2010年9月6日月曜日

閑話休題-マーケティングとイノベーション

今週、学会発表でドラッカーの事業戦略論とバランススコアカードの戦略マップを統合するフレームワークを発表してきます。

このアイディアを検討していく中で、ドラッカーのマーケティングとイノベーションのコンセプトの位置づけについての私の理解が変わりました。

マーケティングとイノベーションはドラッカーが企業の成果を生む二大機能と位置づけています。

ですから、私はこの二つを成果を生じる領域、それを支えるプロセスを生産性の領域、さらにそのためのヒト・モノ・カネの資源を調達する領域という3つの区分を考えていました。

ですが、これではドラッカーの説明と多々矛盾が生じるのです。

そこで、ドラッカーの本を読み返したところ私の誤解が明らかになりました。

まず、ドラッカーのマーケティングとは簡単に言うと「顧客目線で見た企業の全部(創出価値・プロセス・資源)というわけです。

つまり、マーケティングは成果・プロセス・資源をすべて支配する原理なわけです。

またイノベーションとは、そのマーケティングを未来のあるべき状況とのギャップからとらえなおすものであるということです。

ですから、マーケティングはイノベーションによって包括されてしまうわけです。

最初、バランススコアカードの最終目的をマーケティングとイノベーションにしようとしたのですが、どうにもうまくいきませんでした。

そこで最終的には成果の生まれる領域を、顧客・市場、製品・サービス、流通チャネル の3つに整理しました。これはイノベーションの目標ですが、マーケティングの目標でもあります。これを成果の3つの区分とすることで整合的な説明が可能になりました。