2011年1月31日月曜日

戦略計画とマーケティング

戦略計画というのは1960年代ぐらいに米国の企業の間で流行したものです。今の経営計画の原型のような実務と言えばいいのでしょうか。

ドラッカーは戦略計画とはアクションプランであるという考えから、独自に定義を行いました。


ドラッカーの定義では、戦略計画とは

 1、リスクを伴う起業家的な意思決定を伴い

 2、その実行に必要な活動を体系的に組織し、

 3、それらの活動の成果を期待したもの比較測定する連続したプロセス

であるとされています。

ドラッカーのマネジメント論は、成果の3つの領域のバランスを現在の視点(マーケティング)と未来の視点(イノベーション)によってとっていこうとするものです。

それと合わせて考えると、戦略計画とはマーケティングとイノベーションをアクションプランに落とし込み、実行し、評価するというサイクルを連続的に行う活動 といえると思います。



同じく戦略計画についてのコトラーの定義を見てみましょう。


戦略計画とは、組織の目標と能力と変化するマーケティング機会とを戦略的に適合させ、維持するプロセスである。

戦略計画プロセスにおいては、明確な使命を打ち立て、目標と目的との達成を支援し、正しい戦略を策定し、適切に実施しなければならない。

といっています。

「明確な使命」とはミッション・ビジョン・バリューといった概念で、ドラッカーもこれこそ経営者の本質的な仕事であると述べているものです。

いい廻し方と重点の違いはありますが、ドラッカーとコトラーはほぼ同じ考えであることが分かります。あえて違いを言えばドラッカーの方がよりイノベーションを意識していると言えるでしょう。


(浅沼宏和)

2011年1月30日日曜日

再考・サービスの品質

コトラーによると、良質なサービスの定義とは「顧客の期待を上回るレベルのサービスを提供すること」です。

その要点は2つあります。


①顧客の期待を超える品質を提供しなければならない。


この原則の難しさは、たとえ顧客がサービスに満足したとしても、次にそのサービスを買ってもらえるとは限らないということです。

顧客の環境やニーズが変化したり、ライバルが新しいサービスを考案したりといったことで顧客が流れてしまう可能性が常にあるわけです。


②顧客の期待がサービスの品質評価に影響するばかりか、サービス提供者との関係にも影響を与える。


具体的には、顧客は、1 信頼性・2 対応の良さ・3 安心感・4 共感・5 物的証拠を含めた有形物 という5つの指標をもとに品質を評価していることに気をつけることです。

しかし、必死で努力しても満足のいくサービスが提供できないことがあります。その場合に大切なことは顧客の信頼を回復することに全力を尽くすことです。

顧客に謝罪し、状況をただちに改善し、不都合を埋め合わせ、なるべく同じ問題が起きないようにすることです。



(浅沼宏和)

2011年1月29日土曜日

◇伝統産業で生き残っている企業の特徴

産・学・公が連携して新ビジネス創出を目指している「伝統産業と先端産業の融合化研究会」の発表によると、伝統産業で生き残っている中小企業には次のような特徴があるそうです。



1、異業種の知恵を融合させて新製品の開発に挑戦している


2、異分野市場からの依頼にいつでも応えられる準備をしている


3、大学・研究機関との付き合いをこまめに行い、新しい技術に関する情報収集・共同研究をする


4、「ものづくり」の基礎としての「ひとづくり」を行っている


これらはドラッカーの経営論で言うところの、知識卓越性の創出にかかわる問題です。


知識と卓越性は「強み」から出発します。


そして強みとは「今できることを全部やる」ことで見つけるのが基本です。


今日できることを全部やる。これ以上ほんのわずかな上積みもできないほどやりつくす。時間を有効活用する。


このような真摯さが前提となってこそ、強みを見つけることができ、それが卓越性へとつながっていきます。


(浅沼宏和)

2011年1月28日金曜日

◇日本の百年企業の実態とは?

日本は世界でも群を抜く「老舗企業大国」なのだそうです。



帝国データバンクによると、創業100年以上の企業数は約2万社で、企業全体の1.6%です。

さらに200年以上が938社、300年以上が435社、1000年以上が6社となっているそうです。



100年以上の老舗企業が多い業種は、温泉旅館、酒類、服飾関係だそうです。


アンケートによると、100年以上の老舗企業の77.6%が「家訓・社是・社訓」があるそうです。

その役割としては、8割を超える企業が「基本的な経営方針」「社内の共通価値観の醸成」と考えています。


具体的には、信用第一、信頼、誠実、真面目 等のように「信」、「誠」、「真」の文字がつくことが多いそうです。


現代風にいえば、ミッション・ビジョン・バリューやその前提としてのフィロソフィーといった概念が必要であるということでしょう。

◇続・経営環境の変化

昨日の補足です。こうして並べてみると厳しさがひしひしと伝わります。



・2007年から団塊の世代の定年が始まり、今後はますます労働者人口が減少するとともに、年金生活者の割合が増加する。


・販売先も労働者についても外国人市場に頼らざるを得ない。


・25~29歳の未婚女性が6割、30~34歳の未婚男性が5割弱(2009年)となり、離婚率の急増と相まって単身世帯が急増し、全世帯のおよそ半分が家族数2人未満の世帯(2009年)となる。
 ⇒ライフスタイルの激変


