2010年3月4日木曜日

書評 「社長の教科書」⑥

第6弾です。今回は「ヒト」に関する部分に少しふれます。


小宮氏は、人を思い通りに動かすといったたぐいの本をいくら読んでも、人を動かすことはできないといいます。

まず、小宮氏自身、人生において自分を完ぺきに動かすことができた日すら1日もなかったといいます。ましてや人を動かすことなどできるわけはないといいます。

そこで小宮氏が提唱するのは「良い仕事をした人をほめること」です。

この「良い仕事」について少し説明が必要です。

まず、小宮氏は多くの会社で実施されている成果主義人事制度はすべて誤りであるといいます。制度のほとんどは「良い仕事」を評価するのではなく、売上や利益を評価する仕組みとなっているため、良い仕事を目的としないで売上・利益を目的とする結果となっているというわけです。

ドラッカーも目標管理について同じ指摘をしています。


小宮氏も次のような表現で成果主義を批判しています。

「 ‥‥しかし、成果主義人事制度のもとでは、良い仕事をしなくても、お客様をだましても、法律をおかしてでも、果ては世界同時不況を引き起こすような事態を起こしてでも、稼ぐ社員が良い社員だとする会社が出来上がってしまったのです。」

ただし、この「良い仕事」を誤解してはいけないといいます。

自己満足の良い仕事ではダメで、顧客や周囲の人が認めてくれるような良い仕事でなければなりません。それは結果がともなった良い仕事でなければならないということです。

この辺りが難しいところなのですが、要するに例の「三人の石工」の話同じということですね。