2010年11月3日水曜日

◇ ドラッカー理論による事例分析-コーナン・メディカル社

雑誌の企業事例を元に、私なりにドラッカー理論で整理してみます。


(TKC出版『経営者の四季』2010年12月号より)


ここで紹介する1~3がドラッカーによるマーケティングのための質問。4と5のギャップがイノベーションの質問になります。


ドラッカーはここからさらに8つの目標(マーケティング・イノベーション・生産性・ヒト・モノ・カネ・社会的責任・必要利益)を導き出すわけですが、当社ではそれを独自の戦略マップに整理してから行うことを提唱しています。


戦略マップを掲載できませんのでここでは5つの質問の回答までをまとめています。


このように経営雑誌等の企業紹介をドラッカー経営戦略論で整理すると戦略策定のよいトレーニングになると思います。


コーナン・メディカル社(西宮)

売上高10億円、社員53名

甲南大学のカメラ愛好家集団が母体。半世紀前に創業。使い切りカメラの原型も同社の初期の成果。現在、眼科系医療機器における世界屈指の優良企業との評価。



1 誰が顧客か?


・世界の白内障患者(最終顧客)


・白内障患者を手術する世界中の医者(顧客and流通チャネル)


・技術の事実上の世界標準の決定に影響力を持つ世界の公的機関(流通チャネル)


・信頼できる各国の代理店(流通チャネル)


 *流通チャネルも広義の顧客


2 顧客は何を買うか?


・患者は、安心できる白内障手術を買う


・医者は、現場の意見を十分取り入れた使い勝手の良い機械を買う。


・公的機関は、お墨付きを与えるに足る機械の信頼性を評価する。


・代理店は売り込みをしやすい機械を選ぶ。


 *顧客は効用を買う



3 顧客はどこにいるか?


・世界中にいる。


・今後は特に中南米などの開発途上国にいるようになる。



4 事業はどうなるか?



(省略)



5 事業はどうあるべきか?(イノベーション)



・「創りたいものを創る」‥創業当初からのチャレンジ精神


・開発に特化し、ファブレス体制を構築する。


・眼科分野だけではなく、鼻・耳など首から上の器官の病気予防の検査機械を開発する。


・海外売上比率を6割以上にする。





戦略の概要というのはこの程度の記述で十分わかると思います。

本当に良い戦略とは寝ているとき、入浴の時、トイレにいる時、歩いている時などにふと思いつき、手早く骨格をまとめることができる程度のものだと思います。


それを具体的な目標に落とし込む時には詳しい検討が必要になりますが、戦略の根幹は20~30分程度でまとめることができるはずです。



12月8日の当社セミナーではユニクロの事例をドラッカー戦略マップを利用してご紹介します。