・介護年金問題が深刻化。


・小売業の最大のライバルはインターネットとなった。

 ⇒大手上場企業は最終消費者までITシステムで囲い込むようになる。

 ⇒下請・取引先や最終消費者までネットワークでつないで仕事をグループ全体で効率化(全体最適)を目指す時代



・政府自治体は少ない公務員数で行政コスト削減を目指していく。


・最近、業歴30年以上の「老舗企業」の廃業が目立つようになっている。


・黒字法人の割合は20%台にまで落ち込んでいる。



経営環境の変化は歴然としています。

昨日のまとめでも明らかですが、前とどのように変えていくかという視点が必要です。



進化論を唱えたダーウィンの言葉です。

強いものが生き残るのではない。変化に対応できたものだけが生き残るのだ。




(浅沼宏和)

2011年1月27日木曜日

★お知らせ―『ドラッカー経営入門』刊行

2011年2月1日にデータエージェント社(東京)の『近代中小企業』の別冊として、


ゼロから始める 実践!ドラッカー経営入門    (税込:525円)

が出版されることとなりました。


本書は私がドラッカーの著作を読み比べてその論理構造を解きほぐしたものをまとめたものです。

ドラッカーのマネジメントとは「組織が成果をあげるためのすべての取り組み」と簡単に定義したところから始まり、


・現代では個人の成果は組織を通じてあげるようになっている。

・成果は3つの領域のバランスでのみ上がる。

・成果をあげるために最も重要な資源はヒト。

・ヒトという資源は時間と知識に分解して理解する。


等の私が独自に整理したドラッカー経営のポイントを中心に解説させていただいています。

市販のドラッカー本とは視点が違っていますので、これからドラッカーの著作を読んでみようという方、すでに読んでいるがさらに理解を深めようという方はデータエージェント社のHPにアクセスしてご是非購入ください。

また、当社のお近くの方はお声をかけていただければお届けいたします。






(浅沼宏和)






◇経営環境の変化

経営環境の変化(2035年まで続くトレンド)についてTKC全国会のまとめたものを情報提供します。

元ネタは吉本興業元常務・木村政雄氏の講演資料のようですが、頭の整理になると思います。




高度経済成長時代(1955-2000)‥‥かつての経営環境


・物価、企業数、売上、所得等、全国民がほぼ一律に15倍になった(45年間で)。

・営業、技術等の経営管理面での多少の弱点は経済成長がカバーした。

・大量生産、大量消費時代⇒仕事があるのは当たり前で「どうこなすか?」が課題だった。

・所属組織による団体行動、団体責任型に当てはまるような経営が求められた。*業界秩序重視

『地域NO.1戦略』がうまくいった。同業者・地域の中で1番であることが重要だった。

中の上を目指せばよかった。⇒「仲間と比べてちょっとうまくやる」



競合経済時代(2001-2035)‥‥今後直面する経営環境

・努力しているか否かで二極分化する。物価・所得等は平均2倍程度(廃業があるので企業数は2倍にならない)

・競争激化により弱い分野から問題点が次々と露呈する。

・多品種少量生産時代⇒「どうやって自分の仕事を創るか?」

・自己判断による単独行動・自己責任が基本。個性や特徴を尊重する経営。

『オンリー1戦略』が重要。お客さまにとってかけがえのない存在になる。

特徴を出すこと。他とは違う自分(自社)の特徴を強調する。



すでにこれらのことは十分知られています。しかし、実際に高度経済成長時代の行動様式を完全に切り替えることが出来ている企業やビジネスパーソンは多数派になっていないでしょう。

結局、経営について相当深く考えないといけない時代になったということです。

こうした話を知識として知っていても意味はありません。どう実践するのかがすべてでしょう。

ドラッカー経営の本質は、徹底的に考えて実践することですから。



(浅沼宏和)

2011年1月26日水曜日

◇知的資産報告書をめぐる最近の動向

先日、会計専門家向けの知的資産報告書についての研修を受けてきました。


私は2004年に経産省が出したブランド価値報告書について論文を書いたことがあるため、直近の動向に特に興味がありました。


講師は元・神戸大教授の古賀智敏氏で、知的資産関連ではトップランナーの一人です。


知的資産報告書というのは2005年に経産省から出されたフレームワークの名称です。



財務報告書には記載されないような会社の価値ある知的資産を積極的に開示することで外部関係者の信頼を高めようという意図をもつものです。


1990年代は、無形の資産をどのように金銭的に評価するかということが学会の論点でした、つまり財務報告書の欠点を修正していこうという視点が中心であったと思います。


しかし、今回のセミナーを聞いてわかったことは2000年代は財務報告書とは別に非財務情報報告書というものを重視していこうという議論に代わってきたということです。

これは大変な話でして、簡単にいえば「うちの会社がどれだけすごいか、将来性があるか」をフォーマルな形式で報告するというものです。


従来はこれを経営計画書という形で金融機関等に提供してきたと思いますが、これにきっちりとしたフレームワークを作っていこうという議論といえると思います。


受講して感じたのは、会計学の大家である古賀先生の議論自体が経営学の視点に完全に変わってしまっているということです。


これは大きなことで、実務の流れも変わってくるのかもしれません。


すでに行政書士や中小企業診断士を中心に知的資産報告書がちらほら作られ始めているようですが、私が見る限りまだまだ水準が低いという印象です。


普通にレベルの高い経営計画書を作成している会社からみれば、「なんだ当たり前のことじゃないか」といった感じなのですが、中小企業の経営に対する意識水準の底上げには貢献するような気がします。


