2011年5月7日土曜日

書評-「ユニクロ帝国の光と影」④

横田氏はユニクロが日本のアパレル業界に果たしてきた功績を次のように分析します。


1960年代は百貨店が衣料品を中心に「豊富な品ぞろえ」という革新を起こした。‥‥第一次流通革命

70年代、80年代にかけてダイエーやイトーヨーカドーといったGMS(総合スーパー)が衣料品の価格を引き下げた。‥‥第二次流通革命

90年代の衣料品専門店の台頭を経て、2000年代に入ってSPAの時代に突入した。‥第三次流通革命


ユニクロがSPAとなる以前のアパレル業界は流通形態が多層化・複雑化していたため、膨大な無駄が発生していたそうです。

具体的には、どの商品がどの程度売れるかという予測がつかないために、各流通段階で過剰在庫を抱えるというやり方に凝縮されていたのです。

アパレル業界の非効率な構造のつけは割高な商品価格として消費者に負わされていたのです。

アパレル業界はこうした無駄を解決するための努力を避けてきたといいます。

構造の是正ではなくて商品にファッション性ブランドという装飾を施して価格を高めに設定することで、旧態依然とした業界のしくみの延命を図ろうとしていました。

この状況に反旗を翻したのが柳井正氏であったわけです。


(浅沼 宏和)