の分析からそのように判断しています。

そして後期の著作で示された「情報型組織」とは現代的なチーム型組織です。

職能別組織の長所は安定性・継続性・経済性であり、短所は柔軟性・革新性です。チーム型はその反対になります。

さらにチーム型組織では自律性・自主性が重んじられ、各人の責任がその分だけ重くなります。多様なプロが集まる集団なのです。

以上を踏まえて情報型組織についての記述を読んでみましょう。

情報型組織は責任に基礎を置く。

‥情報型組織は、組織内の個人と部門が、自らの目標、優先順位、他との関係、意思の疎通に責任を持つときのみ有効に機能する。
したがって、情報型組織においては、みなが「いかなる貢献と業績が期待されているか」「何が責任か」‥‥を問わなければならない。

従来の組織は軍をモデルにしている。ところが情報型組織はオーケストラに似ている。

‥情報型組織は自由寛大な組織ではない。規律の厳しい組織である。それは強力かつ決定的なリーダーシップを必要とする。

‥情報型組織がもっとも必要とするものは現場からトップにいたるまで自己規律と責任の上に立つリーダーシップである。


このように情報型組織は基本的にチーム型組織の特性を持っています。



(浅沼 宏和)

ドラッカーの情報型組織とは

‥未来の組織は急速に現実のものとなりつつある。それは情報を中心とする組織、つまり情報型組織である。

  (『プロフェッショナルの条件』より)


ドラッカーの組織論は、職能別組織とチーム型組織によって組み立てられています。

しかし、後になると情報型組織という概念が提起されています。

これについて、多くの解説書も取り扱い方法に困っているようです。

しかし、よくよく文章を読んでみると情報型組織というのは現代におけるチーム型組織の理想のモデルであるということが分かります。

職能別組織が情報を媒介することで大幅に簡略化されるということ、さらに情報ベースでチーム編成がなされることであることが分かります。

このように理解すると組織編成について具体的な方法論が導き出しやすくなります。


(浅沼宏和)

2012年1月28日土曜日

チームの必要性

‥強い企業は業務の流れをリエンジニアリングし、各プロセスに責任を負う部門横断的なチームを作っている

      (フィリップ・コトラー『マーケティング・マネジメント』)


ドラッカーと親交が深かったコトラーの言葉です。

つまり職能別組織といえどもチームが必要であるということです。

しかし、ここで問題が出てきます。

職能別組織とチームは正反対の性格のものであるということです。

安定性・継続性・経済性に優れるが柔軟性に欠ける職能別組織、柔軟性に富み新たな価値創造に向くけれど安定性・経済性に欠けるチーム型組織。


ここから一つの教訓が出てきます。

完璧な組織構造は存在しない


これこそ組織論の基本原理です。

正しい組織とは成果の上がっている組織のことであり、間違っている組織とは成果の上がらない組織です。

組織の原理は単純です。実行するのが難しいのです。



(浅沼 宏和)

2012年1月27日金曜日

名刺の肩書きの意味は?

ビジネスマンの名刺の肩書きはほぼ職能別組織における位置づけを示しています。

営業主任、製造部課長、経理部長などがその例です。

職能別組織は成果から逆算したプロセスを段階別に再編成したものです。さらにそれがスキル別に分けられています。

こうした役職は安定性が高いものです。

毎日の業務はどんどん変化しているはずですが、毎日肩書きが変わるわけではありません。

こうした安定的部分がないと組織は崩壊してしまいますから、役職が明確であることは重要なのです。

しかし、それだけでは足りません。

職能別組織で定められた仕事は安定的ではありますが、仕事を大きくしていきながら地震を成長させるという面で弱いのです。

ドラッカーは「仕事は大きくしなければならない」といっていますが、それはビジネスパーソンの成長のために不可欠なことなのです。


(浅沼 宏和)

