2011年12月13日火曜日

書評 「起業という幻想」

『≪起業≫という幻想 -アメリカン・ドリームの現実』 スコット・シェーン、白水社

起業家精神旺盛な米国のイメージを覆すレポートです。
概要をご紹介します。


・米国での起業は一般的イメージと違って低調。OECD諸国の中でも起業率は最下位近い。

・多くはハイテク産業ではなく、サービス・建設・小売業で起業する。

・ほとんどの起業家はライバルひしめく業界で起業する。
  ⇒失敗しやすい産業で起業することで自分を失敗に追い込んでいる。

・起業家の多くは「他人の下で働きたくない」といった理由で起業している。

・“洞察力に優れた勤勉な起業家”は少数派であり、多くは頻繁な転職者、失業者、低所得者である。つまり「できないビジネスパーソン」の比率が高い。

・起業するビジネスの大半は「平凡」。 既存の製品・サービスを提供するだけで独自性がない。

・たいていの事業所は小規模。人を雇う比率は24%にすぎず、5年以上存続しているビジネスの半分は自宅で起業し、そこにとどまったままである。

・また5年以内に自宅から別の場所に引っ越したビジネスは全体の5%に満たない。

・たいていの起業家はアイディアを綿密に吟味していない。計画的に調査に取り組んだ比率は3分の1にすぎない。

・たいていの起業家は失敗する。 自営業の半数は7年以内に会社勤めに戻る。 5年生存率は45%、10年だと29%に低下する。

・起業家のビジネスはたいてい儲からない。 平均的自営業者は平均的勤め人に比べて著しく低い。

・起業家の多くは勤め人より長時間労働をしている。

・起業する理由①: 楽観的なおろか者だから

 起業者の81%が自分の成功を信じていたが、実際には成功率は低い。

・起業する理由②: 創業者の満足

 自分のために働くことに対する満足感



全般的に言えることは日本に創業の現状と近いということです。

この結果は私の感覚からも納得性があります。

起業するということは大変であることだけは再確認できました。



(浅沼 宏和)

チームを作る

ドラッカーのマネジメント論に置いてもチームは大きく扱われています。

チームで成果をあげるために忘れてはならないことがあります。

まず、目標の設定があります。行くべき方向が明確でなければチームは意味をなしません。

次に、仕事を具体的な活動や作業に分解し、プロセスにまとめ上げ、それを役割にすることで人を組織化します。

この次に来るのがチームのマネジメントになります。

チームのマネジメント論に置いて、この目標設定と具体的な仕事にすること、役割の組織化について説明されていることが少ないようです。


無目的で役割のあいまいなチームというものはマネジメントできません。



(浅沼 宏和)

2011年12月12日月曜日

仕事の定義について

ドラッカーはあらゆることを成果に結びつけて説明することで一貫しています。


すると 仕事とは成果をあげるプロセスである と定義されることになります。

具体的には成果をあげる基本的な習慣を身につけて日々実践する必要があるとドラッカーは指摘しています。

その際に、もっとも重要視されているのが真摯です。

真摯さとは要するに「一生懸命さ」といったものです。

できるビジネスパーソンとは成果をあげる能力のある人のことですが、それに至らない人はどうするべきでしょうか?


ドラッカーは「仕事を大きくする」必要があると言っています。

これは具体的に言うと、自分の現状の能力の限界に挑戦するような仕事が必要であるということです。

これを持たなくなった時点で、人は下り坂に入るわけです。

ベテランといわれるヒトが特に注意すべきなのはこの点です。

かつての必勝パターンが通用しなくなったときに、これを打開するような高い目標設定を行えるかどうかが生き延びるために必要でしょう。


『究極の鍛錬』の著者のジョフ・コフヴァンは、一流のバイオリニストたちと平凡な人たちとの調査から、一流は累積練習量が圧倒的に多いことを見つけています。

また最高水準の業績をあげている人たちは、その地位を得るために多くの年月を要しているとも指摘しています。

つまり才能ではなく「姿勢」の問題であるというわけです。



(浅沼 宏和)

2011年12月7日水曜日

ブルース・リーの名言集がビジネス・ワンポイントに紹介されていました。



増やすな 捨てろ


おまえは考えたように変わる


考えるな 感じろ


状況等気にするな 機会は己で作り出せ


常に己であれ 己を表現し、己を信じろ


俺はお前のために生きているのではない お前も俺のために生きているのではない


もともとは武道家向けの格言ですが、プロフェッショナル論になっているところがさすがにブルース・リーです。



(浅沼 宏和)

2011年12月6日火曜日

仕事は大きくする

『エッセンシャル版 マネジメント』 p.131


もっとも一般的なまちがいは、職務を狭く設計し、優れた者であっても成長できなくすることである。

数年ですべてを身につけられるほど狭く設計した職務では、欲求不満に陥る。

結局、さしたる働きもしなくなる。



仕事の設計は「その人の能力にピッタリ」ではいけないわけです。

チャレンジ性のない仕事は、その人の能力を陳腐化させてしまいます。

チャレンジ性のない仕事を何年も続けているとビジネスパーソンとして危険です。

これはもちろん経営者にも言える話ですが。


(浅沼 宏和)

2011年12月5日月曜日

日経ビジネス:カールツアイスの社長インタビュー

ドイツが誇る世界的光学機器メーカーのカールツアイス社の社長インタビューが日経ビジネス2011.12.12号に掲載されていました。


同社はドラッカーの『マネジメント』において働くこと(working)をうまくマネジメントした企業事例として紹介されています。

『マネジメント』は1973年の本ですし、紹介された内容は同社の19世紀末の成功事例です。

ということで、その続編ともなるべき内容と思いますので紹介します。

同社は上場しておらず、財団所有という珍しい法形式の巨大企業という特徴もあります。


・オリンパスの技術力はすばらしく、以前からベンチマークしていたが同社を買い取る可能性はない。
・カールツアイスは非公開企業であり、資本が潤沢にあるわけではない。だから、内部からの成長に注力してきた。これこそが強みだ。
・財団であることで四半期ごとに市場からプレッシャーを受けることがない。長期的なイノベーション計画が立てられる。
・医療やレンズなどは高度な技術が必要なので長期的視点に立つことは不可欠だ。
・非上場であるため資金調達は難しいので財務的健全性により一層気を使う。


ドラッカーが成功事例として取り上げた100年前とは色々変わっているところもあるのでしょうが、DNAがよく残されているという感じがします。

以下、ドラッカーの著作でのカールツアイスの働き方のマネジメントの部分を簡単にまとめておきます。

・仕事に必要なプロセスを分析し、それを全体にまとめ上げることで成果をあげた。
・職務の編成は実際に働いている人たち自身が行った。
・機械や工具などを働く人たち自身が設計・改良した。
・継続的訓練の導入、作業方法の改善、新製品開発、工程や技術の改良は当然行われるべきものとされた。
・製品や仕事について働く人たちに情報をフィードバックした。
・正式な雇用保証はないが、成果をあげる意欲と学ぶ姿勢があれば景気とは無関係に雇用を保証した。


カールツアイスのマネジメントはうわべの合理性よりは本質的なものを追求する伝統があるようです。


(浅沼 宏和)

2011年12月4日日曜日

行動について

11月はあまりに多忙で、ブログ更新が大幅に滞ってしまいました。

すこしずつ復活させていきたいと思います。


『マネジメント』(中)p.131


個々の具体的な状況において、行動すべきか否かの意思決定が困難なケースはあまりない。


第一に、得るものが犠牲やリスクを大幅に上回るならば行動しなければならない。


第二に、行動するかしないか、いずれかにしなければならない。二股をかけたり、間を取ろうとしたりしてはならない。



何事も中途半端はいけないということです。

行動にはトレード・オフがあり、どっちつかずということはあり得ないということです。



(浅沼 宏和)

2011年10月26日水曜日

閑話休題-『捨てる』名言集

当社では環境整備のコンセプトとして2S直角平行を提唱しています。

整理(S)‥徹底的に捨てる
清掃(S)‥ヨゴレ・ホコリをとり、隅々まできれいに
直角平行‥目につくものをすべてそろえる


これを徹底するだけで美観のレベルは断然違ってきます。

また、あらゆるところに目が入るので、リスク管理にもとても役立ちます。

整理・整頓ではないところがミソです。

整理について名言集を集めてみました。


・「あれば便利」「使えるか?」ではなくて、「使っているか?」で判断

すべてを捨てたら未来だけが残る

・思い出の品を捨てても思い出は消えない

・時は金なり、場所も金なり

・捨てる勇気が価値観を研ぎ澄まし、本当に大切なものを導き出す

があるから「福」が来ない があるから「神」が来ない


なかなかの名言ぞろいです。


(浅沼宏和)

2011年10月20日木曜日

閑話休題-うれしいお便り

最近、あちこちでセミナー講師を務める機会が増えました。

セミナーの後には名刺交換を求めに来られる方、疑問に感じたことをお尋ねに来られる方、自社の悩みについて相談を持ちかけられる方、社員研修を依頼される方など様々です。

たまに礼状などをいただくこともあり、中身を読むと勇気づけられたり、またさらに頑張らなくてはと決意を新たにしたりします。

そこで、ある女性経営者からの礼状の一部をご紹介します。


前略、浅沼先生、昨夜は○○で先生の素晴らしいお話をうかがうことができ、とても有意義でした。ありがとうございました。

本を読んだり、時にはセミナーにも足を運びますが、先生のお話はとても明確でわかりやすかったです。とっても得をした気分になりました。

お名刺を頂戴しなかったことを後悔しましたが、ネットで調べ、昨夜のお礼をと筆をとりました。



この方とは名刺の交換をしていないので、お顔は解りませんが、私はこれを目標達成の客観的証拠ととらえるようにしています。

経営セミナー講師の成果は、

①期待した以上の内容であった
②実際に役立つ内容であった
③また是非違ったテーマや詳しい話を聞きたいと思った

といったことになると思います。

私の場合、アンケートなどを実施する際には「よかった」「まあまあよかった」といった評価が80%を超えることを具体的な目標にしています。

また、セミナー後に名刺交換を求められる、質問されることも重視しています。

今のところ、なにもないということがありませんので比較的うまくいっていると思いますが、理想からは程遠いレベルのものであると自覚しています。

こうしたうれしいお便りを励みにして、さらなるレベルアップを図っていきたいと思います。



(浅沼 宏和)

