2011年5月15日日曜日

書評-「9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方」

福島文二郎 『9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方』中経出版、2010年  定価 1,300円+消費税


ディズニーの教育訓練には定評があります。

本書はオリエンタルランドの教育研修を担当していた方の本です。

内容は具体的で良書です。

とてもドラッカー的な要素が多いと感じました。

主な内容をまとめます。

・東京ディズニーランドがいつも笑顔でピカピカである理由は、一言でいえば誰も手抜きをしないから。それは社員一人一人がリーダーシップを持っているから。

・ディズニーでは応募してきた人は基本的に全員採用。人は経験で変わり、育つという信念がある。

・理想の上司・先輩は「ゲストを良く見ている」「後輩を良く見ている」「改善点を見つけたらすぐに改善するための行動を起こす」

・後輩を注意する、忠告する、しかる上司先輩が少なくなった。



・ディズニーのミッション『すべてのゲストにハピネスを提供する』。このミッションは正社員・アルバイトの1人1人にまで浸透している。

例-ある優秀なキャストは、ゴミを拾っているときにゲストに何をしているかと聞かれて「私はパークに落ちている思い出のかけらを拾っているんですよ。」というウィットにとんだ返事をしたそうです。

・ディズニーの行動指針

1、安全性 ‥すべての大前提
・安全を重視した施設設計
・すべてのキャストが安全意識を持つ
・安全最優先のマニュアル・ルール作り

2、礼儀正しさ ‥ゲストをVIPとして迎える
・3つのキーワード「笑顔」「挨拶」「アイコンタクト」
・ゲストの望みに応える
・相手の立場に立って行動する

3、ショー ‥プロとして最高のショー、サービスを提供する
・ディズニールックを守る
・キャストとしてプロ意識を持つ

4、効率 ‥ムダを省く
・自分の役割をムダ・ムリなく果たす
・チームワークを大切にする
・ゲストのムダ、不満をカバーする


・リーダーシップに必要な2条件

①ホスピタリティ・マインドを持ち、さまざまな仕事上のスキルを実践する。そうして初めて相手の信頼を得ることができる。

②自分が模範となること


・後輩の最善を尽くす姿勢を評価する

・間違った考えに染まった後輩を変える。

・後輩に常に思いやりを持って行動させる。

・自分を成長させることに気付かせる。

・価値観を共有する。

・仕事の重要性を繰り返し繰り返し伝える。

・言行を一致させる。

・指示するときは理由も伝える。

・フィードバックされることで後輩は自信をつける。

・大きな目標を立てても失敗の可能性大。スモールステップに挑ませる。

・後輩に自立のチャンスを与える。


といった感じで実にシンプルです。

今回の震災の際でもディズニーランドの対応は際立っていたと聞きます。

ゲストを安心させるために笑顔を絶やさない、売店の商品を無料で配るなどなど、かなりレベルの高いサービスを実践していたということです。

(浅沼宏和)