2011年4月19日火曜日

集中した事例

ドラッカーはある製薬会社のCEOの事例を取り上げています。

彼がCEOに就任した時には、企業規模は小さく国内事業だけを行っていたそうです。

しかし、11年後に引退したときには世界のリーディングカンパニーになっていたということです。


1、社長就任の数年間は、研究開発の方向付け・計画・人事に力を入れた。

  当時その会社は研究開発はその他大勢の企業であった。
  彼が方向性を明確にしたことで、5年後には2つの分野でリーダー的地位を得た。

2、次に彼はグローバル化に集中した。
  
  すでに数カ国でスイス企業がリーダー的地位を得ていた。
  彼は世界の医薬品の消費動向を分析し、
  どの国でも健保と医療制度が需要を左右していることに気付いた。
  そこで彼は海外進出のタイミングをその国の医療制度の充実に合わせた。
  その結果、洗髪の各社と競争することなく大規模事業を開始できた。

3、最後の5年間に、彼は各国の医療制度の変化に応じて経営戦略を変えた。
  
  当時、世界のどこでも医療は医薬品の購入は医師が決めるが、
  支払いは政府や健保組合が行うという公益事業となっていた。


ドラッカーは1人のCEOがこれほど大きな仕事を行うことはあまりないと評価しています。

彼は大きな仕事を3つ成し遂げましたが、一度に一つしか行いませんでした。

ドラッカーは「これこそ困難な仕事をいくつも行う人たちの秘訣である」といっています。



菅総理、「災害からの復興と財政再建を両方同時にやる」と宣言しました。

ドラッカーの原則からすると共倒れになる宣言なのですが、はたしていかがでしょうか。



(浅沼 宏和)