2011年10月18日火曜日

日経ビジネス-選ばざる者は滅びる

日経ビジネス2011.10.17号の特集「選ばざる者は滅びる」に面白い内容がありました。

グローバル競争に勝つであろう企業の紹介なのですが、戦略のタイプ別に解説してあります。

戦略のタイプとは

世界覇権型、大衆攻略型、価値創出型、地域制圧型、要衝掌握型、変幻自在型、技術進化型、人材競争力型、M&A突破型

です。


1、世界覇権型

ブランド・価格・中核技術‥「強み」を「最強」にする徹底力がある。世界市場でリーダーポジションを獲得している。

・「価値創造」を基盤に「地域制圧」を行う
・市場ごとに強みを変える

2、大衆攻略型

大衆の生活に密着し、低価格を武器に設ける。新興国市場のボリュームゾーンで強力なポジションを獲得する。

・したたかなそろばん勘定
・現場に権限移譲
・高コスト開発体制から低コスト開発体制へ
・日本国内の商慣習を打破⇒土着民になる
・1人でも需要を掘り起こす
・新たな市場を創出


3、価値創出型

「ニッポン品質」を武器にブランド力を高める。世界市場で強いプレミアムブランドを展開する。

・品質‥アフタサービスを含めた質の確保で好意的イメージを確立
・認知度‥消費者や流通業者に対する知名度を高め、購入の選択肢に入れる
・忠誠心‥顧客が自らその製品を購入する状態を作り出す

4、地域制圧型

経営資源の集中投下で地域最強を目指す。広域アジア市場など特定地域でリーダーポジションを獲得している。

・拠点膨張方式‥一つの拠点を中心に、文化・習慣の近い周辺国を攻める
・地域延伸方式‥都心部をまず攻略し、経済発展とともに地方都市へ市場を拡大する
・買収浸透方式‥地域に根付く企業や販路を持つ企業を買収し、自社の製品・サービスを浸透させる

5、要衝掌握型

競合との価格競争から取引先との価値「協創」へ。特定の素材・部品、バリューチェーンにおける特定レイヤーを世界規模で占拠する。

・3パターン
 ①バリューチェーンの一部を占拠する
 ②新しいチェーンを創造する
 ③自ら需要を作り出す

6、変幻自在型

種まき・撤退・集中投資で「一番強い自分」を維持する。事業ポートフォリオマネジメントに優れ、成長領域へのポートフォリオ・シフトを継続的に実施している。

・事業の輪作
 ①有望な事業に集中投資し、収益源に育てる
 ②収益事業から得た資金を新事業に幅広く投資し、可能性を探る
 ③成長する見込みのない事業を見極めて、投資を止める


また、別の面からの分類として


Ⅰ、技術進化型

技術至上主義から価値へ。卓越した技術を磨き続けることで競争力を得る。

Ⅱ、人材競争力型

人材の力や多様性を武器に競争に勝つ。世界選抜チームを組み、脱「日本人の会社」を創る

Ⅲ、M&A突破型

世界への近道として時間と手間を買う。


なかなか興味深い分類です。

大本には競争戦略論があるようですが。



(浅沼 宏和)

2011年10月17日月曜日

◆『ナイン・センス -9つの思考空間』を刊行

私が所属している地元密着型のNPO法人東海マネジメント研究会から念願の論文集が刊行されました。

自主的な勉強会を立ち上げてから7年目、法人化してから4年目でやっと一区切りをつけることができました。


NPO東海マネジメント研究会編著『ナイン・センス -九つの思考空間-』静岡学術出版、2011年  定価:1,000円 

目次
第1部 マネジメント編

1、「ドラッカーのマネジメント論の実践構造 -基本モデルから戦略計画まで-」 浅沼宏和

2、「ダイナミックBSCの試み -気づきを起点にイノベーションを生み出す」 村木則予

3、「人事システムとしての飲酒運転の取締り」 神村秀和

4、「ISOマネジメントシステム規格運用時の“つまづき”への話題提供 -ISMSを参考事例に-」 伊藤 賢

5、「デザインによる組織の発展」 藤田良美


第2部 地域産業編

6、「鉄工所からみる浜松産業史 -バッタンからポンポンへ-」 藤田泰正

7、「浜松地域における繊維産業の発展と衰退」 渡部いづみ

8、「金融危機と企業経営」 伊藤 博

9、「中堅中小企業にみる事業永続の型 -沢根スプリングの事例を中心に-」 杉山友城



(浅沼 宏和)

2011年10月14日金曜日

続・『経営者の条件』④ ゲリラ戦では

第1章です。


・知力や想像力や知識は、あくまでも基礎的な資質である。それらの資質を結果に結びつけるには、成果をあげるための能力が必要である。

この原語は次の通りです。

Intelligence, imagination, and knowledge are essential resources, but only effectiveness converts them into results.

私なら、

知性、想像力、知識は基礎的な資質であるが、唯一、実践だけがそれらを成果に変える

とします。


・知識労働者は自らをマネジメントしなければならない。



次はゲリラ戦についての部分です。

・実際にどうするかは状況次第である。その状況は彼らにしか判断できない。責任は私にある。だが、どうするかを決められるのはその場にいる者だけだ。


原語は、

What they do depends on the situation which only they can judge. The responsibility is always mine,  but the decision lies with whoever is on the spot.

です。

私は次のように考えます。

彼らが何をするかは彼らだけしか判断できない状況に依存する。責任は私にあるが、決定はまさにその場にいる者に依存している。


ということで次のようにまとまるわけです。

・ゲリラ戦では全員がエグゼクティブである。


・知識労働は量によって規定されるものではない。コストによっても規定されるものでもない。成果によって規定されるものである。


(浅沼宏和)

2011年10月13日木曜日

続・『経営者の条件』③  ものごとをなす

第1章のまとめです。ポイントになる文を原語と対応させたりしていきます。


・成果をあげることがエグゼクティブの仕事である。成果をあげるということは、物事をなすということである。


とありますが、原語は

To be effective is the job of the executive. "To effect" and "To execute" are, after all, near-synonyms.

です。私なら

実践的であることがエグゼクティブの仕事である。「実践的」と「実行する」とは、結局、同義なのである。

と訳します。私の訳はビジネスの現場で使うための理解しやすさという観点から行っています。



・頭の良い者がしばしばあきれるほど成果をあげられない。彼らは頭の良さがそのまま成果に結び付くわけではないことを知らない。

この後半部分の原語は

they fail to realize that the brillant insights is not by itself achivement.

ですので、私なら 

彼らはきらめくような洞察がそのまま成果となるわけではないことを理解しそこなっている

と訳すところです。

2011年10月11日火曜日

続・『経営者の条件』②

序章を中心にまとめています。


・成果をあげるには、アクションプランを理解してもらい、情報ニーズを理解してもらわなければならない。


ドラッカーのコミュニケーション論の本質を表すことばです。


・問題の処理では、それがいかに重大なものであろうとも、成果がもたらされるわけではない。損害を防ぐだけである。成果は機会から生まれる。


ここから仕事の優先順位として、「緊急ではないが重要なもの」が上位にくることが導かれます。

「緊急かつ重要なもの」は問題ないし、過去の意思決定が現状に合わなくなることによって生じるものだからです。

・一流の人材に、問題ではなく機会を担当させなければならない。


・成果をあげるには会議の生産性をあげなければならない。もちろん会議は懇談の場ではなく仕事の場としなければならない。

会議についてのビジネス書の走りはドラッカーです。


・トップが権威をもちうるのは、自らのニーズと機会ではなく、組織のニーズと機会を考えるからである。

・成果をあげることは習慣である。

 
この部分は、原語が  Effectiveness is a discipline.   となっています。

私なら 実践とは規律である と訳します。

原語と対比しながら読んでいくと、イメージが違ってきます。

これからは原語を意識しながら検討していきたいと思います。


(浅沼 宏和)

続・『経営者の条件』①

今年の1月にドラッカーの『経営者の条件』をまとめたシリーズをブログにアップしました。

最近、改めて集中的な読み直しを行っていますので、当時とは違ったか所に目が留まるようになっています。

そこで、新たな視点から『経営者の条件』の要約を行おうと思います。以前のまとめと違った部分を選ぶようにしています。


・なされるべきことを考えることが成功の秘訣である。

・なされるべきことはほとんど常に複数ある。

・最優先順位を仕上げても、優先順位が二位だった課題を自動的に移行してはならない。最初から優先順位を考え直さなければならない。


・トップマネジメントが成果をあげれば組織が成果をあげ、トップマネジメントが成果をあげられなければ、組織も成果をあげられない。

・エグゼクティブとは行動する者であり、物事をなす者である。

・いかなる知識といえども行動に転化しない限り無用の存在である。


・アクションプランとは意図であって、絶対の約束ではない。

・一つ一つの成功が新しい機会をもたらし、一つ一つの失敗が新しい機会をもたらすゆえに、頻繁に修正していく。

・アクションプランは時間管理の基準として必要である。


・アクションプランなくしては、すべてがなりゆき任せとなる。途中でアクションプランをチェックすることなくしては、成り行き任せの中で意味あるものとないものとを見分けることすらできなくなる。


・意思決定はすべてそれを行うときと同じ慎重さで、定期的に見直さなければならない。

・重要な仕事をこなせない者をそのままにしておいてはならない。‥仕事ができないことは本人のせいではない。だが動かしてやらなければならない。

・意思決定の定期的な見直しは自己開発の手段となる。


・最高の人材を最高のポストに配置することは容易ではない。最高の人材は常に多忙だからである。

・自らの弱み、特にからっきし苦手なものも明らかにする。そのような分野では何もしてはならない。人に任せるべきである。


・意思決定の能力は、組織のいかなるレベルにおいても、致命的に重要なスキルである。





(浅沼 宏和)

2011年10月10日月曜日

書評-「すべては売るために」⑤

続きです。

・市場が混乱している時こそ、損益を明確に把握すること。

・金を使ったらそれ以上に稼がなければならない。


・混乱期の投資には大きな副産物がある。商品に新たな価値を付加できるのだ。

・「なくても生きていける」商品を売るためには消費者への語りかけをやめないことだ。厳しい状況で商品が売れたということは、商品の大きな価値を消費者に認めさせたということだ。