だいたい、経営状況の報告スタイルが一つに収束するわけがありませんが、経営情報提供のレベルを示す基準としての意味はもつことになるのかもしれません。


(浅沼宏和)

サービスの品質は何で測るか?

良質なサービスとは顧客の期待を上回るレベルのサービスを提供することと定義されます。

では、そのサービスの品質はどのように測られるのでしょうか?

コトラーは5つの指標を提示しています。


1、信頼性

特に重要な指標。組織が一貫性を備えているか、信頼できる組織か、約束したことを守るかという視点から測られる。
できない約束はしてはならない。



2、対応の良さ

サービス提供者が嫌な顔をせず、速やかに、進んで顧客に手を貸してくれるかどうかで測る。
顧客のあらゆる関心事やニーズ、疑問、不満などに直ちに気づくことも大切。

顧客は、「できない」のか、単に「やりたくない」のかを敏感に察知する。「やりたくない」という印象を与えると対応がよくないと判断される。



3、安心感

サービスそのものの結果を評価することは難しい。だからこそ結果を顧客に信用してもらう安心感を与えることが重要。



4、共感

「あなたは他人と同じではない。特別で大切なお客だ」という気持ちを伝えることが顧客への共感の基盤。

顧客に共感するには、顧客のニーズとウォンツを詳しく知り、記憶しておかなければならない。



5、有形物

サービスには形がないので、顧客は品質を示す物的な手がかりを探すものだということをよく認識する必要がある。

だから、施設や設備、従業員、カタログなどの印刷物が望ましいイメージを確実に伝えるように心がけることが大切だ。



コトラーはサービスが無形であるがゆえに物的な証拠、有形物の持つ意味を大事にしています。

当社では環境整備を重視していますが、整ったきれいな環境はその会社の業務品質の物的証拠と位置づけることができると思います。


(浅沼宏和)

2011年1月25日火曜日

ユニクロ柳井氏のドラッカー談義

仲良くさせていただいている掛川の製造業S社の専務が、わざわざドラッカー関連の対談記事を送ってくださいました。

ユニクロの柳井正氏と本田OBで多摩美名誉教授の岩倉信弥氏との対談です。


タイトルもそのものずばり「ドラッカーと本田宗一郎 二人の巨人に学ぶもの」です。


まずは柳井氏の発言をそのまま抜き書きします。

 彼の本を最初に読んだのは大学時代で、日本の経営者の間でドラッカーの本を読むのがブームのようになっていました。
 読むとすごく役立つといわれていたので読んでみたんですが、その時は全然ピンとこないんですよ。


 考えてみたら当然なんです。こちらに経営の実体験がありませんから。それなのに文字の上だけで読もうとしていたので、当たり前のことが当たり前のように書いてある、という程度の印象でした。‥‥



その後、柳井氏はユニクロの規模を拡大していき借金をしていく中でこれは大変なことになったと思ったそうです。


そんな時に改めてドラッカーの本を読み返して見ると、彼の言っていることがはっきり理解できるようになったと述べています。


これに対して岩倉氏も、ドラッカーの本を読んだ時に 「なんだ、これは本田さんや藤沢さんが経営の現場で実際にしてきたことじゃないか」 と思ったそうです。



ここから2人は「良い経営は普遍的だ」という考えについて語っています。いくつか印象的なことをまとめますと




・「企業の目的は顧客の創造」は当たり前のこと。会社はお客様のものである。



・ドラッカーは考え抜くことの大切さを強調。本田宗一郎もとことん考え抜けと教えていた。



・ホンダではとことん考え抜いて若くして経営者の目線を持てた人が役員になっていった。



・サラリーマン意識ではだめ。自分が会社という場所に「自営業」をしに来ているという感覚が必要。



・自分の強みは何かを問え。



・ユニクロは「全員経営」「グローバルワン経営」を標榜している。つまり世界中で一番良い方法で経営していくこと。本田宗一郎も同じような考え方であったように思う。


たしかに、偉大な経営者の行動はドラッカーの言葉で説明できるものが多いと思います。

しかし、柳井氏ははっきりと意識して特別レベルの高いドラッカー経営を実践しているように思います。

柳井氏の著作やインタビューはどれをとっても参考になります。

60年代70年代に活躍された日本の経営者には特にドラッカー信奉者が多かったと聞いていますので、これからはこうした事績についても目を向けていければと考えています。


(浅沼宏和)

