2010年7月25日日曜日

書評 「佐藤可士和のクリエイティブシンキング」①

『佐藤可士和のクリエイティブシンキング』日本経済新聞社、2010年 定価 1,575円


クリエイターでありながら卓抜したマネジメント観を持つ、佐藤可士和氏の近作です。

佐藤氏の視点は相変わらず斬新で、いわゆる経営コンサルタントの著作より示唆に富んでいます。

以下、概要をまとめます。


その前提は正しいか?-疑うことがクリエイティブの出発点。ビジネスの本質にさかのぼって考える。
「頭の中を言語化する」という作業は大切。
・人間同士はたやすく理解し合えない。
・ブログやツイッターは自分の気持ちや考えを整理したいという側面を持つもの。


・日本の伝統技法『見立て=あるものを別のものになぞらえる(比ゆ)』は大切。
・まずは自分の仕事を別の何かにたとえてみよう。
自分の仕事を何かの形に表してみる。本質をシンプルに表せば表すほど、ビジュアルが持つ力が発揮される。これを企業規模で行いきちんとデザインするとロゴマークになる。

表現するとは、記憶をコントロールし、組み立てていく作業。
・気になるものがあれば、タグ(ちょっとした説明)をたくさんつけてみる。意味のビジュアル化。

・プレゼンテーションは本質的なコミュニケーション能力がものをいう。共感を得る手段。
・プレゼンは自分がその問題に対して考えてきたプロセスを順を追って率直にしゃべる(佐藤流)
・プレゼンで共感を得るにはリアリティがポイント。

・消費者の実態がつかみにくい時代になった。
・時代のキーワードはリアリティ
・表面的であきられやすいトレンド(流行)ではなく、より本質的で現実の生活にフィットする感覚で消費者の心を自然にとらえる。


お客様の目線世間の目線は違う。企業はお客様の目線を気にするが、もっとシビアでドライな世間の目線を忘れてはいけない。
・「お客様の目線」は、どうしても企業の都合や業界内の常識から離れられず、実際の世間のニーズとは微妙にずれる。


・80-90年代は広告は見てもらえるものというのが常識だった。今は違う。見てもらえなくて当然の時代。
・一般客としてのファーストインプレッション(第一印象)が大切。
・選択肢がたくさんありすぎるとお客は選べない。


・今は何でもメディアになる。例-コンビニの陳列棚もメディア。どのように見えるかが勝負。
・90年代までの説得型の広告から、提案型の広告(こういうものはいかがでしょうか?)の時代になった。
・いい商品を開発しても、それを伝える方法が適切でなければヒットにはつながらない。