・新商品を世に出す理由はただ一つ。儲けるためだ。


・新商品導入が自己目的化したマーケティングは怠惰なマーケティングだ。新商品は新たなカテゴリーへの長期的参入を実現するときにのみ導入すべきだ。

・新商品にはこれまでのブランドではいけない場所に到達する力がある。


・新商品が既存商品とはまったく違う何かを成し遂げられるかどうかだ。同時に既存商品の競争力を維持することも忘れてはならない。


・新商品を導入するにしろ、既存商品を定義しなおすにしろ、あなたの仕事は利益をあげることであるのを忘れてはならない。


・売上をきそうのではなく利益を競うのがビジネスである。


・「今の地位を守ろう」「ブランドの衰退を食い止めねば」などという発想はさっさと捨てる。成長こそが唯一のゴールだ。


・チャンスのある場所を探すことだ。

・マーケティングはビジネスであり、商品を作れるか、売れるか、そして消費者が買えるかを常に考えなければならない。


・商品の売れ行きに影響するさまざまなものごとを常に観察し、分析を怠らなければ必ずや成功するだろう。

・明日何をするかを常に計画しておかなければならない。

・明日は違うことをしなければならない。どれほどの成功を収めていようと過去の栄光に満足してはいけない。


・明日のことを考え、計画を立てておかなければならない。これを怠ると明日が今日になったときになんの準備もなく、のみこまれてしまうだろう。


・未来に備えなければならないのは、ものごとが変化するからである。

・変化を創りだす側と変化に翻弄される側のどちらになりたいのだろうか。


・自分の定義を変えると、その影響は競争相手のポジショニングだけではなく、顧客や顧客とのかかわり方に及ぶ。

・うまくいっていることは維持すべきだ。ただし、今後もうまくいかせるためには何かを追加しなければならない。


・何かを変えるたびに、次の変化の条件を作り出すことを忘れないようにする。

・自らの行動を変えなければ目的地には到達できない。


・これまで必要だったスキルと、次のレベルに到達するために必要なスキルは必ずしも同じではない。

・昨日の成功に頼ってはいけない。


・私はいつもビジネスの状況は今日より明日が悪くなると想定している。そのうえで悪い状況を打開する計画を立てる。

・将来の成功を確実につかむには自分自身を向上させるしかない。自分のコンセプト、自分のブランド、自分のアイディアに挑戦し続けるのだ。


・カテゴリーのリーダーは進んで自分の定義を変えることによって成功する。


・将来の成功を目指すなら、自分のビジネスの運営だけではなく、競合他社に何をさせたいかも考えなければならない。


・マーケティングにおいて勢いを生むためには、常にあなたの方から動かなければならない。

・現在の目的地に向かって努力している間に、次の目的地について考え始めなければならない。


・翌年の計画はいつごろから立て始めるべきか?今すぐだ。


・変化を余儀なくされる前に自ら変われば競争相手が追いついたと思った時にはあなたはもう別の場所にいる。




(浅沼 宏和)

2011年10月9日日曜日

書評-「すべては売るために」④

続きです。

・仮想消費は必要ない。商品を気に入っても決して買わない人も必要ない。知っているのに全く関心を払わない人もだ。そうした消費者にはあなたも関心を払うべきではない。大切なのは貸そう消費ではなく売上なのだ。


・認知度はたしかに重要だが売上と利益がすべてなのだ。消費者に買う理由を提供しなければならない。

・消費者の抱くイメージに新たな「次元」を追加し、商品本来の誰にでもわかるセールスポイントを超えた購買理由を増やし続けること。

・コカコーラは35種類の属性(次元)を使って買うべき理由を訴えた。

・市場セグメント化で非常に有効な方法は、まず消費パターンを見てグループに分け、グループごとにイメージやブランドの次元を考えること。

・ホテル業界は、ヘビーユーザーが収益源であることを理解している。



・昔は、「コカ・コーラについて顧客は知っているのだから、他に伝えられることはない」と考えていた。すでにビジネスとして成熟していて成長の余地はあまりない、と。なんという思いちがいか!!


・商品を常に再定義し、リフレッシュするのは骨の折れる仕事だ。買いたくなる理由を前に朝から晩まで考え続けることになる。しかし、あきらめてはいけない。なんとしてでもやりぬかなければならない。


・誰かがあなたの商品サービスを理解し始めたら、あなたは見直しに着手すべきである。


・モノを売るには、買いたくなる理由、経験したくなる理由、学びたくなる理由、食べたくなる理由を新たに示し続けなければならない。


・消費者の観察を怠ってはならない。彼らを理解し、買う気にさせる方法を次々に考えださなければならない。ゴールはあくまでも商品を買ってもらうことだ。


・コンパージョン率(潜在顧客が実際に商品を買う顧客に転換する割合)を意識する。
小売業では来店者数と購買者数の割合、ファーストフードではハンバーガーなどのメイン商品(低利益率)と付け合わせのポテト・ドリンク(高利益率)の割合


・あなたが売るものを買ってもらう一番の方法は、単純に買ってほしいと頼むことだ。



(浅沼 宏和)

2011年10月8日土曜日

書評-「すべては売るために」③

続きです。



・消費者を十分観察し、観察した結果を考察しているマーケターは実に少ない。

・消費者こそがほぼ唯一の「考えるべきこと」なのだ。

・問題は誰が商品を買ってくれるかだ。何をするにも消費者を中心に据える。


・コモディティ化 -どこかの企業が画期的な商品を世に出しても、競合他社があっという間にマネをする。消費者の前には質に大差のない類似商品がズラリと並ぶことになる。


・誰も消費者に教えなければ消費者は選ばないか、理解できる唯一の基準、すなわち「価格」にしたがって選択する。

・顧客の主要な判断基準が価格になってしまうと、企業の収益性とビジネスの健全性はすぐに損なわれてしまう。


・昔はこれほど説明する必要はなかった。もともと選択肢が少なかったからだ。しかし、これからは消費者に買うべき理由を知らせなければならない。


・環境が変化すれば消費者も変わる。

・競合商品にできてあなたの商品にできないこと、逆に、あなたの商品にできて競合商品にできないことはあるだろうか。


・世界一マーケティングしやすく、一番高い値段で、一番大量に買う、最高の顧客になってくれるのはすでにあなたの商品サービスを使って、気に入ってくれている人たちである。
それなのにせっかくのお客を怒らせてしまっている。なんという無駄だろう。

・リピーターのために何かしている企業は少ない。

・今日売れることはほぼ決まっているのだから、店員は次回の販売に集中しなければならない。


・顧客との関係を築いていれば、商品が他のブランドの脅威にさらされても移行される可能性が低い。

・ブランドの認知度をあげてもまだ仕事の半分だ。まだ商品を買ってほしいと消費者に訴えていない。

・ブランドが好かれたからといって目的は達成されない。消費者は好きになったブランドを必ず買うとは限らないからだ。




(浅沼 宏和)

2011年10月7日金曜日

書評-「すべては売るために」②

続きです。

・あなたが戦略を持たなければ、競争相手があなたを追い落とすための戦略をつくる。
 あなたは守勢に立たされ、やむなく目的と結びつかない戦略にあわてて集中することになる。
 戦略はあなたが先に作らなければならない。


・価値があるのはうまくいっていることを分析し、それをもとにさらに成功することだ。


・マーケティングは月単位で行うのが望ましい。

・そもそもビジネスはなるべく短い時間単位で行うべきものだ。週単位なら完璧とは言わないまでも、価値ある情報が得られる。

・やることなすことで的確で正しい人などいない。

・未来へ進むには、状況は変化する(完璧な計画などない)という事実を受け入れ、学習と改善を繰り返していかなければならない。


・ブランドを創る理由は、消費者に商品の望ましい特質を伝えることにほかならない。

・なぜ、その商品が好きなのかを常に顧客に思い出させ、買う理由を与え続けなければならない。毎日買ってほしければ毎日マーケティングしなければならない。毎月買ってほしければ毎月マーケティングをしなければならない。


・ブランディングのただ一つの目的は、市場で自社商品を差別化し、消費者にこの商品は他と違う、他より優れている、特別である、と思わせること。


・差別化こそが重要である。同質化には意味がない。


・名前、期待、差別化-これがブランディングである。


・ブランドの再定義が何度も必要なもう一つの理由は、何か新しいことをすると、すぐにマネされることである。

・くり返すが、すべての始まりは戦略である。市場を支配するための戦略をまず立て、その戦略に沿った商品イメージを創る。


・最も重要なイメージは5つ 、5つのイメージをうまく組み合わせるとブランド全体のイメージが生まれる。

①商標イメージ   :ブランドの本質、核心
②商品イメージ   :商品の特性と直結
③関連イメージ   :ブランドの全体戦略に沿うか
④利用者イメージ :どんな人が好み、使っているか
⑤利用イメージ   :どのように消費されているか


・「消費者に何を約束するか」を正確に定めることは極めて重要だ。顧客に期待させることは、確実に果たせることにとどめるべきだ。

・競争市場で自分の守りたい領域を決めなければ、競争相手に無理やり決められてしまうだろう。


・競争相手のポジショニングをしかけるとは、市場のルールを決めることだ。それには優れた価値といったものを定義しなおすこと。

・競争相手のポジショニングとは、可能な限り競争相手をひとつの特質に押し込め、自分の特質を拡大すること。


・企業がすることは、すべてブランドに影響する。「あらゆることが伝わる」と肝に銘じておくように。




(浅沼 宏和)

2011年10月6日木曜日

書評-「すべては売るために」①

セルジオ・ジーマン著 『すべては売るために』海と月社、2010年


ジーマンはかつてコカ・コーラ社のトップであった著名マーケッターです。

本書は非常にドラッカー的であり、ドラッカー度数85%以上といってよいでしょう。

以下、印象的な内容をまとめていきます。


・マーケティングの目的はただ一つ。あなたの商品をできるだけ多くの人に、
できるだけたくさん、できるだけ何度も買ってもらい、できるだけ多くの利益をあげること

・商品を売るには、人々に欲しいと思ってもらわなければならない。
・マーケティングの効果は測定・検証しなければならない。それは「投資」となんら変わらない。

・マーケティング予算は、「どれだけ売上を伸ばせるか。そのために何をすべきか」を考えて決める。
・「買いたい」と思う人がいなければ意味がない。

・市場で商品のポジショニングをするのがマーケティングだ。
・「他とどう違い、どう優れ、どう特別なのか」を知らせる必要がある。

・結果重視のマーケティングなしに、新しい顧客を獲得することはできない。

・商品を買う理由を常に与え続けることを忘れてはならない。

・マーケターの最終目標は、会社の総資産利益率(ROA)を最大化することである。いいかえると、それ以上投資しても利益率があがらないところまで商品を売るということ。

・すぐれたマーケターは会社が生産できるものをすべて売る。航空会社はこれを「イールド・マネジメント」と呼ぶ。値引きをしてでもすべての座席を売り切るということ。

・目標を低く設定すると、みんながその暗示にかかる。

・計画の基本は、売るべき量を決め、そこに至るまでの現実的な方法を見つけ出すこと。

・商品を大量にさばくことは不可能ではない。無料同然にすればよい。世界中でどれだけ多くの企業が利益の出ない価格でモノを売っていることだろう。

・マーケティング活動の軸がぶれる最大の原因の一つは、求めている結果をうまく定義できないことだ。

・勝ちたければ、自制心、決断力、考え抜かれた脚本が必要だ。戦略を立てなければならない。


・ただやみくもに活動してもうまくいかない。売りたいと思うものを、買いたいと思ってもらうプロセスを、システマティックに計画し、実行しなければならない。戦略がすべて。

