2010年8月16日月曜日

書評 「ビジネス書大バカ事典」

勢古浩爾『ビジネス書大バカ事典』三五館、2010年  定価1,680円



面白い本です。
勢古氏は、ビジネス書の中にはまともなビジネス書といかがわしいビジネス書、つまり「もどき」の2種類があるといいます。

そして、現在、一世を風靡している著名なビジネス書の著者たちは「もどき」であるとしてめった切りにしています。

かなり独断の論評ですが、痛快でもあり、また結構当たっている部分が多いと思います。

かなり分厚い本ですが、「ここまで言って大丈夫か?」という感じの内容ですし、とてもおもしろいのでそんなに読むのが骨ではありません。


特に勢古氏が批判するのは、苫米地英人、本田健、石井裕之、神田昌典、勝間和代、本田直之、斎藤一人、小林正観といった超売れっ子ライター達です。

特に最初の三人はひどく、次の三人も程度問題で「もどき」であるといいます。


いずれの場合も、ビジネス本を商売と割り切って書いている点が特徴で、最近ではネタ切れになっているか、イメージアップを図るためにスタイルを変化させたりとさらに内容が悪くなっているといいます。

確かに、勢古氏の批判も一理ありますが、エンターテイメントと割り切って読めば問題ないでしょう。
しかし、安直なビジネス本ばかり読むビジネスパーソンは問題があるでしょうね。

これに対して勢古氏が高く評価するのは、ビジネス界の荒波を乗り切った経営者の自伝です。
本書で推奨されているのは

松下幸之助 『道をひらく』『商売心得帳』
本田宗一郎 『スピードに生きる』
石橋信夫  『不撓不屈の日々』(大和ハウス工業創業者)
小倉昌男  『経営学』(ヤマト運輸2代目経営者)
稲森和夫  『人生と経営』(京セラ創業者)
岡野雅行  『俺が、つくる!』(わずか6人の町工場主ながら6億円の売り上げを誇る)
永守重信  『情熱・熱意・執念の経営』(日本電産創業者)
青木定雄  『社長の哲学』(MKタクシー創業者)

などです。


これらの本の半分以上を読んでいませんが、ユニクロの柳井氏の本等からも大をなした経営者の自伝は役立つことは実感しています。

私も機会を見て読んでいきたいと思います。



浅沼宏和