2010年9月3日金曜日

書評-「新しい現実」①

P.F.ドラッカー『新しい現実』ダイヤモンド社、1989年 


これはドラッカー本の中でも異色の本です。

1989年時点で世界の今後を予測したものですが、恐ろしいほど正確に将来を見抜いています。
2010年の時点で読み直しているからこそ、ドラッカーの炯眼ぶりに恐れ入ってしまいます。

本書は、知人のS社のK常務のお宅にお邪魔した際に、父君の形見の品の中にまぎれていたものを「浅沼さんはドラッカー好きだからぜひ読んでよ。」といわれてお借りしているものです。

私は通常はドラッカー本の中でも経営よりのものに目が行ってしまうため、こうした社会批評的なものを読むと、自身のドラッカー理解の浅さを痛感します。

せっかくの名著なので数回にわたってご紹介していきたいと思います。

まず、冒頭は1989年当時のソビエト連邦の将来像の予測です。

本書執筆当時はゴルバチョフのペレストロイカの時代であったのですが、その失敗を断言しています。

そしてソビエト連邦の崩壊は確実であり、その原因は民族主義と反植民地主義であるとしています。

その後の経過は全くその通りになったことはご承知の通りです。