・効果が思ったほど上がらなければ状況に合わせて戦略を見直す。


・大切なのは、できるだけ多くの商品を、より高く買ってもらうにはどうすればよいかを常に考えること。

・マーケターであるあなた自身が明確な商品イメージを持つこと。


・共通の目的地を目指す一本の進路が必要だ。それが戦略だ。

・戦略は道路地図だ。目的地に到達するためにどんなルートをとればよいか示す。交通手段が戦術だ。


・戦略が決まったら自動的に戦術が決まるわけではない。多くの時間をかけて戦術を試し、検討し、練り直さなければならない。戦略はそのプロセスで指針となる。


・売上だけにとらわれているうちに、ブランドや商品サービスの質が落ちていくこともある。

・あらゆることについて考えよ。常に周りを見る。本当に起きていることを知る。一見別々のものごとのつながりを理解する。そして自分の意見を形成し、どんな行動をどのように取るかの基本にする。



(浅沼 宏和)

2011年10月5日水曜日

【トピックス】 確実に来る未来③

特集の続きです。予測力はさらに落ちていますので、面白そうな部分だけ抜粋します。


【産業の未来】

2011年~  空洞化を超えて資源立国へ

・日本の自動車市場は世界5位まで転落

・中小企業はこぞって海外移転

・マグロ・うなぎは激安食材に仲間入り

・食料自給率50%へ向上

・海洋資源で日本が一躍エネルギー大国になる

・エコカー需要が爆発

・燃料電池車がお手ごろになる

・レアアースは脱・中国で

・大豆、とうもろこしが不足する

・IFRS適用が始まる


2020年~  原発廃炉でもEVは売れる

・既存の原発が半減する

・太陽光発電が水力並みのシェアとなる

・新エネが蓄電池需要を生む

・携帯も車もコンセントいらずになる

・「ムーアの法則」が限界に達する

・超ハイビジョンで手術ができる


2025年~  縮まる「距離」が生活を変える

・東京-名古屋が通勤圏になる(リニア新幹線登場)

・毎秒100テラビットの情報が駆け巡る

・仕事の場所を選ばないテレワークが主流になる

・「家事ロボット」「ロボコップ」が主流になる

・資源権益競争の舞台は月面に移る

・日本が経常赤字国に転落

・世界で飲み水が枯渇


2030年~  地球環境危機を救う

・異常気象が食料、健康を脅かす

・南米アマゾンの熱帯雨林がサバンナ化する

・地球温暖化が経済成長を押し下げる


産業予測は変数が多数ありますので読み取りが難しいですね。

あくまで参考情報と理解しましょう。

それに比べると人口予測はやはり「すでに起きた未来」です。

高齢化、人口減少等の影響は常に頭において行動すべきでしょう。



(浅沼 宏和)

2011年10月4日火曜日

【トピックス】 確実に来る未来②

特集の続きです。

少子高齢化で負担増はさけられないが、苦境を乗り越えると世界の「課題先進国」としての明るい未来が訪れるとまとめています。

さて、どうでしょうか。


【財政問題】

2011年~  停滞要因

・今後はインフラの修繕すら滞る

・日本はゼロ成長国家となる

・日本の借金が2000兆円超となる(2035年)

・国の借金を家計で賄えなくなる

・2025年には社会保険給付がGDPの4分の1にまで増加(136兆円)


2015年~ 苦境要因

・年金は4割戻れば上出来

・将来不安の若者が貯蓄に走る

・消費が1%強減り続ける

・低成長でも金利は上昇

・中小飲食業に倒産が相次ぐ

・ガソリンや輸入食料が高騰

・日本は世界にとって「大きすぎてつぶせない国」になる

2020年~ 再生ポイント

・2020年に消費税は20%になっている

・2020年は法人税率0%になっている

・都市は「集積」し、地方は「集約」される

・サービス産業の雇用が増加

・高齢者消費で内需が復活

・自動車産業は国際分業(国内は高付加価値部品のみ)

・脱日本の企業に若者殺到


日本は巨額の公的債務がありますから、経済成長力が弱くなります。

金利急騰を避けながら成長軌道に乗せ、デフレを脱却することは容易ではありません。

もし、急激に金利が上昇すると多くの企業が倒産する事態になります。

うかつなかじ取りをするとギリシアの二の舞になりかねません。

ソフトランディングの手段としては増税程度しか手はありませんから、消費税は2015年までに10%、2020年には最低でも15%、金利次第では20%にする必要があるようです。


ということですが、人口予測に比べて論旨が弱いですね。仕方がないところではありますが。



(浅沼 宏和)

2011年10月3日月曜日

【トピックス】 確実に来る未来①

日経ビジネス2011.10.3号の特集は確実にくる未来というものでした。

ドラッカーは未来は予期できないがすでに起きた未来を探すことはできると言っています。

そして最も重要な変化は人口構成であると指摘しています。これは、ドラッカーが初めて指摘して以来、未来予測の最も基本的な視点として今に至っていると思います。

特集の内容を年代別にチェックしていきます。


【世界を変える4つの潮流】

① 中国・米国・インドが世界をリードする

② 2085年に世界人口は100億人を突破

③ 2050年に世界の覇権は中国とインドに

④ 食料とエネルギーの枯渇に勝機がある(世界需要の3分の2は途上国、中国が消費の2割)



【日本の人口減少の影響】

2011~2024年 人口の都市集中が進行。少ない子供を大切に育てる傾向

・東京の人口がピークに到達(1310万人)。10人に1人が東京在住。4人に1人が65歳以上

・年間死亡数が出生数の2倍になる

・3世帯のうち一つは1人暮らし

・65歳以上が30%を超える

・団塊世代が続々と75歳を迎える

2025~2034年 人口減少が本格化。女性の労働力に期待が高まる。

・全都道府県で人口減少が始まる

・都内で働く女性の数が1万2000人増加

・50歳男性の3人に1人が未婚

・男性の10人に1人は80代でも「現役」

2035~2039年 都市に元気なシニアが増大。地方では過疎化が深刻化。

・人口の3人に1人が高齢者(65歳以上)

・東京の年少人口は8%にまで低下

・秋田県の人口は3分の2になる

・長寿化で、首都圏が抱える75歳以上男女の数は約600万人になる

2040~2049年 ついに高齢者も減少。海外の活力に注目が集まる。

・死期を迎える人が増え、葬儀ビジネスが活況。

・3軒に1軒は空き屋になる

・2040年を境に高齢者も減少

2050~  80代男性、90代女性が当たり前の長寿大国になる

・人が暮らしていた国土の20%が無人化

・日本の人口が6400万人に半減

・日本人の平均年齢が55歳になる(2010年で45.1歳)

・有権者の平均年齢が60歳を超える

・女性の平均寿命は90.34歳に、男性は83.67歳になる

・出生数が2011年の半分になる

・100歳以上が63万4千人になる


人口が減る問題は最も確実に予測できる未来です。

特集記事では、まず女性の戦力化を進め、ついで高齢者の戦力化を進めるということが大切であると述べていますが、論理的帰結として適切でしょう。

そして、ここから読み取れる話として多くの地域から人がいなくなるという事実です。

過疎地域への支援も限界に近付いていると考えるべきということです。

数10年以内に地域から立ち退くという選択肢も視野に入れつつ、行動していくべきということでしょう。



(浅沼 宏和)

【トピックス】 日本を見捨てる富裕層

週刊ダイヤモンドの2011.10.8号で、日本の富裕層が海外に流出している件について特集がありました。

大筋の論旨は次の通りです。


急激な円高 ⇒企業の競争力低下・産業空洞化

⇒国力の低下 ⇒円安リスク

⇒財政破たんリスク ⇒国債暴落リスク・増税リスク

⇒震災・原発リスク ⇒健康リスク・不動産値下がり

ということで富裕層が海外に逃避するということです。


また、日本の場合

超富裕層(保有金融資産5億円以上)が6.1万世帯

富裕層(1億円~5億円未満)が84.2万世帯

準富裕層(5千万円~1億円)が271.1万世帯

アッパーマス層(3千万円~51千万円)が659.8万世帯

マス層(3千万未満)が3940万世帯

という構成になっているそうです。

国外金融機関のレポートによると、2010年の日本の富裕層は174万人で、着実に増加しているのだそうです。

しかも、日本は世界の富裕層人口1090万人の16%を占めるほどであるとのことです。

ただし、富裕層の9割が45歳以上であり、若年富裕層はほとんどいないとのことです。

富裕層が多くいる地域は主に関東だそうですが、福岡、静岡、岡山など、なぜか「岡」の字がつく健の比率が高いそうです。


マネジメント的視点からは国が富裕層の期待にこたえられていないということにつきます。


もしも、今後も政治セクターで意味ある打ち手が全く打たれない場合には、各人は生活防衛のために国外に移住する必要も視野に入れなければならないかもしれません。


(浅沼 宏和)

閑話休題-企業の生存率

先週、データエージェント社の月刊『近代中小企業』の別冊付録 「初めての事業計画書の作り方」の原稿を書き終えました。

先月は「運転資金編」を、当月は「創業資金編」を二カ月連続執筆しました。

創業資金編を書くに当たり、改めて統計資料を整理したところ、企業を取り巻く厳しい環境について改めて痛感しました。

会社の場合、創業後の生存率が

1年後が80%、5年後が約53%、10年後が約36%となっています。

つまり、10年で65%の会社が消えてしまうわけです。



これが個人事業になるともっと深刻です。

1年後の生存率が約63%、5年後が約26%、10年後が約12% にまで下がるのです。

つまり10年で9割の事業者が姿を消すのです。

これが事業の厳しさです。


私は今月刊行される創業資金編では

創業は基本的にはやめた方がよい。
もし、その危険を承知したうえで事業に踏み出す場合には、
せめてこの程度の事業計画書は作成できる程度には考え抜いてほしい。

と考えて多少きびし目な内容で書き上げました。編集部の趣旨とはちょっと違うかもしれませんが。


また、私はかねてより公的機関による創業支援には批判的です。

創業講座の受講生が10年後にどうなっているかを調べる必要があると思っています。

上記の数値と比べて良いか悪いかを調査しないと、みすみす失敗者を量産してしまうことになるからです。


(浅沼 宏和)

