2011年1月24日月曜日

『経営者の条件』⑰―最終回

意思決定の続きです。


ステップ3: 何が正しいかを知る。

・やがて妥協が必要になるからこそ、誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならない。



ステップ4: 行動に変える。

・決定において最もこんなのは必要条件の検討、最も時間のかかるのが決定を行動にいつす段階。

・決定の実行が具体的手順として誰か特定の人の仕事と責任になるまでは、いかなる決定も行われていないに等しい。


・企業の経営方針には多くの場合、行動のための措置が盛り込まれていない。実行がだれの仕事にも、誰の責任にもなっていない。そのため単なるお題目と盛られている。


・「誰がこの決定を知らねばならないか」「いかなる行動が必要か」「誰が行動をとるか」「その行動はいかなるものであるべきか」

・意思決定を実施するためには、行動する人の能力に見合ったものにする。

・決定を実施に移し成果をあげるには、往々にして関係者が行動、習慣、態度を変える必要がある。



・ステップ5: フィードバックを行う。

・最善の決定といえども間違っていることがある。大きな成果をあげた決定もやがては陳腐化する。

・軍隊では決定を行った者が自分で出かけて確かめることが唯一の信頼できるフィードバックであることが知られている。

・自ら出かけて確かめることは、決定の前提となっているものが有効か、それとも陳腐化しており決定そのものを再検討する必要があるかを知るための最善の方法。


・意思決定とは判断である。いくつかの選択肢からの選択である。


・成果をあげる者は事実からスタートできないことを知っている。誰もが自分の意見からスタートする。しかし意見は未検証の仮説に過ぎず、現実に検証しなければならない。

・成果をあげる人は何よりもまず問題の理解に関心を持つ。


・何もしないと事態が悪化するのであれば行動しなければならない。急いで何かをしなければ機会が消滅するのであれば思いきって行動しなければならない。



以上で、経営者の条件の要約を終わります。


今回はとても長く連載しましたが、本書はとても重要なため、なるべく削る部分を少なくしました。

ドラッカーのこうした名言の数々は、実地の検証が必要です。時代の違い、国の違い、大企業と中小企業の違い等を調整することなく、そのまま使うと変な結論になるものもありますが、あえてそのまま載せてあります。


ドラッカー経営とは、こうした原則を自身が直面する現実に当てはめても正しいかを考えながら実行していくことであると思います。



(浅沼宏和)