2009年11月26日木曜日

ドラッカーの評価

ドラッカーが提起したといわれる概念は多岐にのぼります。「経営戦略」「民営化」「知識労働者」「目標管理制度」等は彼の提唱した言葉として知られています。




またマーケティングの大家、レビットやコトラーに先立ってその重要性を指摘したのはドラッカーです。
経済学の分野でシュンペーターの主張したイノベーションの重要性に着目し、マネジメントの中心的概念として新たに位置づけたのもドラッカーです。



彼はこのマーケティングとイノベーションの二つだけが企業の成果を生み出す活動であると提唱し、それは企業の外に対して働きかけるものであると断言しました。
つまり企業の内部にはコストしか存在しないわけですから、それまで曖昧であった経営者が持つべき視線の方向がはっきりしました。



ドラッカーはマネジメントのあらゆる分野について原則を述べ、現代のマネジメントの骨格を一人で築き上げたといってもよいほどの実績を残しました。
特に1954年の著作『現代の経営』は史上初めての体系的なマネジメントの書物として有名で、そのためドラッカーは「マネジメントを発明した男」と呼ばれています。



これほどの足跡を残したドラッカーですが学会での評価は必ずしも高くありませんでした。
彼が経営者向けの著書やビジネス誌を中心に書き続けていったため、いわゆる学会誌における実績がなかったのです。そのため経営学の専門書の多くにはドラッカーが登場しません。
世界の経営者の圧倒的な支持と実に対照的で状況です。
研究者の世界の特殊性を感じざるを得ません。



しかし、ドラッカーが世を去り生誕100周年を迎えた今年になって変化の兆しが見えてきました。
その最たるものが経営専門雑誌『ハーバード・ビジネス・レビュー』の11月号が大々的にドラッカーの特集を組んだという事実です。
同誌はその名のごとくハーバード大学のマネジメント専門誌です。



大学の頂点に君臨するハーバード大学の影響は大きいと思います。
これは経営学の世界がようやくドラッカーを認めようとしていることの表れのような気がします。
この顛末は今後も注目していきたいと思います。