2011年10月2日日曜日

書評-仕事ができる社員できない社員

吉越浩一郎著 『仕事ができる社員、できない社員』 三笠書房、2011年   


原稿の締め切り等等に追われて、更新できない日が続きました。

当月から復活させます。


まず、手頃なビジネス・スキル向上本です。

だいたい、この手の本はドラッカーの「経営者の条件」の焼き直しが多く、後は事例の面白さでわかりやすさが加わるというタイプが多いです。


吉越氏は元・トリンプインターナショナルの社長で、退任後は人気ビジネス本作家に転身しています。

もともと面白いマネジメントをやられていた方ですが、私は吉越氏の最大のネタ本は「経営者の条件」と推測しています。

その意味ではドラッカー度80%コンサルタントの小宮一慶氏と近い主張です。


目次を見るとニュアンスが伝わりますね。

成果をあげるビジネスパーソンの特徴がそのまま目次になっていますので列挙します。

・勝ち負けにこだわる
・結果がすべてと考える
・あえて逆境に身を置く
・運、不運に捉われない

・損な役回りを買って出る
・いつか独立したいと考えている
・バカになれる

・楽観的
・無駄な体力を使わない
・始動が早い
・本をよく読む

・「なぜ、なぜ、なぜ」と考える
・整理がうまい

・走りながら考える
・初志を貫徹する
・決着をつけるのが早い
・一歩先を見て動く

・アイディアを形にできる
・感情をコントロールできる
・敵を敵のままにしておかない

・常に先手必勝
・締め切りを必ず守る
・仕事は教わるものではないと知っている

・集中するコツをつかんでいる
・難問も小さく分けて解く
・指示されたこと以上ができる

・周りの協力を得られる
・情報収集に熱心
・人脈がある

・人を上手に使える
・ヒトをおだてるのがうまい
・異性の社員に好かれる

・自分にも他人にも厳しい
・社風に染まる人
・一度決めたことは最後までやる
・自分の頭で考えられる

・何でも自分でやろうとする


などなどです。これでも全部ではありません。

半分以上の内容はほぼドラッカーと同じ意見ですね。

本書はチェックリスト的な理解でよいでしょう。


(浅沼宏和)

2011年9月23日金曜日

閑話休題-「笑っていいとも」の視聴率低下

ネット記事に平日お昼のTBSの「ひるおび!」の人気が高まっているという話がありました。

7月には同時間帯の民放番組の首位であったそうです。

同番組は、例えば野田首相就任時にはゲストに政治家、政治評論家他文化人を呼び、討論を行わせるなど、「主婦相手の時間帯だから」といったお茶の間をなめた姿勢がない点が評価されていました。

そこで、引き合いに出されたのがフジTVの「笑っていいとも」です。

お昼と言えば「笑っていいとも」が思い浮かぶほどの番組ですが、全盛期の80年代にはなんと視聴率27.8%を記録したほどだったそうです。

それが、現在では視聴率5%も珍しくないほど低迷しているということです。

記事では、お茶の間のニーズが「バラエティよりも情報番組を」、「報道の奥にある真実が知りたい」、「明日の日本がどうなるかを知りたい」といったものに変わっている現れであるということでした。

また、「笑っていいとも」の中で行われる、芸人のうちわ受け的な悪ふざけに受け入れられなくなっているとまとめられていました。

顧客は変わり、ニーズも変わります。顧客ニーズに合った価値提供をすることがビジネスの基本ですから、どれほど成功していてもそのモデルはいつかは陳腐化すると考えなければなりません。


(浅沼 宏和)

閑話休題-中日・落合監督の解任

中日の落合監督が解任されたというニュースがヤフーで流れました。

私は最近野球に関心が薄れているので、成績が悪かったのかと思ったら現在はセリーグ2位で、これまでもなかなかの好成績のようです。

解任の理由は以下の通りであるそうです。

・勝利至上主義で守り勝つ野球に徹したため、見ている側にとって面白みのない野球を行った。
・観客動員数が毎年低下し続けている。
・落合監督就任以来、一度も黒字になったことがない。
・首脳陣の高年俸


以上の点からドラッカーのマネジメント的に考えてみると、「顧客の創造」がうまくいっていないわけですね。

スポーツというものは確かに勝つことが大事であると思います。しかし、それを見ることで楽しみ、対価を払っている顧客が求めているものは二つあります。一つは勝利ですがもうひとつは感動・興奮でしょう。

守り勝つというスタイルは玄人受けするのかもしれませんが、感動・興奮といったものとは違うように思います。

成績を残しているのに解任されるというとなんだか変ですが、マネジメントから考えるとありうることですね。

ドラッカーには三人の石工というエピソードがあります。

一人目「これで生活しています」
二人目「国一番の石工仕事をしています」
三人目「大聖堂を建てています」

落合監督は二人目の石工と判断されたのかもしれません。


(浅沼宏和)

2011年9月18日日曜日

書評-どうする?日本企業  -セイコーの事例②

クオーツ式腕時計で一時は世界を席巻したセイコーの失敗についてです。


・セイコーは創業以来、時計専門店ルートを抑え込み、国内で中級帯と高級帯市場の60%を占有するガリバー的地位を占めていた。

・技術進歩の大きな波を見て、クオーツ時計のイノベーションに進み、それに成功すると一気に攻勢に出た。


・また、クオーツ時計もあっという間に香港の10ドル時計に返り討ちにされてしまった。しかも、限られた経営資源を普及帯のクオーツ時計に振り向けていたため、本丸の中・高級帯を攻め込まれてしまった。



三品教授は、創業者の服部金太郎氏の創業精神が孫の服部禮次郎社長による方針転換によって失われてしまったと指摘しています。


(浅沼 宏和)

書評-どうする?日本企業  -セイコーの事例①

三品和宏 『どうする?日本企業』東洋経済新報社、2011年


神戸大の三品教授の近作です。名著ですので、数回に分けて事例紹介をします。


日本企業の多くが数十年にわたり売上高を増加させつつ、利益率を低下させ続けてきたことを指摘し、有名企業の戦略失敗をかなり厳しく指摘しています。

まずは、セイコーです。


セイコーはクオーツ式の腕時計を発表し、世界を驚かせ、あっという間に市場を席巻したものの、あっという間に凋落し、本来の高級時計などでの優位性まで失ってしまったといいます。

・セイコーはクオーツ式腕時計の販売攻勢によって1977年には金額ベースで世界一の時計メーカーに躍り出た。スイスにも進出し、1980年には生産個数も世界一となった。

・クオーツ式を主力と考え、機械式腕時計の使命は終わったと認識し、最高精度をほこるグランドセイコーの販売を中止した。

・この時点で、セイコーはスイス勢を打ち負かしただけではなく、アメリカ・ナンバーワンのタイメックスも追いぬいていた。

・1980年代に入るとセイコーの売上高は急減し、最近の2009年の実績では1960年代半ばの水準にまで低下している。

・セイコーの事例は1980年代のアメリカのMBAでは成功事例の筆頭として教えられていたが、最近では大失敗事例として教えられている。

・セイコーはイノベーションに挑み続けていて、数々の革新を成し遂げた。それでも結果的に大失敗となっている。


なぜそうなったのでしょうか?


(浅沼 宏和)

2011年9月15日木曜日

ドラッカーのリーダーシップ論―戦略の10原則

①明確な目標に全力で取り組む

目的が明確でなければそこにはたどり着けない。リーダーが熱心でなければメンバーから真摯な持続的な参加は期待できない。


②イニシアティブを発揮し、その状態を維持する

素晴らしいアイディアは考えただけでは意味がなく、その具体化のためのアクションが不可欠。


③資源は節約し、集中的に使う

経営資源には限度があり、あらゆる局面で優位に立つことはできない。適切な場で投入することが大切。


④戦略的なポジションに立つ

もし、実践していることが成果をあげていないなら、戦略を見直すことも必要だ。


⑤相手が想定しなかったことを行う

競争相手が予想できなかったことを実行して驚かすのは非常に効果がある。


⑥ものごとを単純化する

NASAによると各部品の信頼度が99.9%であれば、ロケット打ち上げの失敗確率は50%にもなる。
単純な戦略ほど失敗確率が低い。


⑦いくつかの代替案を準備しておく

アクションは失敗することがある。代替案が必要。


⑧目標への迂回ルートをたどってみる

凝り固まった考え方や行動にまともに逆らっても必ず抵抗にあう。戦略に迂回ルートを組み入れておくことが肝心。


⑨タイミングと順番を合わせる

正しい戦略であってもタイミングと順番を間違えると間違った戦略を実施することと変わらない。

⑩自分の成功をうまく活用する

うまくいっているときにペースダウンしないことが肝心。相手にチャンスを与えないこと。

2011年9月14日水曜日

ドラッカーのリーダーシップ論―戦略的プランニングの考え方

ドラッカーが戦略的プランニングについて重要な要素と考えるのは次の通りです。

・途切れることのないプロセスである。

・現時点で行う、リスクを取る決定を含んでいる。

・将来起こりうる可能性―考えられること―の最大限の知識に基づいて意思決定している。

・決定を実行するための取り組みは、系統立てて組織化しなくてはならない。

・取り組みとともにフィードバックもまた系統立てて組織化する必要がある。


アイゼンハワーが「プランには意味がなく、プランニングがすべてだ」といっているのは、戦略が静態的なものではなく、動態的なプロセスであるからです。

事業環境の変化の多様な可能性や、事業そのものと環境変化をどう想定したかを記録しておけば、事を大局的に見ることができるようになり、リスクを避けると同時に容易にかつ優位に好機をとらえることが可能になります。


(浅沼 宏和)

ドラッカーのリーダーシップ論―事業の定義

ドラッカーは事業の定義こそリーダーの最も重要な仕事と考えていました。

・事業の定義こそ、リーダーの主要な責任である。

・手遅れになるまでそれをやらない組織は、結局破綻する。

・事業の定義は、関係部署のリーダーたちと一緒に検討する。

・事業を分析して正しい答えを見つけるために、次の問いに答える。

  誰が顧客か?
  顧客はどこにいるか?
  何を買い、その理由は何か?
  顧客の価値をどう定義するか?

