2010年1月11日月曜日

原稿執筆―BSCとISOの融合事例について

私は論文や雑誌の執筆の機会があればなるべく書くようにしています。

現在はバランススコアカードとISOに融合活用について事例を2本書いてもらいたいという執筆依頼を受けています。
締め切りが来月なので、あわただしく内容を組み立てています。

ISOはほとんどの方は知っているでしょうが、バランススコアカード(BSC)は知らない方もいるかとおもいますので簡単に説明します。

BSCというのは、売上高とか経常利益とかいった財務的な指標だけを目標にしないで、そこに至るまでの流れを可視化し、指標を設定してマネジメントしようという考え方です。

ちなみに、財務のほかに、顧客業務プロセス学習と成長 という3つの視点を付け加えることが標準的です。

財務以外の指標を活用すべしというのは実はドラッカーが提唱したことなのです。
ですから、BSCのアイディアはドラッカーに由来すると言われています。少なくともドラッカーはそう考えていたようです。

私はドラッカー経営を標榜していますので、このBSCをドラッカー経営と融合させることをずっと目論んで検討してきましたが、大筋の考えがまとまってきていました。
ですから今回の雑誌のテーマは渡りに船といったところでした。

当社ではBSCの財務、顧客、業務プロセス、学習と成長という4つのプロセスを全く入れ替えてしまったのです。
オリジナルな視点がいけないわけではないのですが、不確実性の増した環境における戦略実行のツールとしては、いまひとつしっくりとこないように思われるのです。
特に新市場や新規事業に対応しにくいと思うのです。

また、ドラッカー経営の枠組みと矛盾するので修正が必要になったわけです。
そこで、視点を修正したわけです。

私が考えた新たな視点とは、戦略的要因、業務プロセス、ヒトと組織能力、財務条件 という4つです。

特に財務の視点が最後に来ているところが独特であると思います。

まず、この順番にした大きな理由はドラッカーの提唱する、「企業の目的は顧客の創造である」という考え方にあります。

ドラッカーのよれば企業の目的(顧客の創造)を実現する唯一の手段はマーケティングイノベーションとされています。
私はそれをまとめて戦略的要因としたわけです。

さらに「利益は目的ではなく条件である」という命題を基にして財務条件という視点を設定し、それを一番下に持ってきました。

この形式はかなり細かい検討を経て生み出されたものですが、かなり使いやすいと思っています。

まず、市場環境が不確実な時代においては売り上げや利益は最終目標にふさわしくありません。特に、その原因をさかのぼって想定することは中途で多くの修正が必要となるように思います。

ですから、あくまで財務は行動する際に心に留めておく「条件」としてとらえるドラッカー的な仮定がいいとおもうのです。

最終的にはどれだけ戦略的に大きな手を打つかが重要なのでそれを戦略的要因としました。

ドラッカー経営のフレームワークに、当社が組み立てた視点によるBSCをISOのマネジメントシステムでコントロールする方法を導入したことは、これまで全く提起されたことがないと思います。

雑誌が店頭に並ぶのは7月になると思いますが、そのころにはもっと洗練されたフレームワークに仕上がっていると思います。

このフレームワークについてはときどき触れていきたいと思います。