本書は作者の岩崎氏から当社に送られてきたものです。岩崎氏はこのブログをよくご覧いただいているそうで、そうしたご縁から送っていただいたそうです。
本書は中小企業の経営者向けのマーケティングの本です。
市場のおける独自のポジショニングをとるという戦略と、お客さんの記憶に残るストーリーを作ることの重要性を指摘しています。
特に後半はWebを使ったマーケティング戦略で、この方面に疎い私には勉強になりました。
普段、あまり戦略本を読まない経営者にはとても有益であると思います。イラストも親しみやすく、読むのに抵抗感がないでしょう。
概略は以下の通りです。
・いいものを作っていれば売れるというのはもはや幻想。
・こんな時代でも売れているものはある。
・高性能・高品質・低価格はもはや当たり前。
・「大きな物語」が崩壊し、「小さな物語」に参加するようになった。
・今の消費者にはこれまでのマーケティングは通用しない。
・消費者は「物語」を買いたがっている。
・なぜ桃太郎はキビ団子ひとつで鬼退治の仲間を増やせるのか?
それは桃太郎が「共感できる物語に参加する」ということのマーケティングに成功したから。
・お客様に記憶していただくことが重要。
・性能や価格で競うポジションは地獄。小さな会社は違う競争軸でポジショニングする。
・競争軸をずらして差別化し、それをストーリーで伝えよう。
といった感じです。
要するに差別化戦略を物語を作ることで実行しようということで、全くごもっともな指摘です。
この後、夢を語る場を提供する居酒屋、儲かりそうな会社ではなく未来の日本に本当に必要とされる会社に投資する鎌倉にある投資信託会社、などなど風変わりな物語を持っている会社が紹介されるわけです。
本書はシンプルなコンセプトをていねいに書くというスタイルです。
マーケティングが苦手な中小企業経営者の入門書としてうってつけです。
(浅沼 宏和)