「サービス」という商品の特性

コトラーは、サービスというものには、無形性、不可分性、変動性、消滅性、といった特質があると述べています。


1、無形性

サービスは買わなければ、見ることも、味わうことも、触れることも、聞くことも、嗅ぐこともできません。

顧客は、そうした不安を軽減するためにサービスの質を示す「手掛かり」を探そうとします。
昨日書いた物的証拠がこれになります。



2、不可分性

サービスはサービス提供者と切り離すことができません。そのため提供者個人のプロ意識、外見、態度といった特性がすべてサービスの質を判断する材料となりえます。



3、変動性

サービスは人と切り離せないため、顧客へのサービスの質に差がでます。
優れた人でもミスをします。体調の良い悪いもあります。

こうしたサービスの変動性をいかに最小限にするかがポイントです。


4、消滅性

サービスは在庫することができません。ですから場合によってはお客がキャンセルした場合でも料金を請求したりします。

サービスの価値はその時間だけに存在し、お客が来なかった時点でそのサービスが消滅してしまったからです。

サービス提供者が販売しているのは基本的にはサービスを提供する1回1回の行為そのものです。


サービス業のみならず、商品提供にサービス的要素が加味される事業を行う場合にもこれらの特質をよく理解しておく必要があるでしょう。

モノを扱うビジネスをしている人にはなかなか理解できない部分もあると思います。

2011年1月24日月曜日

マーケティングの7Pとは?

今、コトラーのプロフェッショナルサービスに関するマーケティングの論文を読んでいます。

コトラーはドラッカーの影響を受けているので、私には内容がしっくりと来ます。

コトラーが有名なま「マーケティングの7P」を使って専門サービスの特徴を解説する内容についてですが、通常のビジネスにも関係しますから少しまとめます。


1、製品

ターゲット市場のニーズを満たすために提供される製品やサービスの組み合わせ


この色々と組み合わされている点がポイントです。製品はあくまで顧客満足の手段であるため、総合的な視点が必要です。

ですから、ネームバリューなどによる「安心」の提供も製品の一部と考えます。


2、価格

代価他にも、金銭以外の時間・各種手続、利便性といった面での負担も価格に含まれる。

長いこと待たされたり、何度も行ったり来たりしたり、用紙に何枚も記入が必要であることも価格に含めて考えます。


3、流通

ターゲット顧客にサービスを届けるために行うことがすべて含まれる。

営業時間延長、フリーダイヤルの設置、ウェブサイトの開設なども流通です。


4、プロモーション

ターゲット顧客にサービスの価値を伝え、購入を促すための活動。

関心を引きそうなイベントを行う等がそれに当たります。肝心なのは各種のプロモーション活動に一貫性があることです。
常に同じイメージと核になるメッセージを伝えることが重要です。


5、物的証拠

専門サービスのような無形財の場合、見る・触れる・感じることができない。それを補うための者が物的証拠。顧客は求めるサービスの質を見極める手掛かりとする。


例えば、オフィスの入居しているビル、調度品など。提供しようとするサービスとギャップのある物的証拠を見せてはなりません。


6、プロセス

仕事のやり方には極めて複雑なものもあれば単純なものもある。変動が激しいことも、ほとんど変わらないこともある。

病院でレントゲン写真を撮るやり方はそんなに変わらないが、胸やけや息切れを訴える患者の原因を突き止める方法はまちまちとなる。病院や医師が違えば違ったものになる。


7、人

人はサービスのマーケティングではとりわけ重要。サービスが無形であるため、サービスの価値や質は人を手掛かりにして求められる場合が多い。

特にそのサービスに直接関係する人は良く見られている。他の顧客を観察される場合も多い。


といった感じです。

当たり前のことですが、たまにはこうした視点から整理しておくことも必要でしょう。

ドラッカーのマーケティング概念は成果の3つの領域のバランスを取ることですが、マーケティングの7Pはその具体的手法と位置づけることができます。

色々な経営理論がありますが、最も包括的であり、またあらゆる経営理論を飲み込むことができるのがドラッカーのマネジメント論であると思います。


(浅沼宏和)

