2010年9月4日土曜日

書評-「新しい現実」②

ドラッカーは現代史におけるもっとも重要な2つの事件として、1857年のセポイの乱と1867年の明治維新を上げます。

セポイの乱は、世界の「西洋化」を決定づけ、明治維新は「非植民地化」を決定づけた画期的なものであったといいます。

日本の明治維新は西洋をアジアから追い出し、植民地勢力の権威の失墜をもたらしたというのです。

そして最後に残った植民地大国が1989年当時のソビエト連邦であったというわけです。

ドラッカーは、ソビエトの崩壊の理由を民族主義と反植民地主義は必然の流れで、政府がそれを押しとどめることはできないと見抜いたわけです。

当時、ソビエト連邦の人口の半分は非ヨーロッパ人であり、しかもアジア人であったわけです。さらにその半分はイスラム教徒であるという事情から、ソビエト連邦は体制を維持できるはずはないと論理的に思考したわけです。

実際にこの本が出た直後にソビエトは崩壊したわけですし、その理由もまさにその通りでした。