2010年12月27日月曜日

『実践する経営者』⑥

知識労働やコストについてです。


・知識労働の生産性をあげる4つの方法


①責任を持たせる。知識労働者のマネジメントは貢献に焦点を合わせるのだが、これがほとんど行われていない。

②貢献を評価させる。「この2~3年、会社を変えるどんな貢献を行ったか、今後2~3年で会社を変えるいかなる貢献を行うか。」について自ら評価・判断させる。

③本来の仕事をさせる。さもなければいかなる動機付けをされても燃えない。

④配置に力を入れる。


・知識労働者は強みを発揮できるところに配置する。

・肉体労働は加算できるが、知識労働者は二人いても倍はおろか一人前の仕事もできない。互いに邪魔になるだけ。

・あらゆる資源で最も高価なものは知識。学生時代に金がかかり、貢献どころか学習だけの新人時代に金がかかる。給与に見合うのに5年かかる。


・経営陣に昇進する可能性のない仕事はすべてアウトソーシングが普通になる。アウトソーシングこそ事務処理、保守管理、補助的仕事の生産性を向上させる唯一の方法。

・それらの仕事は社内で独占状態である。だから生産性を向上させる競争がない。


・マクドナルド創業者レイ・クロックは、店舗の生産性に手をつけたとき、スプーン、紙ナプキン、フライパンなどの一つ一つを設計しなおした。

・病院保守管理会社は生産性向上のために、ほうき、ちりとり、くずかご、シーツ、毛布に至るまで設計しなおす。

・フレッド・スミスがフェデラルエクスプレス社を創立した際に、荷物の集配、運搬、配達、伝票の手順を分析し、訓練に次ぐ訓練を実施した。


・コストを削減するためにリストラをすることは手順を間違っている。

・コスト削減の唯一の方策は仕事を改革すること。コスト削減は仕事の再設計の機会としてとらえなければならない。

・「どうやってこの仕事を効率化できるか」は間違った問い。「この仕事を止めたなら屋根が堕ちるだろうか」と聞くべき。落ちないなら仕事を廃止する。


・コスト削減には仕事そのものの廃止が極めて有効。廃止しても困らないものがいかに多いか驚かされる。

・事務や管理の仕事の3分の1は全く役に立たず、とうの昔に不要になっている。まったく行うべきでないことを、より効率的に行おうとすることほど非生産的なことはない。

・必要な残り3分の2の仕事も、「事業そのものにどんな貢献を行うべきか、どんな目的に役立つべきか」を問わねばならない。経営者はこれを自明の問いととらえるが、実際には誰にもこたえられない。


・費用対効果の優れた仕事は一つの目的しか持たない。一つの仕事には二つ以上の目的を相乗りさせることは非効率とコスト増をもたらす。

・コスト削減は始まりにすぎず、コスト予防が必要となる。

・コスト予防とは、たとえば年間3%以上の改善目標を持って毎年あらゆる仕事について生産性向上を図ること。

・あらゆる仕事について「この目的を達成するうえで最も簡単な方法は何か」を問う。

・コスト削減計画は失敗しやすい。コスト予防は働く人たちの積極的かつ熱烈な支持を期待できる。


・利益は存在しない。存在するのはコストにすぎない。

・企業会計上の利益は次の3つの視点から言えば定量化可能なコストである。

①資金コスト。資金にはすべてコストがかかる。

②リスクへの保険料。未来のかけ率は常に1以下。

③明日の雇用と年金の資金。

・3つのコストは互いに重なり合っている。




(浅沼宏和)