2011年9月18日日曜日

書評-どうする?日本企業  -セイコーの事例①

三品和宏 『どうする?日本企業』東洋経済新報社、2011年


神戸大の三品教授の近作です。名著ですので、数回に分けて事例紹介をします。


日本企業の多くが数十年にわたり売上高を増加させつつ、利益率を低下させ続けてきたことを指摘し、有名企業の戦略失敗をかなり厳しく指摘しています。

まずは、セイコーです。


セイコーはクオーツ式の腕時計を発表し、世界を驚かせ、あっという間に市場を席巻したものの、あっという間に凋落し、本来の高級時計などでの優位性まで失ってしまったといいます。

・セイコーはクオーツ式腕時計の販売攻勢によって1977年には金額ベースで世界一の時計メーカーに躍り出た。スイスにも進出し、1980年には生産個数も世界一となった。

・クオーツ式を主力と考え、機械式腕時計の使命は終わったと認識し、最高精度をほこるグランドセイコーの販売を中止した。

・この時点で、セイコーはスイス勢を打ち負かしただけではなく、アメリカ・ナンバーワンのタイメックスも追いぬいていた。

・1980年代に入るとセイコーの売上高は急減し、最近の2009年の実績では1960年代半ばの水準にまで低下している。

・セイコーの事例は1980年代のアメリカのMBAでは成功事例の筆頭として教えられていたが、最近では大失敗事例として教えられている。

・セイコーはイノベーションに挑み続けていて、数々の革新を成し遂げた。それでも結果的に大失敗となっている。


なぜそうなったのでしょうか?


(浅沼 宏和)