マンモスを狩るための組織、ピラミッドを建設するための組織

先日、ある会社の社員研修でドラッカー流の組織論を解説してきました。

組織論というと、なんだか複雑そうですが、ドラッカーは組織について説明しています。

ドラッカーは組織の基本的なパターンは二つであり、あらゆる組織はその二つの組み合わせによって出来上がっていると考えているようです。

一つは、古代エジプトのピラミッドを建設するために使用された組織です。今風にいうと「職能別組織」というものです。

職能別組織とは仕事のプロセスを段階に分けて、さらにスキル別に人を振り分けて組織化するものです。

目標が明確で、やるべき仕事が明確な仕事に向く組織形態です。

経済性・安定性に優れますが柔軟性・機動性・チャレンジ精神に欠ける弱点があります。セクショナリズムも発生します。


もう一つは、原始時代にマンモスのハンティングに使われた組織です。今風にいうと「チーム型組織」というものです。

機動性・柔軟性に富み、イノベーションに向いていますが、経済性にかけ安定性にも欠けています。


あらゆる組織はこの二つの混合型です。二つとして同じ組織はありません。ここを押さえておくことが組織論のかなめになります。



(浅沼 宏和)

目標のもとに違うタイプのプロフェッショナルが集結し目標を達成しようとするものです。

2012年1月23日月曜日

中企業は二流の事業に手を出して失敗しやすい

ドラッカーは企業規模を判断するために、中核的人材の数で見るべきという提言をしています。

中核的人材が15人程度までが小企業、50人程度までが中企業、それ以上が大企業です。

したがって業種や個々の企業の事情で変わってきます。

もっとも単純に人数だけで判断すると間違うので、あくまで総合的判断が必要ですが。

中企業の場合、たいていはそこまで大きくなった強みのある事業があります。

こうした場合、ついつい他の事業に手を出して失敗をしやすい点を注意しています。


中企業は二流の事業に手を出して失敗しやすい。中企業はすでにそれぞれの分野で一流である。

他の企業にはできないことを楽にこなしている。したがって自信過剰となっている恐れがある。

(「マネジメント」より)


中企業はやはり大企業に比べて資源に乏しいという問題を抱えています。ですから中企業の成功の鍵も「集中」にあるわけです。

二兎を追う者一兎をも得ずという感じでしょうか。

ドラッカーは次のようにも言っています。

中企業とは、特定の重要な分野においてリーダー的な地位にある企業である。

ということは、社員数だけで見てもいけないわけですね。

強みの状況についても考えないといけません。


(浅沼 宏和)

2012年1月22日日曜日

見えてはいるが見てはいないもの

小企業の経営資源は制約されています。

ドラッカーは特に役割の組織化を行うことが大切であると言っています。

そこで、考えるべきなのは基幹活動なのだそうです。


小企業は事業目的の実現に必要な活動が何であるかを明らかにし、それを誰かに担当させることが必要となる。

さもなければ、基幹活動のいくつかが力を入れられることなく放置されたままとなる。

‥基幹活動については誰もが口にしていながら、誰も注意を払っていないことが明らかとなる。

見えてはいるが見てはいない。そうしてほおっておいている。


(「マネジメント」より)

ドラッカーは当たり前のことであるからこそ、逆にほおっておかれてしまうのだと言っています。

基幹活動は言葉で表現して担当者を決めなければ実行されません。


(浅沼 宏和)

小企業は成功できない?

小企業にも戦略が必要であることは明白ですが、ここからドラッカーはちょっと厳しい主張をしています。


現実にはほとんどの小企業が戦略を持たない。

機会中心ではなく問題中心である。

問題に追われて日々を送る。

だからこそ小企業の多くが成功できない。


(「マネジメント」より)


小企業はあらゆる経営資源が足りていないわけですが、この話からすると最も欠落しているのが経営者の能力ということになります。

小企業が成功する理由はひとえに経営能力にかかっているということですね。


(浅沼 宏和)

小企業にも戦略は必要

戦略が必要なのは大企業だけという意見は今だによく聞かれます。

これは戦略という言葉の定義の問題であり、「誰に、どんな価値を、どのように届けるか」を決めて、その具体的実行法を明確にするのが戦略であるならば、個人事業であっても必要です。