『経営者の条件』⑰―最終回

意思決定の続きです。


ステップ3: 何が正しいかを知る。

・やがて妥協が必要になるからこそ、誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならない。



ステップ4: 行動に変える。

・決定において最もこんなのは必要条件の検討、最も時間のかかるのが決定を行動にいつす段階。

・決定の実行が具体的手順として誰か特定の人の仕事と責任になるまでは、いかなる決定も行われていないに等しい。


・企業の経営方針には多くの場合、行動のための措置が盛り込まれていない。実行がだれの仕事にも、誰の責任にもなっていない。そのため単なるお題目と盛られている。


・「誰がこの決定を知らねばならないか」「いかなる行動が必要か」「誰が行動をとるか」「その行動はいかなるものであるべきか」

・意思決定を実施するためには、行動する人の能力に見合ったものにする。

・決定を実施に移し成果をあげるには、往々にして関係者が行動、習慣、態度を変える必要がある。



・ステップ5: フィードバックを行う。

・最善の決定といえども間違っていることがある。大きな成果をあげた決定もやがては陳腐化する。

・軍隊では決定を行った者が自分で出かけて確かめることが唯一の信頼できるフィードバックであることが知られている。

・自ら出かけて確かめることは、決定の前提となっているものが有効か、それとも陳腐化しており決定そのものを再検討する必要があるかを知るための最善の方法。


・意思決定とは判断である。いくつかの選択肢からの選択である。


・成果をあげる者は事実からスタートできないことを知っている。誰もが自分の意見からスタートする。しかし意見は未検証の仮説に過ぎず、現実に検証しなければならない。

・成果をあげる人は何よりもまず問題の理解に関心を持つ。


・何もしないと事態が悪化するのであれば行動しなければならない。急いで何かをしなければ機会が消滅するのであれば思いきって行動しなければならない。



以上で、経営者の条件の要約を終わります。


今回はとても長く連載しましたが、本書はとても重要なため、なるべく削る部分を少なくしました。

ドラッカーのこうした名言の数々は、実地の検証が必要です。時代の違い、国の違い、大企業と中小企業の違い等を調整することなく、そのまま使うと変な結論になるものもありますが、あえてそのまま載せてあります。


ドラッカー経営とは、こうした原則を自身が直面する現実に当てはめても正しいかを考えながら実行していくことであると思います。



(浅沼宏和)

2011年1月21日金曜日

『経営者の条件』⑯

意思決定のステップ2です。


・ステップ2: 必要条件を明確にする。

・意思決定においては目的・達成すべき目標・満足させるべき条件を明らかにする。

・必要条件は簡潔かつ明確にするほど決定の成果があがり、達成しようとするものを達成する可能性が高まる。



・「この問題を解決するために最低限必要なことは何か」を考え抜く。

・必要条件を見つけることは容易ではない。しかも知的な者ならば必ず意見の一致をみるというものでもない。

・必要条件を満たさない意思決定は成果のあがらない不適切な意思決定。


・必要条件の明確化は、「事実に基づく」のではなく「事実の解釈に基づく」ので難しい。


意思決定が満たすべき条件に注目しているところにドラッカーの着眼の鋭さがあります。

また、必要条件の明確化自体がリスクを伴う意思決定であるという点が重要です。


(浅沼宏和)

2011年1月20日木曜日

『経営者の条件』⑮

意思決定の続きです。意思決定には戦略的なものと戦術的なものとがあると思いますが、ドラッカーは戦略的なものとそれに準じる戦術的な意思決定を取り上げているようです。


・成果をあげる意思決定のためには5つのステップがある。


・ステップ1:問題の種類を知る。 
一般的な問題か、何度も起きる問題かを問う。基本的問題は原則・手順を通じて解決する。
例外的問題は状況に応じて個別に解決しなければならない。


・問題の4類型―

①基本的問題の兆候にすぎないもの(大多数がこれ)

②当事者には例外的だが実際には基本的・一般的問題であるもの 

③本当に例外的・特殊な問題 

④新しい種類の問題・一般的問題の最初の表れである問題


・本当に例外的な問題を除き、あらゆるケースが基本の理解に基づく解決策を必要とする。原則・方針・基本による解決を必要とする。

・一度正しい基本を得るならば、同じ状況から発する問題はすべて実務的に処理できる。


・圧倒的に多く見られる間違いは一般的問題を例外的問題の連続として見ること。一般的問題としての理解を欠き、解決についての基本を欠くためその場しのぎの処理となる。


・「常に問題は一般的である」という前提に立つ。

・成果をあげるエグゼクティブは原則や方針によって一般的な状況を解決していく。



できるビジネスパーソンは類推能力が高く、異なる状況の共通点によく気が付きます。

それに比べて今一つ成果のあがらない人は、異なる状況をそのまま異なるものと受け止めてしまうため、以前の経験が生きません。

ドラッカーの「常に問題は一般的である」という前提は重く、これを徹底できる程度に比例して成果をあげられると思います。


(浅沼宏和)

2011年1月19日水曜日

『経営者の条件』⑭

成果をあげる5つの習慣の最後が意思決定です。

本書では戦略的意思決定と、真因をつぶすような根本的問題解決が取り扱われています。


・大きな成功を収めるのは既存の製品ラインで新製品を出す企業ではない。技術・事業のイノベーションを目指す企業である。


・意思決定はエグゼクティブ特有の仕事。

・組織の業績に重大な影響を及ぼすような意思決定を期待されている者はエグゼクティブ。

・エグゼクティブは体系的プロセスとしての意思決定を行わねばならない。


・成果をあげるには意思決定の数を多くしてはならない。重要な意思決定に集中しなければならない。

・個々の問題ではなく根本的なことについて考えなければならない。

・決定プロセスで最も時間がかかるのは、決定そのものではなく実施に移す段階である。


・決定は実務レベルにおろさない限り決定とは言えず、よき意図にすぎない。


・意思決定で行うべき5つのこと

①問題の多くは原則についての決定を通してのみ解決できる。

②問題への答えが満たすべき必要条件を明確にする必要がある。

③妥協を考える前に、正しい答え、すなわち必要条件を満たす答えの検討が必要。

④決定に基づく行動を決定そのものの中に組み込む。

⑤決定の適切さを検証するためのフィードバックを行う。



次回以降、5つのことを詳論します。


(浅沼宏和)

