2010年1月31日日曜日

書評 「まず、ルールを破れ」

マーカス・バッキンガム&カート・コフマン『まず、ルールを破れ すぐれたマネジャーはここが違う』日本経済新聞社、2000年  定価1,680円

この本はドラッカー度数90%以上です。ドラッカーのヒトのマネジメント理論とほぼ同じですが、より噛み砕いてあります。

内容は以下の通りです。

優れたマネジャーには次のような考え方がある。
「人はそんなに変わらない。足りないものを植え付ける努力はするな。その中にあるものを引き出せ」
マネジャーの役割は部下の才能をパフォーマンスに結びつけることだ。そのために必要となる行動は 人を選ぶ 要求を設定する 動機づけ 育てる の4つである。


1、人を選ぶ
常識では人材を経験・知識・意志の強さで選ぶことになっている。しかし、職務で必要なのはその仕事特有の「才能」である。
看護婦の思いやり、販売員の積極性は後天的には身に付かない。才能は身に付かない。
優れた仕事のための才能には「努力する才能」「考える才能」「人づきあいの才能」がある。人はこの3つの才能を独特に組み合わせている。

2、要求を設定する
マネジャーの仕事は部下をパフォーマンスの達成に専念させること。
そのためには成果を適切に定義し、各人がその成果・目標に向かって自分なりの道筋を見つけるように仕向ければよい。
そして成果を定義するとは「顧客に取って正しいものとは何か」を考えて指針を作ることである。

3、動機づける
そのためには部下の強みを生かさねばならない。個々の強みを見つけ、それを生かし、そしてその目標を達成できるように持っていくことが最も効率的な方法である。

4、育てる
マネジャーの責任は、部下を一番成功するチャンスの大きい職務につけることだ。そのためには人を昇進させる前にその職種に必要な才能を吟味する必要がある。

部下に何をすべきかを考えさせる、顧客にとって正しいもの、強み などはドラッカー読者にはおなじみの概念ばかりです。

ドラッカーの「人と仕事のマネジメント」といわれる分野を忠実になぞった本であると言えるでしょう。

この本が典型的ですが、結構売れているビジネス書の多くがドラッカーの影響を受けています。

こうした本を読むとドラッカー理論の再確認になりますので、それはそれで意味があることと思います。