ドラッカーは

小企業は戦略を持たなければならない。

小企業は限界的な存在にされてはならない。

その危険は常にある。

したがって際立った存在になるための戦略を持たなければならない。

有利に戦うことができるニッチをみつけなければならない。

(「マネジメント」より)


特に小企業はニッチに生きる具体策を持つということですね。


(浅沼 宏和)

2012年1月21日土曜日

利益より売り上げ③

特集を読んでいくと、グローバル競争を展開する大企業を想定した話になっています。

ドラッカー理論で考えて納得のいく部分を上げますと


1、コスト管理はコスト削減ではなく成果の最大化であるという視点が入っている

コスト削減は未来の競争力を失う可能性につながります。最も重要な商品サービスのボリュームを増やす、つまり投入資源に対する成果の最大化を目指すことが大事であるということです。


2、EVA(経済的付加価値)の否定

これは要するに短期における成果とコストの差額を大きくする視点ですので、先行投資という考え方を重視しろというは話です。
「戦略とは現在と将来のバランスをとることである」というドラッカーの視点からすると直近の利益の犠牲をどのように行うかは重要です。
先行投資なくして将来の利益はありません。


ということで、ドラッカー的な観点からするとしっくりきそうな気がします。

しかし、ポーター的に考えるとまだよくわかりません。

1、ニッチではなくナンバーワンを目指すべき

これですとポーターの言うパフォーマンスエクセレンスの追求という泥沼の戦いになるような気がします。
ニッチという概念の定義の仕方の問題のような気もしますが、誤解も生じそうです。


2、国内市場が縮小しているのだからグローバルに戦え、それには売り上げ重視だ。

企業の強みを生み出すのが産業集積(クラスター)であるとすると、海外展開は中長期的には国内を弱体化させる気もしますが、この点、まだ私も整理がついていません。



特集を総括すると、いろいろな前提仮説が入っているようで、結論としては安直な気もします。

前向きに受け取るとするならば「昔の勝ちパターンを思い出して、現代風に生き返らせろ」といったことでしょうか。


(浅沼 宏和)

利益より売り上げ②

続きです。


利益偏重経営の4つのウソ


ウソ① 利益確保こそ企業存続の条件 →ホント:縮小に均衡なし、衰退の始まり

事業が伸び悩む企業は縮小均衡に走りがち。単なるコスト削減や他社の物まねでは新規事業を展開する余裕もなく、新たな市場開拓もままならない。これでは均衡どころか衰退の一途。


ウソ② ニッチ市場を狙え →ホント:ニッチ市場こそ優勝劣敗の厳しい市場

ニッチ市場でトップシェアを狙えるのは優れた中核技術を持つ企業に限られる。市場がニッチであるほど負けると危険。「優れた技術でオンリーワン企業」というのは結果論だ。やはり目指すはナンバーワン。


ウソ③ 高付加価値が利益の源泉 →ホント:高付加価値だけではもうからない

海外市場では「高機能」「品質重視」だけではビジネスの規模は限られる。富裕層ではなくボリュームゾーンを狙うのがよい。


ウソ④ 海外市場は利益重視 →ホント:成長市場ではシェアを優先

特に成長を見込める新興市場ではまず売り上げ確保にまい進するのがグローバル企業だ。




(浅沼 宏和)

2012年1月20日金曜日

利益より売り上げ①

日経ビジネス2012.1.23号に興味深い特集がありました。

利益より売り上げ -さらば縮小均衡路線-

です。

もし、そのとおりであるならば、ドラッカーのニッチ戦略の考え方やポーターのポジショニング理論とも関係してきますので、私としては一定の整理が必要になります。

ということで、まずは日経ビジネスの特集の趣旨をまとめて、その後、検討を加えていきたいと思います。


・利益なくして企業の存続はない。だが、極端な利益優先の先に未来はないのでは?