この問いが最も重要というわけです。

戦略的プランニングはこの問いの答えを整理して表現するのですから必然的に重要ということになります。


(浅沼 宏和)

2011年9月12日月曜日

ドラッカーのリーダーシップ論―戦略的プランニング

ドラッカーは戦略的プランニングこそリーダーシップの土台と位置づけました。


リーダーの主な仕事は、組織のミッションを明確に打ち出し、目標の設定、優先順位、途中で進捗具合を測定する基準等とともに組織全体のミッションを周知徹底させることと考えていました。



・望ましい将来を切り開くために私たちは現時点で意思決定をしなければならない

・リーダーの目標から始めることが肝要となる。それが確立されて初めて将来の目標に到達するために現時点で必要なアクションを決定することができる。

・「マネジメントとは事を正しく行うことであり、リーダーシップは正しい事をすることである」という考え方


つまり、何が正しいことなのか、また、とるべきリスクは何かを決定できるのはリーダーだけであるということです。


(浅沼 宏和)

ドラッカーのリーダーシップ論―ドラッカー・モデル

コーン氏はドラッカーのリーダーシップ論について次のように結論付けています。


・戦略的プランニングがすべての基礎になる

・リーダーにはビジネス倫理と誠実さが備わっていることが求められる

・軍隊で教えるリーダーシップを基準となるモデルとする

・モチベーションについての心理学的法則を理解し、応用する

・効果的で全般的アプローチとしてのマーケティング・モデル


ということだそうです。


(浅沼 宏和)

ドラッカーのリーダーシップ論―ドラッカーのスタンス

原稿の締め切りに追われ、すっかりブログ更新が滞ってしまいました。

ここから復活させます。

当面、ドラッカーのリーダーシップ論について書いていきます。


全く意外なことですが、ドラッカーはあまりリーダーシップについて深く体系的に書いていないのです。

だからといってリーダーシップについて無視しているわけではなく、明らかに重視しています。

その辺の秘密について解説していある本が刊行されています。


ウィリアム・A・コーン 『ドラッカー先生のリーダーシップ論』ランダムハウスジャパン、2010年

コーン氏は大学院でドラッカーの授業を直接受けた人物です。

自身の考えたものをドラッカーに直接質問することで、ドラッカーの見解を良く引き出しています。

コーン氏の著作はドラッカーの考え方を知る上では貴重な情報が満載です。

以後、本書に沿ってドラッカーのリーダーシップ論を見ていきたいと思います。




(浅沼 宏和)

2011年8月26日金曜日

戦略計画は必要

『マネジメント』の記述です。



未来を考え、長期と短期をバランスさせる必要がある。

‥未来は望めばその通りに起こるわけではない。未来を築くには今決定を行わなければならない。

今、リスクを負わなければならない。今、行動しなければならない。


今日のトレンドを単純に引き延ばし、今日の製品、サービス、市場、技術がそのまま明日のそれであると仮定し、資源とエネルギーを昨日の防衛に使うようなことがあってはならない。

‥したがってわれわれが必要としているものは単なる長期計画ではない。戦略的な意思決定、あるいは戦略計画である。




長期計画と戦略計画の違いは、未来が現在の延長上にはないという明確な認識の差であるようです。

経済環境が不確実であるほど、長期計画ではなく、リスクを伴う意思決定である戦略計画が必要であるということだと思います。


(浅沼 宏和)

2011年8月25日木曜日

戦略計画という言葉の意味

ドラッカーの使う言葉には、似たような言葉との意味の違いが分かりにくい者がたくさんあります。

その一つが「戦略計画」という言葉です。

実質的な意味としては計画として立案された経営戦略のことですが、ドラッカーがこの用語を長期計画・短期計画というものとの対比から使っています。



今日、長期計画は誤解されている。短期の計画にも戦略は必要である。


この言葉は、短期計画が長期計画を細分化したものではないという意味です。

長期と短期はそれぞれ別の視点から検討されるべきものであり、その結果が戦略計画において統合されなければならないというのがドラッカーの考え方です。

ですから、戦略計画は長期と短期のバランスを取るというリスクを伴う意思決定になるわけです。

つまり、良く見受けられるような金融機関に提出する中期経営計画書やISOの目的・目標は戦略計画ではない場合が多いということです。


(浅沼 宏和)

2011年8月24日水曜日

意図せざる戦略を意図的に作れるか?

前回のミンツバーグの戦略論の続きです。

ミンツバーグの事後的な戦略論(創発戦略論)については批判があります。

そもそも意図せざる戦略を創りだそうとすることは意図的であるから自己矛盾ではないのか、ということです。

たまたまうまくいった話を後付けで説明しているだけであるのがミンツバーグの戦略論なのではないかということです。

この批判についてはドラッカーの理論で反論が可能です。


ドラッカーは、強みというものは最初から持っているわけではないと言っています。

可能な限りのうち手を数多く打っていく中で、思わぬ成功がおきることがあります。ドラッカーはこれを「予期せぬ成功」と呼びます。

この「予期せぬ成功」を突き詰めていくことが、これまで思いもしなかった新たな価値創出へとつながるというわけです。

つまり、 ①数多い打ち手 ⇒②予期せぬ成功 ⇒③予期せぬ成功の深掘り・さらなる打ち手 ⇒④パターンとして出来上がった事後的戦略(ミンツバーグ的戦略)

といえるのではないかと思います。

ポーターの競争戦略論とミンツバーグの創発戦略論という全く対極にある戦略論を包み込む大きさのあるドラッカー理論はやはりすごいと思います。


(浅沼 宏和)

ミンツバーグの意図せざる戦略

現在、いろいろな戦略論を整理しているので、ミンツバーグの戦略論を簡単に書きます。


ミンツバーグは、戦略とは試行錯誤を繰り返しながら、意図せざる形に形成されるものととらえました。

一般的な経営戦略のイメージが事前に詳細に検討して立案するものであるのに対し、ミンツバーグは事後的な戦略論というものを思いついたわけです。

80年代には、ミンツバーグは競争戦略論の大御所であるマイケル・ポーターと激しい論争を繰り返したという経緯があります。

二人の意見は正反対なものなのですが、ドラッカーはこの二人の戦略論のどちらも含まれてしまうほど大きな器の戦略論の持ち主です。

ということで、ミンツバーグの戦略論の事例を紹介します。


1960年代の米国の二輪車輸入市場はホンダが大変な勢いであった。輸入市場のシェアの6割を占めるほどであった。
ライバル社は、ホンダが中産階級にターゲットを絞って小型オートバイを販売する戦略をとったと考えていたが、実際に調査してみると事情が違っていた。

ホンダが米国市場で販売したかったのは当時米国で主流であった大型オートバイであった。
しかし、ホンダの大型バイクは全く売れないので困っていた。
そんな中、ホンダの社員が自分たちの足代わりに使っていた50ccのスーパーカブが、ロサンゼルスの街中で話題になっていた。

それに注目したスーパーマーケットのシアーズのバイヤーが、「スーパーカブを扱いたい」というオファーをホンダに出したのである。

ホンダ側は当初は「50ccを売ることは自分たちのイメージを損なう」として、当初は拒否していた。
しかし、シアーズの熱心な誘いに負けて、仕方なく50ccを販売することになった。
それがホンダ躍進の足がかりとなったというのが真相である。


まさに、瓢箪から駒というやつです。

このエピソードは米国ではとくに有名で、主要なMBAではケース・スタディとして教えているそうです。

これが事後的な戦略というものです。

ドラッカーはこうした出来事を「予期せぬ成功」といっています。

予期せぬ成功こそイノベーションの種であり、新たな強みや卓越性のもととなるものなのです。


(浅沼 宏和)

2011年8月23日火曜日

事業の目標

『マネジメント』の記述です。


事業の目的とミッションについての定義は、目標として具体化しなければならない。


そのうえで、目標について次のように説明しています。

① 目標はミッションを実現するための決意であり、成果を評価するための基準である。

② 目標とは行動のためのものである。

③ 目標とは、資源と行動の集中を可能にするものである。

④ 目標とは一つではなく複数のものである。

⑤ 目標とは、事業の成否にかかわる領域すべてについて必要である。


ドラッカーは、目標の内容は事業によって異なるというものの、目標を設定すべき領域はあらゆる事業に共通すると考えていました。

事業の成否を左右する要素は、どんな組織であっても同じだからです。

そこから私は戦略シートの構想を考え付いたわけです。


(浅沼 宏和)

体系的廃棄

ドラッカーは事業の定義に当たり、体系的廃棄を行うことを重視しています。経営資源に限りがありますので、ムダな資源投入を止めて、新たな取り組みに振り向けるステップということです。

『マネジメント』に次の記載があります。


新事業への参入の開始と同じように重要なこととして、事業の目的とミッションに合わなくなったもの、顧客に満足を与えなくなったもの、業績に貢献しなくなったものの体系的な廃棄がある。

「われわれの事業は何か。何になるか。何であるべきか。」を決定するうえで不可欠のステップとなるものが、既存の製品、サービス、プロセス、市場、最終用途、流通チャネルの分析である。



多くの場合、既存事業の分析を十分に行わないままに新規事業を行ってしまい、そのため資源の分散投入によっていずれも成果を得られないという結果になりがちです。

新規事業への取り組みと体系的廃棄はセットで考えるべきなのです。

ドラッカーによると、体系的廃棄の概念は1964年の「創造する経営者」で初めて紹介され、最初に実行した企業がGEであるとのことです。


(浅沼 宏和)

2011年8月22日月曜日

閑話休題-その場しのぎの対処法

YAHOOの記事に「誰もが陥っている“その場しのぎ症候群”の処方箋」という面白い記事が出ていました。

カリフォルニア大のR.Dボーン教授の学説に基づいて解説してるのですが、おおむね次のような話です。

1、次の項目のうち3つ以上に該当すると「その場しのぎ症候群」であるといえる。

① すべての問題を解決する時間がない
② おざなりの解決をしている
③ 問題が再発し、エスカレートしている
④ 問題の重要性よりも緊急性を優先している
⑤ 小事が大事に発展している
⑥ パフォーマンスが下がる

結構思い当たることがありますね。
それらの原因が以下のようなものであるといいます。


2、「その場しのぎ症候群」の原因

① 「その場しのぎ」でむしろ充実感を味わっており、「これで良い」との認識に陥っている
② 「その場しのぎ」が習い癖になってしまい、上司が部下に任せている中小問題に口を出す
③ 時間に追われ過ぎて、根本対策を考え実行する発想が頭から消えている。
④ 何より大きいのは「その場しのぎ」が社内的に承認されている。

3、その対策

① 問題の優先順位をつける
② 問題をグルーピングして、まとめて根本的に解決する
③ 「その場しのぎ」の行動に褒賞を与えない
④ 何が何でも「その場しのぎ症候群」を根絶するという強い意志をもつ


この説明を眺めてみるとドラッカーの意思決定論そのままであることが分かります。

ドラッカーは、多くの問題の表面的な違いにとらわれることなく、それらの根底に共通している根本的な問題に焦点を当てて解決することの必要性を指摘しています。

ですから意思決定の数は絞りに絞られるべきものであり、決定のための基準・原則を打ち立て、それに基づいて個別の問題を処理していくということを述べています。

つまり、「その場しのぎ」をしないことを求めていると言えるのです。


今回の記事を読むと、ドラッカーの意思決定論はいまだに基本原則として使えることを再認識できます。


(浅沼 宏和)

事業の定義の寿命

『マネジメント』の記述です。


事業の目的とミッションにかかわる定義のうち、50年どころか30年さえ有効なものはない。

せいぜい10年が限度である。

したがってマネジメントたる者は、「われわれの事業は何か」を問う時、

「われわれの事業は何になるか。われわれの事業のもつ目的・ミッション・性格に影響を与える可能性のある経営環境の変化は認められるか」

「事業の定義、すなわち事業の目的・戦略・仕事の中に、それら経営環境の変化を現時点でいかに組み込むか」

についても考えなければならない。


といっています。

これが現時点での戦略としてのマーケティング、事業の定義の変更の必要性としてのイノベーションという2大機能を生み出す基本的事情であると思います。


(浅沼 宏和)

