2010年1月15日金曜日

企業の土台―生産性のコンセプト

顧客を創造する基本的機能はマーケティングとイノベーションの二つだけです。

しかし、企業にはそれを支える基盤となる生産性の概念が必要となるとドラッカーは指摘します。

顧客の創造という目的を果たすために、企業はさまざまな資源を活用しなくてはなりません。
それを表す概念が生産性なのです。

生産性とは最小限の労力で最大限の産出を得るための、すべての生産要素の組み合わせ意味しています。

古くから知られた生産要素は、ヒト・モノ・カネの3つです。ドラッカーは、その他の重要な生産要素として知識を上げています。
生産性を押し上げようとするときに、最大の上げ幅を期待できるのは知識労働、とりわけマネジメントのはずであるとドラッカーは考えています。

生産性を上げるためには、産出に結び付くあらゆる要素を考慮に入れて、それらを成果との関係で表すことが必要といいます。
ですから、知識のほかにも時間、製品の組み合わせ、業務プロセスの組み合わせ等にも影響されます。

こうした生産性に関連する考えとして、ドラッカーはコスト管理の重要性を指摘します。

昨年の当社のセミナーのテーマであったコスト管理の要諦は最小のコストで最大の成果を上げることがポイントでした。
これは元をたどるとドラッカーの生産性の概念に由来するものなのです。

生産性は組織の作り方やさまざまな事業活動のバランスによって大きく影響を受けます。
ですから細かく気を配ったマネジメントが必要ですし、それでも完璧な成果をあげることは難しいでしょう。

通常、仕事において意識されている生産性というものは可能性としての生産性と比べると相当低い水準にとどまっていると考えなければならのです。

黒字中小企業の従業員一人当たりの付加価値が850万程度にすぎないのに、任天堂は1億7千万円にもなります。

コストと成果の関係性からいえば約20倍です。生産性とはこれほどの大差がつくものなのです。