・かつて「売上高至上主義」は日本企業の強さの源泉だった。売り上げ増とは消費者の支持の表れであり、新たな雇用を生み出す原動力。


・日本全体に漂う利益偏重。小さくまとまるムードを変える時が来た、今あえて利益よりも売り上げ重視を提言する。




・有名企業を分析すると過去5年間の累積営業利益は増収重視型(売り上げ重視)のほうが増益重視型よりも多い。


・売り上げ重視、シェア重視の経営にかじを切ることは、必死でコスト削減に取り組む日本企業に有効だ。


・目先の利益より売り上げを伸ばすことに力を入れるべき。


・持続的利益を得るために最も重要なことはトップラインを伸ばすこと。コスト削減は手を付けやすいがそれで利益率アップしても限度がある。


・国内企業は国内市場での順位ではなく、世界市場でシェア上位を目指すという気概と具体的方策が必要だ。(A.T.カーニー日本代表・梅沢氏)


・シェア拡大といった成長路線をあきらめ、短期的な利益確保に走る国内企業が増えているのは、海外勢との厳しい競争に打ち勝つための具体策が見えないという事情がある。


・マーケットの目も気になる。


・多くの企業が系絵指標として取り入れたEVA(経済的付加価値)が短期志向を生んだ。必要な先行投資が実施されていない企業は少なくない。

・利益を最大化するためにはボリュームを増やさないといけない。国内が低迷しているので、海外市場で規模を拡大するしかない。

・1960年代、米国企業の多くが利益率重視で、日本企業は売り上げ・シェア重視だった。米国企業は「三流の手法」とみていたが、その後日本企業は急成長した。

・先進国経済の不振と新興国経済の勃興というパラダイムシフトが起きつつある今、利益を優先するよりまず売り上げやシェアの拡大を追求すべき時代になった。



つづく



(浅沼 宏和)

イノベーションには10年以上かかる

先週、マイケル・ポーターの入門書の原稿ができあがりました。
こうした大物をまとめようとするとわが身の力量の乏しさを実感します。


ポーターを半年以上読み込んでいて気が付くのは、ドラッカーに似ている部分が多いということです。

最近、特に気に留めているのはイノベーションにかかる年数がどちらも10年以上ととらえていることです。

原則: イノベーションには10年かかる

ドラッカー現在のビジネスで成果を上げることを「マーケティング」 将来に成果を上げる取り組みを「イノベーション」と考えているようです。

そして、このイノベーションのためには10年単位の時間が必要といっています。

マイケル・ポーターは、競争優位は戦略的ポジションを確立することによって得られる

そして、その戦略的ポジションはさまざまな活動が組み合わさったシステム(活動システム)によって生み出されると主張しています。

強力な活動システムの構築には試行錯誤が必要であり、したがってイノベーションには長期間が必要であるといっています。

その期間が10年です。

私はポーターはかなりドラッカーを意識しているような気がしています。

いずれにしても10年計画で行うものがイノベーションであり、その間、さまざまな打ち手は実行しなければなりませんが、大筋の方向性でぶれてはいけないということです。


変化への対応と称して右往左往することはどちらも厳に戒めています。


(浅沼 宏和)

行動の意味-意識的かどうかがポイント

マネジメントの意味の補足です。

私の考えるマネジメントの定義は

外に向けて最大限の良い影響をもたらすように頭と体を意識的に使うこと


です。

頭と体を意識的に使うことが「行動する」ということです。

ここでポイントになるのが「意識的」という部分です。

無意識に行っていることは行動ではなく「動作」と考えます。

もちろん、ある成果を目指して確立された動作が必要である局面は多いでしょう。

しかし、その動作が目的意識を持って行われていないのであれば、それは惰性であって行動とは言えないものと考えます。


(浅沼  宏和)