2011年1月18日火曜日

『経営者の条件』⑬

成果をあげるための能力の4つめは集中です。



・成果をあげる秘訣は集中。成果をあげる人は最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしない。

・集中が必要なのは、真の貢献をもたらす仕事に割ける時間が少ないから。

・時間の収支は常に赤字。


・上方に対する貢献に焦点を合わせるほど、まとまった時間が必要。

・忙しさに身を任せるのではなく、成果をあげることに力を入れるには継続的努力が必要。そのためにまとまった時間がいる。



・本当に生産的な半日、あるいは二週間を手に入れるためには、厳しい自己管理とノーが言えるだけの不動の決意が必要。

・自らの強みを生かそうとすれば、その強みは重要な機会に集中する必要を認識する。

・集中はあまりに多くの仕事を抱えているからこそ必要。



・仕事と労力と資源を集中するほど、実際にやれる仕事の数と種類は多くなる。

・集中すると結果的に人より少ない時間しか必要としない。成果をあげられない人の方が多くの時間働いている。

・成果をあげる人は多くのことをしなければならないこと、しかも実際に成果をあげなければならないことを知っている。



・集中の第一原則 : 生産的でなくなった過去のものを捨てること。

・自分と部下の仕事を見直し、「まだ行っていなかったとして、今これに手をつけるか」を問う。無条件にイエスでない限り、やめるか大幅に縮小する。

・第一級の資源、特に人の強みという希少資源は昨日の活動から引き上げ、明日の機会に充てなければならない。


・完全な失敗は消滅する。昨日の成功で非生産的になったものは生き続ける。危険なのは本来うまくいくべきなのに、なぜか成果のあがらないまま続けている仕事。


・自ら成果をあげて組織が成果をあげることを望む者は、計画・活動・仕事を常時点検する。「これは今も価値があるか」を問う。

・成果をあげる者は新しい活動を始める前に必ず古い活動を捨てる。


・新しいものにやさしいものはない。


・新しいものに新しく人を雇うことは危険。新しいものは実績ある人、ベテランによって始められること。

・プロジェクトが完結しているように見えたとしても、誰かが自分の仕事としてルーティーン化しなければ完結しない。



・状況に流されて優先順位を決定すると、トップ本来の仕事、つまり今日と違う明日を作り出すことができなくなる。



・状況に流されると、未来より過去を、機会より危機を、外部より内部を、重大なものより切迫したものを選びがちとなる。


・優先順位の決定は比較的容易。難しいのは劣後順位の決定、すなわち取り組むべきではない仕事の決定。

・延期した計画は後日取り上げてはならない。後日ではすでにタイミングが狂っている。タイミングはあらゆるものの成功にとって最も重要な要因。


・優先順位の決定の原則 ①過去より未来を  ②問題ではなく機会を ③横並びではなく独自性を ④無難で容易なものではなく変革をもたらすもの


強みを生かすとは、優先順位にもかかわります。ですから後半部分が優先順位の話になっています。

強みについて、ドラッカーのまとめを読むと、ビジネスパーソンが勘違いしていることも多そうです。

『経営者の条件』⑫

強みについての最後です。


・人間集団の基準はリーダーの仕事ぶりで決定される。したがってリーダーこそ強みに基づいて仕事をしなければならない。

・人間の世界では、リーダーと普通の人たちの仕事ぶりは一定。リーダーの仕事ぶりが高ければ、普通の人の仕事ぶりも高くなる。


・エグゼクティブの任務は人を変えることではない。人の持つあらゆる強み、活力、意欲を総動員することで全体の能力を増加させること。



リーダーについての強み論です。

リーダーには最大の成果責任があるということですね。



(浅沼宏和)

