2010年1月20日水曜日

顧客のタイプは複数

ドラッカーは事業の定義をすることが最も大切であると言っています。

そこで絶対考えなければいけないのは「顧客は誰なのか?」ということです。

ドラッカーはどの企業にとっても複数の顧客がいることに注意しなければならないと指摘します。ドラッカーの著書から事例をあげます。

事例①-アメリカのカーペット業者
1950年代初めまでカーペット業者は数十年間の長期低迷を続けていました。
業者たちは低価格住宅の見栄えや快適さを簡単に変える方法はカーペットを敷くことだと消費者に訴えてきましたが、売上を伸ばすことはできませんでした。
そこで、業者たちは「顧客はだれか?」を良く考え、住宅購入者のほかに住宅を分譲する業者も顧客と考えなければならないことに気付きました。
そして、高コストの床材の代わりに住宅建設時にカーペットで覆ってしまうビジネス・モデルを思いついたのです。
さらにカーペット代金を住宅ローンに含めてしまう仕組みも提案しました。高級カーペットを指定しても毎月のローン額があまり変わらないため、住宅購入者は比較的高額なカーペットを指定するようになり、業界は瞬く間に息を吹き返しました。

事例②-食品・雑貨等の消費財メーカー
顧客は少なくとも家庭の主婦と小売店の二種類います。
どんなに主婦の購買意欲を刺激してもお店においてなければ意味がありません。逆に主婦に購買意欲がなければお店のいい場所に商品が置いてあっても効果が薄くなります。

事例③-保険会社
保険会社は保険販売と投資事業という二種類の事業を営んでいます。ですからそれぞれの顧客は直接関連を持ちません。異なるタイプの顧客それぞれを満足させる必要があります。

事例④-銀行
これも預金者と融資先という異なるタイプの顧客がいる業種です。ですから二種類の定義が必要です。
預金者と融資先は仮に同一人物、同一企業が両者を兼ねていたとしてもそれぞれ異なる期待をもっています。ですからそれぞれ定義を設けなければうまくマネジメントできないわけです。