マネジメントの定義

最近、ドラッカーセミナーをやる回数が多くなりました。
出だしは「マネジメントとは何か」なので、年初に当たり改めて定義してみたいと思います。

まず、マネジメントとは「経営する」ことではないということです。

「経営する」では具体的な行動に結びつきません。

マネジメントはもっと広い意味でとらえる必要があります。


私がドラッカーを読み込んで行った定義は

マネジメントとは「最大の成果をめざして行動する」ことです


さらに詳しくすると

成果とは 外に向かってプラスの影響を与えること

行動するとは 意識的に頭と体を使うこと

です。

つまり、改めて定義しますと

外に向けて最大限良い影響を与えるように、意識的に頭と体を使うこと

です。


とすると、「あなたが昨日あげた成果は何ですか?」と答えられない場合には、この定義からすると「意識的に」という部分が欠けているということになります。



(浅沼 宏和)

2012年1月12日木曜日

時間は最も強力な指標

ドラッカーは「まず時間から始めよ」という名言を残しています。

マネジメントは成果をあげる取り組みのことですが、現代社会では成果をあげるプロセスの「見える化」が困難です。

唯一見えるのが時間なのでここから始めるということです。

ポーターのマネジメント論は、科学的管理法の創始者であるテイラーを元にしています。

ですから当然時間重視です。


一人が年間に働く時間は普通の企業で2300~2500時間です。

これが成果の上限を定める制約です。

これより多い企業は、長時間労働による「間のび」が問題になりますし、逆に少ない場合は成果への意識の高さが問題になります。

製造業は、テイラー理論に近い業種なので結構できていますが、サービス業は緩いですね。

国際的にもそのようにいわれているようですが。



(浅沼宏和)

2012年1月8日日曜日

コメダ珈琲の提供価値は意外にわかりにくい

名古屋を中心としたチェーンの珈琲店であるコメダ珈琲の業績がよいということです。

ここ数年、浜松でも目にするようになったのでコメダの強みには関心を持ってきました。

ドラッカー流に言うならば

  1. 顧客は誰か?
  2. どんな価値を提供するのか?
  3. どうやって売り込むか?

について、漠然とはわかるのですがハッキリと言葉にするのが意外と難しいモデルと感じていました。

とあるコンサルタントは次の二点をあげています。

-地域の特色に合わせた長居戦略をとっている


-顧客満足を高めていく、商品戦略~店舗の内装やメニュー

もっと砕けた表現にした方がしっくりきそうな気がします。
ちなみに面白い分析がのっているサイトをご紹介します。


このように砕けた経営分析こそが役に立つと思うのですがどうでしょう。

(浅沼 宏和)

2012年1月7日土曜日

ポーターのダイヤモンド理論で今の日本を考える

現在、マイケル・ポーターの入門書を執筆中のため、ここ半年ほどはポーターの著作の精読に明け暮れています。

ポーターの競争戦略論は、業界への関心に始まって、「業界」⇒「活動」⇒「立地」⇒「社会」へとその重点を移しながら発展してきました。

その立地にかかわるフレームワークがいわゆるダイヤモンド理論です。

ダイヤモンド理論とは簡単に言うと、ある国の競争優位をささえる4つの重要な条件に注目することです。

4つの点を結ぶとダイヤモンドのように見えるのでそのように呼ばれています。

その4条件とは

1、要素条件‥ヒト・モノ・カネや物流・科学技術等のインフラ。質と専門性の高さがポイント
2、需要条件‥国内需要の質と量。特に高レベルの要求をする顧客がポイント
3、関連産業・支援産業‥周辺の産業のレベルの高さがポイント
4、企業戦略・競争‥お国柄に合った経営スタイルがポイント

です。

日本の場合、

1、資源の少なさを克服しようと頑張ってイノベーションを起こした
2、世界一要求水準の高い消費者
3、すそ野の広くレベルも高い下請け企業群の結束
4、「日本式経営」と呼ばれる独自の経営スタイル

がピタリとかみ合った高度経済成長期に一気に先進国に登りつめました。

しかし、現在、これらのすべてが崩れつつあります。

1、ハングリーさを失ないつつある労働者
2、ガラパゴス化しつつあニーズ
3、急速な海外シフトによる下請け企業群の解体
4、時代の変化への経営スタイルは経営環境の不対応

