2011年5月23日月曜日

部品調達先の「集中」リスク

東日本大震災のダメージからの回復が急務となっていますが、今回の震災では輸送機器の部品調達体制の問題点が浮き彫りになりました。

自動車メーカー各社は3次下請け以降の調達先が想定外の集中をしていたことがわかって愕然としているそうです。

本来、下請けは1次、2次、3次と行くにつれてすそ野が広がるはずなのに実際には樽型の産業構造になってしまっていたわけです。

大手メーカーとしては従来、1次部品メーカーに任せておけば、コストと品質はクリアできていたわけです。

2次以降を把握しようすればコストアップになりますので、これまではやってこなかったわけです。

その代償として想定外の調達先集中リスクを抱え込むことになってしまいました。

ドラッカーは戦略とはバランスの問題であるといっていますが、品質・コストと非常時のリスク軽減という相いれない目標のバランスをどう取るかという問題はとても繊細な意思決定であると思います。

こうした流れの中で 安直な海外展開⇒国内の能力低下 といった事態が進行しなければよいのですが。


(浅沼 宏和)