2011年10月6日木曜日

書評-「すべては売るために」①

セルジオ・ジーマン著 『すべては売るために』海と月社、2010年


ジーマンはかつてコカ・コーラ社のトップであった著名マーケッターです。

本書は非常にドラッカー的であり、ドラッカー度数85%以上といってよいでしょう。

以下、印象的な内容をまとめていきます。


・マーケティングの目的はただ一つ。あなたの商品をできるだけ多くの人に、
できるだけたくさん、できるだけ何度も買ってもらい、できるだけ多くの利益をあげること

・商品を売るには、人々に欲しいと思ってもらわなければならない。
・マーケティングの効果は測定・検証しなければならない。それは「投資」となんら変わらない。

・マーケティング予算は、「どれだけ売上を伸ばせるか。そのために何をすべきか」を考えて決める。
・「買いたい」と思う人がいなければ意味がない。

・市場で商品のポジショニングをするのがマーケティングだ。
・「他とどう違い、どう優れ、どう特別なのか」を知らせる必要がある。

・結果重視のマーケティングなしに、新しい顧客を獲得することはできない。

・商品を買う理由を常に与え続けることを忘れてはならない。

・マーケターの最終目標は、会社の総資産利益率(ROA)を最大化することである。いいかえると、それ以上投資しても利益率があがらないところまで商品を売るということ。

・すぐれたマーケターは会社が生産できるものをすべて売る。航空会社はこれを「イールド・マネジメント」と呼ぶ。値引きをしてでもすべての座席を売り切るということ。

・目標を低く設定すると、みんながその暗示にかかる。

・計画の基本は、売るべき量を決め、そこに至るまでの現実的な方法を見つけ出すこと。

・商品を大量にさばくことは不可能ではない。無料同然にすればよい。世界中でどれだけ多くの企業が利益の出ない価格でモノを売っていることだろう。

・マーケティング活動の軸がぶれる最大の原因の一つは、求めている結果をうまく定義できないことだ。

・勝ちたければ、自制心、決断力、考え抜かれた脚本が必要だ。戦略を立てなければならない。


・ただやみくもに活動してもうまくいかない。売りたいと思うものを、買いたいと思ってもらうプロセスを、システマティックに計画し、実行しなければならない。戦略がすべて。

・効果が思ったほど上がらなければ状況に合わせて戦略を見直す。


・大切なのは、できるだけ多くの商品を、より高く買ってもらうにはどうすればよいかを常に考えること。

・マーケターであるあなた自身が明確な商品イメージを持つこと。


・共通の目的地を目指す一本の進路が必要だ。それが戦略だ。

・戦略は道路地図だ。目的地に到達するためにどんなルートをとればよいか示す。交通手段が戦術だ。


・戦略が決まったら自動的に戦術が決まるわけではない。多くの時間をかけて戦術を試し、検討し、練り直さなければならない。戦略はそのプロセスで指針となる。


・売上だけにとらわれているうちに、ブランドや商品サービスの質が落ちていくこともある。

・あらゆることについて考えよ。常に周りを見る。本当に起きていることを知る。一見別々のものごとのつながりを理解する。そして自分の意見を形成し、どんな行動をどのように取るかの基本にする。



(浅沼 宏和)