2011年8月21日日曜日

顧客の価値

『マネジメント』の記述です。


顧客にとっての価値は、あまりに多様であって、顧客にしか答えられない。

したがって、答えを推察してはならない。 じかに聞かなければならない。

しかし、顧客にとっての価値から、事業の目的とミッションが自動的に明らかになるわけではない。


‥‥事業を決めるものは、世の中への貢献である。

貢献以外のものは成果ではない。 顧客が支払うものが収入である。 他のものはコストにすぎない。

外の世界、つまり市場から考えることが第一歩である。



これはドラッカーが最も重視する、事業の定義についての注意事項です。

このシンプルな問いの答えを導き出すこと自体がリスクを伴う意思決定になります。



(浅沼 宏和)


事業の定義の陳腐化

『マネジメント』の記述です。

成功は常に、その成功をもたらした行動を陳腐化する。 新しい現実をつくりだす。 新しい問題を作り出す。

「そうして幸せに暮らしました」で終わるのは、おとぎ話だけである。


‥‥しかし、成功しているときに自らの事業を問わないマネジメントは、つまりところ傲慢であって、怠慢である。成功が失意に終わる日は近い。


‥‥マネジメントたる者は、当初目標としていたものが達成された時こそ、「われわれの事業は何か」を問わなければならない。

それがマネジメントの責任というものである。

この責任を無視するならば転落あるのみである。



ドラッカーは、成功した人はついおごりがちになり、足元に忍び寄る危機に気がつかないと指摘しています。

これは人間の心理からしていた仕方のない部分です。

しかし、わが国には幸いなことに「驕る平家は久しからず」という誰もが知る教訓があります。

古い昔よりドラッカー的な教訓があるのですから生かさなければいけませんね。


(浅沼宏和)

2011年8月20日土曜日

事業は何か

ドラッカーが企業のマネジメントに置いて最も重視していることは事業の定義です。

『マネジメント』の中で、その具体例として、AT&Tの事業の定義の決定の背景を説明しています。

1910年前後のAT&Tの経営者であったセオドア・ヴェイルは、自社の事業の定義を「サービスである」と決定しました。

これだけでは、意味が分かりにくいので、もう少し詳しい定義に書き直します。


電話事業は地域独占事業であるため、公営事業化されやすい。
また、先進国では民営であることが例外的であった。
アメリカの電話事業会社として民営企業のままでいるためには、世論の支持が不可欠である。
世論の支持は、AT&Tを公営事業化する意見の持ち主を批判するだけでは得られない。
つまり、世論の支持には顧客満足が必要なのだ。
であるから、当社の事業はサービスでなければならない。

というものです。

こうした定義の仕方は時代を経ても通用するものです。


(浅沼 宏和)

2011年8月17日水曜日

目標管理と自己管理

ドラッカーは『マネジメント』の中で、目標管理の注意事項について述べています。


マネジャーが自分の業績を管理するためには、目標を心得ておくだけでは十分とは言えない。
目標と比較しながら、活動ぶりや成果を測定できなければいけないのだ。
事業の主要分野すべてに共通する明快な尺度をマネジャーたちに提供することを慣習として定着させるべきである。

尺度は厳密な意味で定量的である必要はなく、正確である必要もない。
ただし、シンプルでわかりやすく、理にかなっていなくてはならない。
測定にふさわしく、注意や努力をあるべき方向へと導くものでなくてはいけない。



私はこれについて、打ち手の数と得られた成果を数えるというやり方を模索しています。


たとえば顧客に対して主体的な働き方を行う、相談・頼まれごと等を受ける、予期せぬよいことが起きる、商談が成立する等の事実を数えるのです。

私の場合には、これらに★をつけることをルール化し、上がった成果・効果の大きさに応じて星一つから三ツ星までランク分けをするといったやり方をしています。


すると、「今月は★22個、★★5個、★★★2個だった」というように成果を可視化できるわけです。

星のつけ方について少し具体的なルールを作ればどのような組織であっても使えるのではないかと思っています。

これは非常に簡便なやり方ですが、わかりやすく効果的であると思います。

組織で導入しなくてもビジネスパーソンが成果を自己管理をするにはこれで十分です。


組織が目標管理制度を導入する場合、複雑なやり方ですと覚えるのに大変で、運用で挫折するような気がします。

私はどのような組織であってもこうしたシンプルなやり方の延長上で考えて、それぞれの組織に合った形でカスタマイズすることがよいと思っています。



(浅沼 宏和)

マネジャーの目標設定の具体例

ドラッカーは『マネジメント』の中で、マネジャーの目標設定の正しいやり方の事例を説明しています。


‥‥各マネジャーがまず上司と自分の職務上の目標を自分なりの理解に従ってしたためる。
次に、自分の課せられた業績基準を書く。
つづいて、目標を達成するためになすべき事柄を列挙する。
あわせて、部門内の主要な障壁も書きだす。

上司や会社の行いの中から、自分の助けになっていることがら、足を引っ張っている事柄を、それぞれあげる。
最後に、目標を達成するために次年度は何をするかを提案する。

上司の承認が得られると、この「マネジャーの手紙」は、書いた本人にとっての業務上の憲章となる。


シンプルですが目標管理制度の骨子を良く伝えているやり方であると思います。



(浅沼 宏和)

2011年8月16日火曜日

マネジャーの目標の決め方

ドラッカーの『マネジメント』の記述です。


‥目標を承認するかどうかの権限は、より上位のマネジメント層がもつのが筋である。
だが、目標の設定そのものはマネジャーの責任範囲に含まれる。というよりマネジャーの第一の責任である。
つまりマネジャーは、上位の組織の目標設定にかかわる責任をも担っているのだ。


‥マネジャーであるとは、責任を負うことを意味する。
マネジャーの目標は、上司や自分が何を望んでいるかではなく、事業の客観的な要請を映し出しているべきだ。


‥事業の究極的な目標は何か、自分には何がどのような理由で期待されているか、どのような尺度と方法で成果が得られるのかを知り、理解しなくてはならない。



ドラッカーの考えるマネジャーは自分の役割について自分の頭で考え抜く人のことです。

優秀なサッカー選手のようなイメージでしょうか。


(浅沼 宏和)

マネジャーが目標とすべきもの

マネジャーの目標設定に関するドラッカーの記述です。


「お偉方」から、生産現場の職長や事務長に至るまで、マネジャーはみな明確な目標を持たなくてはならない。
さもなければ、混乱が生じるのは目に見えている。
目標には、配下のチームがどのような業績を目指すかも、盛り込むべきである。


‥つまり、初めからチームの成果とチームワークに重点を置くべきなのだ。

目標は常に、会社のゴールをもとに決めなければならない。

‥マネジャーはみな、すべての事業分野における会社の目標達成を支えるために、自分がどれだけ貢献するかを明確に示すべきである。




ドラッカーの目標による管理の基本的な考え方です。

ドラッカーはガチガチな制度ではなく、制度の不備を各人の貢献意識で補うような考え方を持っているように思われます。

それがよかったのかどうかは組織の成果によって判断できるということです。



(浅沼 宏和)

報酬体系について

ドラッカーの『マネジメント』から賃金体系の考え方について抜き書きします。


どのような報酬体系においても、金銭は決してガラス張りではなく、繊細な価値観や性質をあらわす。
このため、本当の意味でシンプルで合理的な報酬体系などあり得ないのだ。‥






‥「科学に根差した方程式」を持ち込もうとしても完璧な成果は期待できない。






最善の報酬プランといえども、組織をまとめ上げる一方で分裂の芽を生み、方向付けをする一方で誤った方向へもそれる。
そして正しい行動だけではなく、望ましくない行動をも引き起こすのだ。‥






複雑な体系とシンプルな体系とでは、後者を選ぶべきである。
お仕着せの方程式を一律に当てはめるよりも、裁量の余地を残し、各人の職務内容に会った報酬を支払うべきである。



これがドラッカーの賃金体系の考え方です。

これに反して複雑で計算式を多く用いるような人事制度、報酬制度を導入されている例が多くありますが、運用のためのコストは多くなる一方で、それに見合ったメリットがあるかというと疑問が残ります。

人の作る制度には限界があるということを忘れず、適切な運用によって求める姿を実現することが大切であると思われます。



(浅沼 宏和)

2011年8月10日水曜日

◆拙著刊行のお知らせ

8月5日に拙著が刊行されました。


『ドラッカーが教えてくれた経営戦略シート』


浅沼宏和 著/中経出版

定価 1,500円+税



この本の目玉は事例が豊富であることです。

私が開発した経営戦略作成シートに書き込む形で各社の経営戦略を分析しました。

有名企業5社

1、ユニクロ(ファーストリテイリング)
2、青山フラワーマーケット
3、ガリバーインターナショナル
4、シマノ
5、オイシックス


中小企業5社

1、ゴトー理研
2、クリエイティブシステム
3、エコム
4、大和製作所
5、島田工業


中小企業は社員数15~40名程度の本当に身近な規模の企業ばかりです。

大手企業であろうと中小零細企業であろうと同じフォーマットで経営戦略を語れるところが特徴です。



(浅沼宏和)

2011年8月4日木曜日

ポーター 「トレードオフ」

ポーターの戦略論とドラッカーの類似点を示す部分をもう少し説明します。


戦略においては、何をするかという選択と同じくらい、何をしないかという選択が重要になってくる。

‥どの顧客グループをターゲットとし、どの製品種類やニーズに対応するかという決定は、戦略策定の基本である。

しかし、それと同様に、どの顧客やニーズを無視するのか、どの仕様やサービスを提供しないのかという意思決定も重要である。



ドラッカーの場合、戦略の要素の一つとして「集中」をあげています。集中とは一つを選び、残りを選ばないことを明確にすることです。

これはポーターの言うトレードオフに他なりません。


トレードオフとは両立できない二つの選択肢の一つを選ぶことであり、これこそが戦略であるというのがポーターの主張です。



(浅沼 宏和)

2011年8月3日水曜日

ポーター 「リーダーの役割」

ポーターは戦略におけるリーダーの役割について次のように述べています。

‥積極的に選択を行う意思を持った強力なリーダーが不可欠である。

‥多くの企業では、リーダーシップは単にオペレーションの改善や取引を調整するだけの存在になり下がっている。


‥企業経営とは、個々の機能の行司役を務めることではない。その中核には戦略がある。

自社の独自のポジションを定義・伝達し、トレードオフを行い、活動相互のフィットを育てるのが経営である。



ドラッカーはリーダーシップとはカリスマ性の問題ではなく具体的な「仕事」であるといっています。

そしてリーダーは組織・チームの進むべき方向を示し、各人の役割を定め、責任を負わせ、成果をあげさせる者としてとらえていました。

上記のポーターのリーダー論はドラッカーの理論と矛盾していません。

ポーターの競争戦略論は他社の裏をかいてうまいことをやるようなイメージでとらえる人もいます。

しかし、一つ一つの活動を丁寧に積み上げて独特のフィットを生み出そうとするポーターの戦略論は結構正攻法について書いてあると思います。



(浅沼 宏和)

