2010年6月18日金曜日

柳井正の危機感と覚悟

優秀な人たちが入社したのはいいのだが、三年ほど続いたフリースブームの中で、フリース以外の商品も相乗効果で売れ、商売って意外と簡単だな、と誤解した人たちも現れた。

‥大きな変革期にいるはずなのに保守化が始まったのだ。

                      (柳井正『一勝九敗』より)  


柳井氏は希望に燃えて入社したはずの大企業出身者までもが、以前の会社で慣れ親しんだ経営管理のやり方をそのまま持ち込もうとすることに強い違和感を感じたようです。


成功するということは保守的になるということだ。今のままでいいと思うようになってしまう。
成功したと思うこと、それがマンネリと保守化、形式化、慢心を生む源だ。

‥商売というのは現状があまりうまくいかないときに、「だったら、どうやればうまくいくのか」ということを徹底的に考えるということであり、成功したと思った時点でダメになるのだと思う。

‥組織が大きくなっていくと、今度は安定を求めるようになる。
ぼくはもともと零細企業から出発しているので、安定を求めるのではなく、不安定さの中で革新を求めるほうがよいと思っている。

                      (柳井正『一勝九敗』より)


これ以上くわしい説明が不要なほど、柳井氏の目線がはっきりあらわれている記述であると思います。

柳井氏は、以前、大企業出身の若手幹部に社長を譲ったことがあります。
新社長はそこそこの業績を上げたにもかかわらず、柳井氏の評価は厳しいものがありました。

その理由はこの記述だけでわかるように思います。

柳井氏ほどの成功者が安定を求めていないわけですから、ほとんどの経営者は安定を求めて保守化するわけにはいかないのではないかと思います。

最後に柳井氏の腹のくくりを示す部分を書きぬいておきます。



われわれは失敗をしてもあきらめない。

‥挑戦と実行を支える「覚悟」があるのかどうか、ということだ。

‥実際に泥にまみれて「現実」というステージの上でやっていけるかどうか。これが最終的に問われることになる。挑戦と実行には必ず次々と難題がふりかかってくる。
そんな現場で最後まで手を抜かず。責任を持ってやり遂げられるのか。これが意外と難しいのだ。

‥何が必要かといえば「覚悟」の一言に尽きる。

                    (柳井正『一勝九敗』より)