『経営者の条件』⑪

原稿執筆などでだいぶ後れを取ってしまいました。これから追いついていきます。

ドラッカーの強みについての見解は後に、ハメル&プラハラードの「コア・コンピタンス」論につながりました。

両者の見解に相違点はあまりありません。


・強みに基づいた人事を行う4つの原則

①適切に設計する :前職で十分な仕事ぶりであった人を挫折させる仕事には再設計が必要。

②多くのものを要求する :仕事は多くを要求する大きなものに設計する。要求される者は必ず変化する。

③その人にできるものにする :人事においてはその人にできることからスタートする。

④強みを手にする者は弱みは我慢する :身近な人からみて偉大な人はありえない。その仕事の関係する強みがあるかを問う。


・実績を持つ者には機会を与えなければならない。際立つ成果をあげられない者は容赦なく移動させねばならない。

・成果をあげるには上司の強みを生かさねばならない。

・上司を生かすことが部下自身が成果をあげるカギ。上司に認められ、活用されることで初めて自らの貢献に焦点を合わせることが可能。



・自身の仕事においてもまず強みからスタートする。すなわち自らできることの生産性をあげること。


・成果をあげるエグゼクティブは、してよいことで、かつ、する値打ちのあることを簡単に探してしまう。不満を言う代わりにしてよいことを次から次へと行う。



この後半部分は、一般的にイメージされる強みの概念とは違っていると思います。


できるビジネスパーソンは与えられた状況で他人より多くのうち手を打ち、そこから予期せぬ成功を導き出して、それがいつしか強みになっていくわけです。

2011年1月15日土曜日

『経営者の条件』⑩

強みの二回目です。


・業績は貢献、成果といった客観的事実によって評価しなければならない。
それには仕事を非属人的に規定、構築して初めて可能になる。

・人に合わせて仕事を構築するなら、組織は情実となれ合いに向かう。

・一流のチームを作る者は直接の上司や部下と親しくしない。仕事上近い人間とは距離を置く、孤高を保つことで多様性に富むチームを作る。


これらの内容にはドラッカーの仕事観が色濃く表れています。

「成果に目を向けて全力を尽くす」という言葉を、その通りに実行することは厳しい姿勢が必要だということです。

ドラッカーは仕事に対しては一切の妥協の余地がない厳しさを求めています。


(浅沼宏和)

2011年1月12日水曜日

『経営者の条件』⑨

成果をあげる能力の3つめは「強み」です。


・優れた人事は人の強みを生かす。弱みからは何も生まれない。

・組織は人の弱みを克服できない。しかし、人の弱みを意味のないものにできる。

・大きな強みを持つ人は、ほとんど常に大きな弱みを持つ。


・人に成果をあげさせるには「自分とうまくやっているか」と考えてはならない。「どんな貢献ができるか」を問わねばならない。

・人の卓越性は一つの分野、あるいはわずかの分野において実現されるのみである。

・人と強みを探し、その強みを生かそうとしないなら、できないこと、欠陥、弱み、障害だけを手にすることになる。


・強みを生かすとは成果を要求すること。何ができるかを最初に問わねば、期待しうる貢献よりはるか低い水準で我慢せざるを得ない。

・仕事は客観的に設計しなければならない。人の個性ではなく、なすべき仕事によって設計しなければならない。

・組織における多様性を確保するには人間関係を人ではなく仕事を中心に構築しなければならない。


強みを生かすことと、得意なことを好きなようにやらせることとは意味が違います。強みを生かしてもらう以上、並より優れた成果を求めなければなりません。

好きなようにやらせて成果が上がらなければ、そのやり方は強みを生かしてるとは言えず、間違っていると判断します。


(浅沼宏和)

2011年1月11日火曜日

『経営者の条件』⑧

貢献の最後です。貢献が組織のコミュニケーションや能力開発の基本となります。


・貢献に焦点を合わせることで、コミュニケーション、チームワーク、自己開発、人材育成という成果を上げることができる。

・成果を上げる者は部下たちが貢献すべきことを要求する。部下たちは「自分はどんな貢献を期待されるべきか」を考える。

・果たすべき貢献を考えることで横へのコミュニケーションが可能になり、その結果チームワークが可能になる。


・もっとも複雑な組織である病院では、主治医の治療方針という総合的な行動計画にしたがって共通の目的のために多様な専門家が指揮や命令を受けることなく協力して働く。



・知識労働者は自身の知識分野に関してプロでなければならない。自身の能力や仕事に関して自らに責任があると考えなければならない。


・自己開発は貢献に焦点を合わせているかにかかっている。貢献に焦点を当てれば、部下、同僚、上司を問わず、他人の自己開発を触発する。


・知識労働者は自らに課す要求の大きさに応じて成長する。自らに少ししか求めなければ成長しない。



(浅沼宏和)

2011年1月10日月曜日

『経営者の条件』⑦

貢献の二回目です。


・貢献に焦点を合わせることは人材を育成すること。人は課された要求水準に適応する。

・成功した人はみな貢献に焦点を合わせた。失敗した人のほうがよく働いたという例は多い。しかし、彼らは自分自身に挑戦しなかった。努力の方向を変える必要に気づかなかった。


・地位が高くなれば外の世界への貢献が大きな比重を持つ。

・知識労働者は貢献に焦点を合わせることが必要。

・知識労働者が生産するのはアイディア、情報、コンセプト


・ゼネラリストの意味ある唯一の定義は「自らの知識を知識の全領域に正しく位置づけられる人」。


・対人関係の能力で良い人間関係がもてるわけではない。貢献に焦点を合わせることによってよい人間関係が持てる。


・生産的であることがよい人間関係の唯一の定義。


・仕事上の成果がなければ温かな会話や感情も無意味、貧しい人間関係を取り繕っているにすぎない。


これは一般的な常識と違うように思えますが、ここにドラッカーの成果論の本質があります。

例えば人気お笑い芸人のコンビが私生活では不仲でお互いの電話番号すら知らないことが多いといいますが、成果を上げている以上、それは「良い人間関係」なのです。


(浅沼宏和)

2011年1月8日土曜日

『経営者の条件』⑥

成果を上げる習慣の二つ目は貢献です。



・成果をあげるには自らの果たす貢献を考える。手元の仕事から顔をあげて目標に目を向ける。責任を中心に据える。

・ほとんどの人は成果ではなく努力に焦点を合わせている。組織が自分にしてくれることを気にしている。何よりも自分が持つべき権限を気にする。その結果、本当の成果をあげられなくなる。


