2010年5月29日土曜日

最善を尽くす

顧客に対して必ずよい結果をもたらすという保証を与えることはできない。最善を尽くすことしかできない。

昨日書いたドラッカーのプロフェッショナルの倫理の一つです。

当たり前のことですが、外科医の事例で考えてみましょう。

福島孝徳という脳外科医がいます。

天才的なメスさばきで次々と患者を救い「神の手」とまでいわれている著名な先生です。

TVのドキュメンタリー番組でも頻繁に取り上げられていますからご存知の方も多いと思います。

私も脳腫瘍ができたらこのようなお医者さんにぜひともお世話になりたいものです。


さて、お医者さんは何万人もいるわけで、皆さんがそろって「神の手」を持っているわけではありません。

仮に福島医師以外のAさんというお医者さんが執刀をした結果、不幸にも患者さんが助からなかったとします。

福島医師であったなら助かる可能性が高かったとしたならばA医師は倫理的に許されないでしょうか?

ドラッカーの原則によればA医師が最善を尽くしている限り、倫理的には責任を負わないということになります。

ただし、A医師が自分の能力では手術は困難であると自覚し、自分より力量のある医師を手配する努力を怠っていたり、実際に手術をするにあたりあらゆる検査や検討を重ねていなかった場合にはA医師の仕事は倫理的に許されないものでしょう。

また福島医師は手術を全身全霊を込めてやられているようです。手術道具へのこだわり、入念な準備、患者さんへの説明等、どれをとっても一流のすごみがTVからも伝わります。
自身の能力に甘んじているわけではなく、福島医師のレベルにおける「最善を尽くす」を実践されていることがわかります。

最善を尽くすことには難しい問題が含まれています。次にこれを検討します。