2010年12月26日日曜日

『実践する経営者』⑤

イノベーションについてです。


・小さな改善を行うのも大きなイノベーションを行うのも同じように難しい。

・イノベーションとは顧客にとっての価値と満足の創造にほかならない。

・イノベーションに優れた会社は予算からスタートしない。予算は最後に持ってくる。
会社が生き残るにはどれだけのイノベーションが必要かを明らかにするところからスタートする。


・イノベーションが埋めるべきギャップを明らかにし、そのギャップの数倍に相当するプロジェクトを用意する。するとどれだけの努力と予算が必要か明らかとなる。

・イノベーションを生むのはカネではなくヒト。量より質が大事。

・イノベーションには一流の人材がかかわること。


・イノベーションのための企画・予算・計画・管理を既存事業とは別に扱う。

・イノベーションに優れた会社は事業予算とイノベーション予算の二つを持つ。

・イノベーションは長い期間、いかなる収益ももたらさない。もたらすのはコストだけ。
しかし、突然利益を上げ始める。成功したイノベーションは投資の数百倍の収益を上げる。そもそもリスクが大きいので低い収益では割に合わない。


・イノベーションに優れた会社はイノベーションのための活動を厳しく管理する。

・「創造性」とはイノベーションを行わない者が使う言葉。イノベーションに優れた会社は仕事と自己規律についていう。

・人の作ったものは遅かれ早かれ陳腐化する。競争相手に陳腐化させられるのを待たずに自らを陳腐化させ、廃棄することを選ぶ。


・何より必要なのはイノベーションのための姿勢、体制、行動である。


研究開発10原則

①新たな製品・サービス・プロセスは損益分岐点に達したその日から陳腐化が始まる。

②自ら陳腐化させることが競争相手による陳腐化を防ぐ唯一の手だて。

③研究開発を純粋と応用に分ける19世紀的区分には意味がない。

④物理・化学・生物・数学・経済学は、それ自体研究の対象とすべき体系ではない。

⑤研究開発とは、カイゼン・展開・イノベーションの3つの活動からなる。効果的な研究開発とは3つを同時にかつ個別に追求すること。

・カイゼン :すでに成功を収めている者をさらに良くすること。コスト・品質・顧客満足などを年率3~5%向上させることを言う。具体的目標をもつ継続的活動である。

・展開 :新しい製品・サービス・プロセスを利用して、さらに新しい製品・サービス・プロセスを生み出すこと。

・イノベーション :社会・経済・人口・技術の変化を機会として利用すること。

⑥狙いは高くする。

⑦効果的な研究開発には長期と短期の成果がある。短期的成果で満足せず、長期的プロセスの第一歩としなければならない。

⑧研究開発は作業としては独立していても機能としては独立していない。知識の探求は有用性の探求でなければならない。

⑨効果的な研究開発を行うには製品・サービス・プロセスのみならず、研究プロジェクトまでも体系的に廃棄していくことが必要。

⑩研究開発も量的評価を受けねばならない。カイゼンについては目標設定と量的評価はやさしい。展開についても目標設定できる。イノベーションについては質的な評価が必要。