2011年8月2日火曜日

ポーター「競争の二つの意味」

ポーターの関心は企業同士の競争にありました。

どのように競争するかが戦略であるというのが基本的な考え方です。


ポーターの初期の著作では業界内で独特のポジションをとることで競争を避けることの大切さが強調されていました。

後期の著作では企業経営における立地の重要性を指摘し、互いに競争することでレベルが上がることが強調されていました。


つまりポーターは一方では競争を避けるべきものと説明し、他方では競争によってレベルが上がるともいっているのです。


たとえるならば次のような意味であると思われます。


サッカーや野球などの人気スポーツは競技人口が多いため、お互いの切磋琢磨によって全体のレベルが引き上げられます。

これがポーターの後期の意味での競争の本質であり、好ましい競争であるわけです。



また、プロ選手となった人たちはトップ・レベルでの競争において自身の価値を認めてもらうために他の選手とは違う独特の強みを磨き、なくてはならない選手になろうとします。

これが初期の意味での競争です。


このように考えるとポーターの競争の定義は整合性を持って説明されると思われます。



(浅沼宏和)

2011年7月30日土曜日

◆「ドラッカーが教えてくれた経営戦略シート」完成

拙著の第二弾が完成しました。


本日、出版社から著者献本分が送られてきました。



「ドラッカーが教えてくれた経営戦略シート」

中経出版 / 定価:1,500円+税

8月5日刊行予定。

書店には数日遅れで並ぶ見込みです。



前著である「世界一やさしいドラッカーの教科書」、

2004年に共著で分担執筆した「キーワードで読む経営学」と並べると感慨深いものがあります。





(浅沼 宏和)

閑話休題-黒川温泉の将来

先日、Shizuginshipのスタディ・ツアーで熊本・鹿児島に出かけてきました。
その中で、全国的に有名な黒川温泉の成功事例を聞く機会がありました。


黒川温泉は平凡でさほど人気のない温泉地でしたが、地域の旅館の一致団結した取り組みで一躍全国区になったのです。

特に各宿にはそれぞれ自慢の露天風呂があり、それらの宿をめぐる湯めぐり手形を発行したことがブレークスルーのきっかけとなりました。


その黒川温泉の勝ちパターンは各温泉地にマネをされるようになっています。

現在はビジネスモデルの転換期に差し掛かっているということでした。

どのようにうまくいっているビジネスにおいてもイノベーションは必要ということでしょう。




(浅沼 宏和)

2011年7月29日金曜日

ポーター「差別化」

ポーターの競争戦略は他社との関係がポイントになります。ですから差別化が重要視されるわけです。



競争戦略の本質は差別化である。つまり、意図的にライバルとは異なる一連の活動を選び、独自の価値を提供することである。


‥戦略の本質は活動そのものにある。同じ活動をライバルとは違うやり方で進めたり、競合他社とは違う活動に着手する、それが戦略である。

さもなければ戦略とはいっても、単なるマーケティング上のスローガンでしかなく、とうてい競争の舞台で通用するものではない。



ポーターの競争戦略の差別化とは単純に製品やサービスの目先を変えるといった意味ではありません。

自社の活動のすべての組み合わせの在り方を他社と違うようにするという全社的な取り組みを指しています。

これは拙著でまとめたドラッカーの経営戦略論と非常に近い考え方になります。

ドラッカーの場合、顧客創造の成果は市場と顧客、商品・サービス、そしてその間をつなぐ流通チャネルのバランスによって実現されます。

さらにこの成果の3つの領域はヒト・モノ・カネの投入とその独特の組み合わせによってもたらされます。この全体の在り方を他社と違うようにすることが経営戦略です。

かなり似ていますね。



(浅沼 宏和)

2011年7月28日木曜日

ポーター「戦略とは何か」

ポーターの理論は初期のころと90年代以降のものとではちょっと違ってきています。

年々、ドラッカーに近くなってきている気がしています。

戦略の定義もちょっと変ったりしています。


戦略とは、企業としての活動の間にフィットを生み出すことである。

戦略が成功するかどうかは、多数のものごとをうまくやり(少数ではいけない)、しかもそれらを統合できるかどうかで決まってくる。

活動がお互いにフィットしていなければ、明確な戦略もありえないし、競争優位もまず維持できない。


ポーターは活動のフィットを特に重視するようになっています。


(浅沼 宏和)

ポーター「効率化と戦略の違い」

ポーターは効率化戦略は明確に違うものとしてとらえています。


しかし、企業の側ではこの違いが十分に意識されていないため、戦略が不在のままになっているといいます。

ポーターは米国の商業印刷業界の例を取り上げつつ、次のように言っています。


‥こうした競争はオペレーション効率を絶対的に改善するものの、相対的な優位は誰も手にしない結果に終わる。


‥生産性の改善分は、ほとんどが顧客や機器供給業者に還元されてしまい、優れた収益性という形では残らない。



効率性を争う競争では企業同士が似てしまうため、結局どの会社も利益が得られないというのです。


‥戦略は同じものに収斂していく。そして競争は、すべての企業が同じ道をひた走る、誰も勝利を得られないものとなってしまう。

オペレーション効率のみに立脚した競争はお互いに傷つけるだけであり、競争を制限することでしか止めようのない消耗戦になってしまう。


ということです。

ポーターは80年代までの日本企業の躍進が効率性競争に勝利したことでもたらされたものであり、その後の失速は戦略の不在によるものと分析しています。


(浅沼 宏和))

2011年7月27日水曜日

ポーター「業界とは何か」

ポーターの競争戦略論は業界分析と自社がその中でどのような立ち位置をとるかを考えるものです。


ここで問題となるのは「業界」とは何か?ということです。

一般的には、自動車業界、家電業界、医薬品業界といったくくりでいわれたりしていますが、ポーターは次のようにいっています。


互いに代替可能な製品をつくっている会社の集団―これが業界である


とすると、業界については色々な見方ができることになります。

たとえば同じ自動車であってもベンツとアルトでは「互いに代替可能な製品」とは言えないように思います。

ドラッカーはキャデラックのライバルはダイヤの指輪やミンクのコートであるという事例を取り上げていますが、この考え方からすると「ステータスシンボル業界」というものを考えることもできるでしょう。

ポーターの競争戦略論は一般的な知名度が高いため、安直な利用のされ方がなされているように思われます。

しかし、こうして概念を掘り下げていくと色々と考えさせるものであることがわかります。


ちなみに、私はポーター理論とドラッカー理論はお互いになじみやすいと考えています。



(浅沼宏和)

ポーター「競争戦略とは」

ポーターの戦略論は『競争戦略』と呼ばれています。   
要するに同業者などといかにして競争していくかを考えることが経営戦略であるということです。

ポーターの著作から、その説明の部分を抜き出してみます。


‥企業がその属する業界を全体として分析し、業界の今後の変化を予測し、競争相手の特性と自社の競争上の地位を理解し、この分析を特定企業の競争戦略に練り上げるための分析技法を、広い視野から説明しようとした


競争の戦略をつくるということは、企業がどのような競争に突入しようとしているのか、目標はどこに置くべきか、それら目標を実現するにはどんなポリシーが必要か、これらについて、幅広い処方箋をつくることである。


要するに自社が戦う業界を分析し、その中での立ち位置を決めていこうというものです。


こうした考え方はポーター以前の経営学にはありませんでした。

それ以前の場合、資源をまとめ上げてどのように使うかという計画的な視点の経営学が主流だったのですが、ポーターの登場で経営学は大きく変わったのです。



(浅沼 宏和)

マイケル・ポーターの競争戦略論

現在、マイケル・ポーターの著作を本格的に読み込んでいます。

ご承知の通りポーターは世界でもっとも有名な経営学者です。

一説によると経営学の三大権威は、マイケル・ポーター、ピーター・ドラッカー、そしてトム・ピータースであるそうです。

中でもポーターは学会においても並ぶもののない業績をあげて、ハーバード・ビジネス・スクールで史上最年少で正教授になっています。


彼の競争戦略論は影響力が大きく、「孫子以来の戦略家」とまでも言われているようです。

比較対象が2500年前の伝説的軍師であるところが、またポーターのすごいところです。


ポーターの理論は70年代後半から80年代にかけて特に注目を浴びていましたが、日本では最近特に再評価の流れができつつあります。

そのきっかけとなったのはワタミの社長である渡邊美樹氏が、座右の書としてポーターの著作をNHKで紹介したことだそうです。


ということで、これからポーターの著作の中から面白いところをちょくちょく紹介してきたいと思っています。

続けると際限もなくなりますので、並行していつものブログも書いていきます。




(浅沼 宏和)

2011年7月22日金曜日

ある経営者の名言⑧

・絶対あきらめない


「もうだめだ」「できない」というのは、実は自分の心が決めていること。
自ら限界を宣言してしまうようなものだ。

あきらめさえしなければ、知恵が湧いてきて必ず達成できる。



・世の中の流れを良く見る


時の流れを戻すことができないのと同様に、時代の流れ、うねりをとめることはできない。
だからといって、自分の信念を曲げて迎合しろということではない。

情報を取捨選択し、次はどうなっていくのか、良く観察し、
善処できる力を持たなければならない。



・世界の金持ちが次に考えていることは「人減らし」だ


世界人口が増え続けている。
いずれ食料不足が蔓延するだろう。

そんな少し先の世の中を読んで、
世界の数パーセントの富裕層が自己防衛で考えることは何か。

それは残酷のようだがどうやって人を減らせるかということだ。



・身なりの乱れは危険信号


髪を染めたり、髭を生やしたり、だらしのない服装にしたりすることで個性的だとか、
自己主張などと考えるのは間違いだ。
自由をはきちがえた身勝手にすぎない。

心の乱れ、弱さの裏返しともいえる。

よく人を身なりで判断してはいけないというが、
それは、人は身なりでその人を判断しがちなものだということのあらわれなのだ。


・一番先にやる


誰もやっていないことを最初にやるのは、勇気のいることだ。
難しいし、不安が付きまとう。

けれど、それをやらなければ、真の達成感は得られない。
最初にやった者しか獲得できないものがある。

二匹目のどじょうなどいないと思え。




・暇になると人間は腐る


仕事は忙しい人に頼めという。
暇な人間はろくな考えをしない。

それが習慣になって、さらに怠惰になる。
そして、最後には思考能力が停止する。




以上です。

これらは浜松のとある成長企業の創業者の語録です。

この会社はとても戦略的で、深く考えたマネジメントを実践しています。

さすがにこうした会社の経営者の言葉は奥が深くて勉強になります。



(浅沼 宏和)