とまとめることができると思います。

こうして論点を具体的にして取り組むのが政治の役割であり、企業が行うべき貢献でしょう。


(浅沼 宏和)

2012年1月5日木曜日

ハーバード大生の時間についての教訓

ハーバード大生の時間意識の高さがあまりにすばらしいので転載させていただきました。
右は朝の4時の図書館の風景だそうです。

下記の項目はその図書館の壁に貼ってあるそうです。





⒈今、居眠りすれば、あなたは夢をみる。今学習すれば、あなたは夢が叶う。


⒉あなたが無駄にした今日はどれだけの人が願っても叶わなかった未来である。

⒊勉強に励む苦しさは今だけであり、勉強しなかった苦しさは一生続く。


⒋学習は時間がないからできないものではなく、努力を欠くからできないものである。


⒌時間は絶えず去りつつある。

⒍勉強する時間が足りないことは決してない。努力が足りないだけである。

7.幸福には順位はないが、成功には順位がある。 


8.学習は人生の全てではないが、人生の一部として続くものである。


9.学習する事が人生の全てとは言わないが、学習すらできぬ者に何ができるのであろうか。


10.人より早く起き、人より努力して、初めて成功の味を真に噛みしめる事ができる。

11.怠惰な人が成功する事は決してない、真に成功を収める者は徹底した自己管理と忍耐力が必須である。

12.時間が過ぎるのはとてもはやい。


13.今の涎(よだれ)は将来の涙となる。


14.犬の様に学び、紳士の様に遊べ。 


15.今日歩けば、明日は走るしかない。


16.一番現実的な人は、自分の未来に投資する。 ‎

17.教育の優劣が収入の優劣 ‎。


18.過ぎ去った今日は二度と帰ってこない。

‎19.今この瞬間も相手は読書をして力を身につけている。 ‎


20.努力無しに結果無し。


出所はコチラ⇒ http://product-empresario.blogspot.com/2012/01/blog-post.html




(浅沼 宏和)

2012年1月4日水曜日

落合監督のプロフェッショナル論

3回にわたって落合監督の著書をご紹介しました。
落合監督のプロフェッショナル論とドラッカーの共通点を私なりにまとめると


1、プロは全力を尽くす

2、努力ではなく成果に焦点をあげる(結果がすべて)

3、(結果について)責任を負う


といったことになると思います。

もちろん、勝負師である落合監督の方がドラッカーが入っていることよりも厳しいですが、本質的にはほぼ同じ考え方であると思います。

逆に、「プロ野球選手よりもビジネスマンの方がより厳しい世界で戦っている」 と落合監督は述べています。

勝負を突き詰めることは、とことん合理的な行動です。落合監督は「理屈からするとこうなるはずだ」ということを極めているようです。

あの小さな体格で大男たちに混じって傑出した成績を残したのですから、頭はフル稼働させていたのですね。

また、余談ですが、本書の中で落合監督の現役時代に世間では「落合は外角打ちが得意だ」「外角をホームランにする技術がある」と信じられていたのがウソだったという話が面白かったです。

落合監督は小柄なので、外角をさばく体力は実は無かったのだそうです。そこで真ん中より手前の球を体をくるりと回す技術だけで処理していたということです。

内角の球をライトに運べるはずがないという先入観を持っていた評論家たちが、ライトへのホームランを見て勝手に「外角打ちがうまい」と誤解したのだそうです。

この誤解があったので、ピッチャーが内角に投げてくれたおかげで技術が活かせたのだそうです。

この秘密は現役時代には家族にも話さなかったということです。

「ここまで考え抜いていたのか」と驚かされました。

落合監督に限らず、超一流のプロフェッショナルの言葉はドラッカー理論ととてもなじみます。

今後も、折に触れて分析していきたいと思います。



(浅沼 宏和)