・貢献に焦点を合わせることで自分の狭い専門・スキル・部門ではなく、組織全体の成果に注意を向けるようになる。外の世界に目が向くようになる。


・貢献に焦点を合わせると組織全体の目的との関係について徹底的に考えざるを得なくなる。その結果、仕事のやり方が大きく変わっていく。


・貢献を問うことは可能性を追求すること。すると優秀な成績といわれるものがその膨大な可能性からするとあまりに小さな貢献であることが分かる。

・「どのような貢献ができるか」を自問しなければ目標を低く設定してしまうばかりか間違った目標を設定してしまう。自分の貢献を低く設定してしまう。


・なすべき貢献は、直接の成果、価値への取り組み、人材育成に対してなされるべき。

・直接の成果は明白、経営上の業績、患者の治癒率など。直接成果は常に重要。


・ビジョン・能力・業績において今日の水準を維持しているだけの組織は適応能力を失ったというべき。社会において唯一確実なものは変化。自らを変革できない組織は明日の変化に生き残ることができない。


貢献とは成果を別の視点から言いかえた用語です。ドラッカーは同じ内容を違う言葉で表現することがよくあります。



(浅沼宏和)

2011年1月7日金曜日

『経営者の条件』⑤

時間管理の後半です。


・時間の使い方は練習で改善できるが絶えず努力しないと仕事に流される。

・システムの欠陥、先見性の欠如からくる時間の浪費がある。発見すべき兆候は周期的混乱。

・周期的に起きる混乱は予防するか、事務的に処理できる日常の仕事としてルーティーン化しなければならない。


・ルーティーン化とは判断力のない未熟練の人でも天才を必要とする仕事を処理できるようにすること。

・マネジメントが生き届いた工場は静か。良い工場は見た目に退屈。混乱が予防されていると劇的なことは何も起きない。


・人員過剰からくる時間の浪費がある。

・組織の上位者が1割以上の時間を人間関係などにとられているようなら人が多すぎる。



・組織構造の欠陥からくる時間の浪費がある。兆候は会議の過剰。

・会議は原則ではなく例外にしなければならない。


・自由になるまとまった時間はさほど多くはない。

・成果を上げるには自由に使える時間を大きくまとめる必要がある。小さな時間は役に立たない。


・まず本当に自由な時間がどれだけあるかを計算する。次に適当なまとまりの時間を確保する。そして常に非生産的な時間が浸食していないか目を光らせる。


要するに時間をまとめて投入することが時間管理の基本です。まとめた時間は成果領域にあてがいます。

ドラッカー経営はこのように当たり前のことを高いレベルで行うことを求めるものです。

決して楽をしない取り組みをするということです。







(浅沼宏和)

2011年1月6日木曜日

『経営者の条件』④

成果を上げる習慣の一つ目。時間管理の前半部分です。


・成果を上げる者は仕事からスタートせず、時間からスタートする。

・何に時間を取られているかを知り、時間を管理し、得られた時間を大きくまとめる。

・時間の記録・整理・まとめるという3段階のプロセスが成果を上げる時間管理の基本。


・時間こそが普遍的制約要因。成果の限界を規定するのは最も希少な資源である時間。


・地位が上がるほど時間が足りない。

・仕事のほとんどは大きな塊の時間が必要。細切れでは意味がない。

・人と働くときには時間が必要。数分を使うことはかえって非生産的。


・知識労働者には自らの方向付けをさせなければならない。

・成果と業績を上げるには組織全体の成果と業績に焦点を合わせる。

・組織が大きいほど人事の意思決定が頻繁に必要。


・人は常に仕事については及第点であるにすぎない。

・創造と変革には膨大な時間が必要。短時間で行えるのはすでに知っていること、既に行ったことだけ。

・知識労働者が短時間労働ですむには、既存の枠にしがみつき、創造と変革を避けることが許される場合だけ。


・まず時間を記録する必要がある。

・時間の活用と浪費の違いは成果と業績に直接現れる。


ドラッカーはヒトという経営資源は時間と知識に分解できると述べています。

時間についての徹底的な検討が成果を上げる第一歩です。


(浅沼宏和)

2011年1月5日水曜日

『経営者の条件』③

成果をあげる方法についてです


・成果をあげる人のタイプという者は存在しない。共通するのは成果を上げる能力。

・成果を上げることは習慣。実践的能力の集積。したがって習得できる。


・成果を上げるための習慣的能力は5つ

①時間を何にとられているかを知る。残された時間を体系的に管理する。

②外の世界への貢献に焦点を合わせる。

③強みを基盤とする。

④優れた仕事が際立った成果を上げる領域に力を集中する。

⑤成果を上げるように意思決定をする。


この5つはビジネスパーソンが成果を上げるための基本的な習慣です。

ドラッカーのマネジメント論の根幹を支える5つの習慣ですからこれから十分にまとめていきたいと思います。


(浅沼宏和)