2010年1月12日火曜日

企業の目的-「顧客の創造」

雑誌執筆中でもありますから、しばらくドラッカーの基本思想を抑えていこうと思います。

まず、もっとも有名な言葉からです。

企業の目的は、それぞれの企業の外にある。企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的の定義は一つしかない。それは顧客を創造することである。
                (『エッセンシャル マネジメント』p.15)

企業の目的というと「利益」と思いがちなところです。それまで当たり前であったこの考えを真っ向から否定したところからドラッカー経営は始ります。

ドラッカーは、現代社会は組織によって形成されており、人間が社会に対して何らかの働きかけを行うことができるのは組織を通じてのみであると考えました。

そして、その組織が長期的に存在していくことができるためには「顧客を創造」することが不可欠であると考えたのです。
ドラッカーは決して利益を否定しているわけではありません。

利益は、個々の企業にとっても、社会にとっても必要なものである。しかし、それは企業や企業活動にとって、目的ではなく条件である。
企業活動や企業の意思決定にとって、原因や理由や根拠ではなく、その妥当性の判定基準となるものである。
 (『エッセンシャル マネジメント』p.14)

利益を上げなければ企業は存続できません。そういう意味では「条件」なのです。

さて、企業の目的は顧客の創造ですから、顧客に注目しなければなりません。
企業とは何かを決めるのは顧客なのです。

そこで、企業にとって基本的な機能は顧客の創造にかかわるたった二つのものに絞られるといいます。
それがマーケティングイノベーションです。

企業に成果をもたらすのはマーケティングとイノベーションの二つだけであるとドラッカーは断言しています。

私がバランススコアカードの最上位の行動目標を財務の視点ではなく、マーケティングとイノベーションに入れ替えたのはドラッカーの上記の言葉が理由です。

ところで、「顧客の創造」という場合、お客さんを一人一人増やしていくという他に、お客さんに新しい商品を買ってもらうという意味もあります。さらに、お客さんはどの企業でも二種類以上います。

例えば、家庭用洗剤には最終消費者の他にその商品を店で売ってくれる小売業者という二種類のお客がいます。最終消費者の一歩手前にいてその最終消費者に影響を与える企業や個人はお客とみるべきなのです。