2012年1月3日火曜日

落合博満 「采配」 ③

続きです。

41. 現場の長は、「いつも」ではなく「たまに」見る。



42. 情報管理こそ監督の仕事。


43. 身内から嫌われるのが監督という仕事。


44. チームリーダーという存在によって、競争心や自立心が奪われていくことは、組織に置いてリスク以外の何物でもない。


45. 自分の腹の中を読まれてはいけない。それがプロフェッショナルの仕事である。


46. 今日の戦いに全力を尽くさなければ、明日も来年もないだろう。常に全力を尽くすことは明日に希望を見出すことだ。


47. 自分を大成させてくれるのは自分しかいない。100回バットを振った奴に勝ちたければ、101回バットを振る以外に道はない。自分で自分を成長させた選手がレギュラーの座を手にしていく。


48. 自分から練習に打ち込んでいる間は、オーバーワークだと感じてもストップをかけるな。


49. いい結果が続いている時でもその理由を分析し、結果が出なくなった時の準備をする。負けが続いた時もその理由を分析し、次の勝ちにつなげられるような負け方を模索すべきだ。


50. 組織を預かるものの真価は、0対10の大敗を喫した次の戦いに問われる。


51. 勝負の世界では一番と二番は天国と地獄の差がある。


52. どんな仕事でも、目立つ成果を求めるのなら、それに見合ったバックアップが必要だ。


53. 模倣とは一流選手になるための第一歩だ。


54. 「初」には大きな価値がある。


55. 歴史を学ばないことはその世界や組織の衰退につながる。歴史を学ぶことは同じような失敗を繰り返さないことにもつながる。


56. レギュラー、つまりチームにとって必要な人材の甘えを断ち切っておく。


57. 自分の職場に「居心地の良さ」を求めるな。「目の前にある仕事にしっかり取り組む」と割り切るべきだ。


58. 極論から物事の本質を見直してみる。


59. 勝ち続けることに全力を尽くす。


60. 世の中がどんなにスピーディーになっても後進や部下の育成には必要な時間をかけなければならない。


61. 監督がひとつの方向性を明確に示さなければチームは動きようがない。


62. 「絶対的な基本」はあるが「絶対的な方法論」はない。


63. リーダーにとって大切なのは、仕事を引き継いでいくことよりも自分自身の方法論を部下に明確に示すこと。


64. リーダーは、自分の属する世界への愛情、情熱、変革しようとする意欲で選ぶのがよい。



(浅沼 宏和)

2012年1月2日月曜日

落合博満 「采配」 ②

続きです。


21. 「今、一番大切なことは何か」だけは見誤ることなく、そこでの最善の手を打たなければならない。



22. 仕事では契約はすべてに優先する。行動を起こす前に「自分はどこと契約しているのか」「自分の仕事は何なのか」をしっかり見据え、優先しなければならない。


23. ただひたすら勝利を目ざしていくこと。そのプロセスそのものが人生だ。


24. レギュラーになって活躍するには①できないことをできるまで努力し ②できるようになったらその確率を高める工夫をし ③高い確率でできることはその質をさらに高める


25. 「手抜き」、つまり自分のできることをやらなかった時にはしかる。注意しなければ気付かないような小さなものでも「手抜き」を放置するとチームには致命的な穴があく。


26. 組織を統括するようになったら、部下たちに方法論を示し、それで部下を動かしながら成果を見せてやることが大切だ。


27. 好きにやることのは責任が伴う。好き勝手とは違う。それは「自分で考え、自分なりに行動すること」に他ならない。


28. 「特別扱い」ではなく「大人扱い」をする。自由が最大の規律になる。


29. 一芸に秀でた若者にはいい意味で将来の成長度合いを創造しきれないという魅力がある。


30. 平均点の中から一芸を磨き、スーパーサブという存在になるのも一つの手だ。


31. 厳しいことを言ってくれる人の言うことほど、しっかりと聞きなさい。


32. 高い技術を持っている人ほど、その難しさを熟知しているのでシンプルな表現を使おうとする。


33. プロだからこそ見なければわからない。プロだから見なくてもわかるという人は、自分が経験したもので時間が止まっている。


34. 自分の仕事だからこそ、まだまだ知らないことがあるはずだという謙虚な姿勢を持ち、仲間、ライバル、同業他社が何かに取り組もうとしている際には、深い関心を寄せながら観察してみるべきだ。


