2010年4月16日金曜日

◇「時代を超えて生き残るビジネス」金子哲雄氏講演会

地元の浜松信用金庫の経営者勉強会の総会でTV等でおなじみの流通ジャーナリスト・金子哲雄氏の講演会がありました。

TVでもわかるようにかなり個性的な人物で、迫力満点の話振りでした。またその話も示唆に富んだものでした。

わずか90分の講演で、私のメモが手帳で16ページにも及んだことからみても、中身の濃さはお分かり頂けると思います。



そのうち知っておくと役に立ちそうなものを列挙してみます。

・おみくじの原価は1~2円、それを神社では100円で売っている。
・ラーメンチェーンの幸楽の餃子(5ケ)の価格は220円だが、その材料原価は25円
・伊勢名物の赤福の原価は1ケ7円、10個で70円のものを700円で小売している。
・ヤマザキのパンの原価率は25%

300年以上続く企業のビジネスモデルは『暴利多売』
長命企業の特徴は高い利幅

・欧米ブランドは新商品を王族・セレブに無料でばらまく。「セレブご愛用」の肩書を付ける。
・ハーレー・ダビッドソンは無料でバイクをハリウッドスターに配る。乗ってる写真が世界を駆け巡る。
・ヴィトンのバッグの原材料費は1%
・ベンツの原価はトヨタより安い。

欧米のビジネスモデルは「いかにしてぼったくるか?」

・家電量販店の売れ筋商品のTVやDVDの儲けは値引き合戦でほとんどゼロ。実は定価で売っているコードやケーブルで儲けている。コード・ケーブル量販屋というのが本質。だがTVやDVDがなければコードやケーブルを買いに来こない。

集客商品「客を呼べるが儲からない商品」、収益商品「儲かるが客を呼べない商品」
自社の集客商品をすぐに3つあげられない会社はダメ

・コンビニ商品のほとんどは集客商品、収益商品はレジ回りに集中的におかれている。
・ヴィトンで一番もうかる商品は端切れを利用するキーホルダーやストラップ。屑が金にかわる。
・コンビニのコピー機はゴールデン商品(集客商品で収益商品)。コピーするほど原価が下がり儲かる契約をメーカと結んでいる。しかし、コピーしか置いていなければ客は来ない。ついでに買い物できるからこそコピーしに来る。

・築地市場で魚の廃棄は1日ダンプ10台分だった。それをただでもらってすり身にしておでんネタにして儲けて上場した企業が紀文。
・マクドナルドのハンバーガーは利益が出ていない。実はドリンクで儲けている。ハンバーガーが集客商品でドリンクが収益商品。
・サイゼリアのドリンクバー180円。実は1杯の原価はたった6円。ドリンクバーはほぼ丸々粗利となる。

・デパートの客は買い物を目的に来ていない。美術館・コンサート・食事等のついでによる人が多い。それを読み間違えて売り場面積を広げたデパートは売り上げを落とす。ついでに立ち寄ってもらっていると考えるべき。

付加価値をアップさせるためには一言付け加える 『魔法の一言』

・羽田空港の定食屋、サンマ定食が780円だったが、「釧路直送さんま定食980円」としたところ4倍も売れた。実は後者のほうが粗利も高かった。魔法の一言で利幅が増えた。
・吉永小百合のついでくれたビールと泉ピン子のついでくれたビールでは9割以上の人が前者をうまいと感じるらしい。


濡れ手に粟がヨーロッパ型ビジネスの基本。

多少こじ付け的なところもあったのですが、非常に目の付けどころがおもしろい人でした。
ブランディングとかマーケティングという観点に利益率という財務の視点を軽妙にブレンドさせているので、聞いていて全く飽きがきませんでした。