2010年6月3日木曜日

ランチェスター経営について④

軍事に適用されるランチェスター方式は一騎打ちなら3倍の軍事力を、確率戦闘なら1.73倍(ルート3)の軍事力を使うというものです。

この法則をもとにさまざまな方程式を組み合わせてマーケティングのシェア問題に一つの回答が与えられました。これを考え出したのがランチェスター経営の生みの親である田岡信夫氏です。

田岡理論では、市場シェアは販売競争の優劣を測る物差しとみなされています。

そして、市場シェアが圧倒的であるとされるラインを具体的に数値で示したのです。

①73.9%(上限目標値)

②41.7%(相対的安定値)

③26.1%(下限的目標値)

が特に重要な指標とされています。

①はほぼ独占状態であり、すべての企業に対して3倍以上の戦力を持つ状態が実現されています。つまり、1対1では必ず勝てるラインをクリアしています。

②は、3社以上が存在する市場における安定的強さの指標で、2位企業とは1.73倍以上の開きがある状況です。確率戦闘の法則上安定的強さがあるレベルです。業界の主流であり、独走状態になる水準です。

③は、その他大勢の状態から抜け出して、ある程度安定するシェアです。

もちろん、きれいな法則どおりで軍事やビジネスを展開するわけにはいきません。現実には不測の要素もいろいろあるでしょう。
しかし、1対1なら3倍、確率戦闘なら1.73倍という数値に基づくことによって、かなり明確な判断ができるようになるわけです。

このシェアについての目安の影響力は大きく、トヨタは②のシェア41.7%を目標にし続けてきました。
そのほか、田岡氏のマーケットシェアの指標はシェア重視の高度経済成長期において大きな役割を果たしました。

マーケティング分析のための明確な指標を打ち出したことは田岡氏の大きな功績であるといえます。