35. 自分にない色(能力)を使う勇気が、絵の完成度を高めてくれる。


36. 普段と違うのではないかと感じることができれば頭がその理由を探ろうと働き出す。固定観念を取り除けば多くの情報を得られることが多い。


37. レギュラークラスの選手からは「慣れによる停滞」を取り除かなければならない。


38. チームの勝ち負けの責任はすべて監督にあるが、自分の残した数字の責任は選手本人にある。


39. 競争で答えを出せなければ競争相手はどんどん増えていく。


40. 必死に競争した選手は心身ともにタフだ。

 
 
 
(浅沼 宏和)

2012年1月1日日曜日

落合博満 「采配」 ①

落合監督の著書の内容はドラッカーの仕事論にとても近い内容です。

概要をまとめてみました。

ドラッカーの仕事論と極めて似ています。

ポイントは「自力」「努力」「責任」です。




落合博満著 『采配』 ダイヤモンド社、2011年


1. 一人で決めねばならない。孤独に勝てなければ勝負には勝てない。



2. たとえ自分がうまくなっても、ライバルがもっとうまくなったら自分の地位は変わらない。そう実感すれば、今自分がすべきことが見えてくる。


3. 社会、あるいは組織に必要なものは「能力」である。「俺は一生懸命やったのに」と憤慨しても道は開けない。


4. 前向きにもがき苦しむ経験は、すぐに結果に結びつかなくても、必ず自分の生きる力になっていく。


5. 自分自身を適性のある世界に導く才能、セルフプロデュースする能力が必要だ。そのためには普段から目の前の仕事にベストを尽くすことが条件だ。


6. 練習でできないことは試合でもできない。


7. 1年でも長くユニフォームを着ていたいなら、休むということを考えてはいけない。


8. 「不安だから練習する」というのが原則。


9. 心技体ではなく体・技・心の順番である。体とは仕事をしていく体力である。技術を持っている人間は心を病まない。技術を身につけて自信を身につけるしかない。体・技の順序で強くなれば、心もタフになっていく。


10. 予習はいらないが徹底した復習が必要だ。飲み込みの早い人は忘れるのも早いことが多い。自分を不器用だと自覚している人ほどしっかりと復習する。


11. 仕事では自分のスキルを成熟させながら3つの段階の戦いに直面する。それは自分、相手、数字だ。数字と戦えるようになれば本当の一人前、一流のプロフェッショナルということになる。ただし、数字と戦うことは一流のプロでも容易ではない。


12. 3割を超えららない選手は3割を目標にしているケースがほとんど。3割の壁を突破していく選手は一度も3割をマークしていないにもかかわらず、3割3分当りを目ざしている。


13. 大きな成果を得るために何かを犠牲にすることもある。自分の目標を達成したり、充実した生活を送るためには必ず一兎だけを追い続けなければならないタイミングがある。


14. 選手は育てるのではなく、自分で育つものだ。自力があってこそ一流を目ざせる。


15. 一流には自力でなれるが超一流には協力者が必要。


16. 30代で何をしていくのかが極めて重要。20代ではしっかりした土台を築き、充実した30代にしていくべきだ。


17. 勝てない時は負けない努力をする。負けない努力が勝ちにつながる。


18. チームスポーツで「仕事をした」といえるのは、チームが勝ったときだけである。


19. 責任ある立場の人間は、この瞬間に最善と思える決断をするしかない。そこがブレてはいけない。


20. 勝利の方程式ではなく勝負を少しでも優位に戦っていくための原則論が必要。パーフェクトな理想を描き、それに一歩でも近づいていけるように現実的な考え方で戦っていく。

 
 
(浅沼 宏和)