2010年11月6日土曜日

◇ ドラッカー理論による事例分析-デンソン社

ドラッカーのマーケティングとイノベーションのための質問によって成功企業の戦略を整理します。



デンソン (埼玉県)

金型反転機というオンリーワン商品を大手メーカーの海外工場に納入




1 顧客はだれか

・プラスチックかダイカスト用の大型の金型を使用する工場



2 顧客は何を買うか

・安全な金型反転作業 (金型は大変重いので反転作業は危険)

・作業効率向上

・場所をとらないこと


3 顧客はどこにいるか

・トヨタ、パナソニック、新日鉄など大手企業の製造部門

・海外に展開した日本企業の現地工場


4 事業はどうなるか

(省略)


5 事業はどうなるべきか

・製造業の海外シフトをにらみ、海外売上比率を高めるべき。

・円高への対応を図るため、モデルチェンジによる低価格化を図る。

・金型以外の重量物を納入先のニーズに合わせて反転できる特注品に対応する。





戦略のまとめ(ミッション)


他社の追随を許さない独自技術の開発

経営資源を開発に集中し、リピーターを確保

海外の日系企業や商社との強固な関係を構築



デンソンのように、オンリーワン商品を持つ企業は、ゆるぎない戦略ポジションが維持しやすいと思います。


こうした商品が売れているうちに次の商品を生み出さないといけないわけですが、デンソンの場合、金型以外の重量物を視野に入れているようです。

商品の横展開とでもいえる方向性ですね。

同社が、金型反転機に乗り出したきっかけは、顧客からの要請にこたえるためといういわば偶然であったようです。


その意味では、デンソンはミンツバーグの創発戦略を成功させた事例であるといえます。


ただし、近年の戦略ポジションの取り方は上記のように計画性を持ってきていますので、事前と事後の戦略のバランスがよく取れている事例と言えるでしょう。