2012年1月20日金曜日

行動の意味-意識的かどうかがポイント

マネジメントの意味の補足です。

私の考えるマネジメントの定義は

外に向けて最大限の良い影響をもたらすように頭と体を意識的に使うこと


です。

頭と体を意識的に使うことが「行動する」ということです。

ここでポイントになるのが「意識的」という部分です。

無意識に行っていることは行動ではなく「動作」と考えます。

もちろん、ある成果を目指して確立された動作が必要である局面は多いでしょう。

しかし、その動作が目的意識を持って行われていないのであれば、それは惰性であって行動とは言えないものと考えます。


(浅沼  宏和)

マネジメントの定義

最近、ドラッカーセミナーをやる回数が多くなりました。
出だしは「マネジメントとは何か」なので、年初に当たり改めて定義してみたいと思います。

まず、マネジメントとは「経営する」ことではないということです。

「経営する」では具体的な行動に結びつきません。

マネジメントはもっと広い意味でとらえる必要があります。


私がドラッカーを読み込んで行った定義は

マネジメントとは「最大の成果をめざして行動する」ことです


さらに詳しくすると

成果とは 外に向かってプラスの影響を与えること

行動するとは 意識的に頭と体を使うこと

です。

つまり、改めて定義しますと

外に向けて最大限良い影響を与えるように、意識的に頭と体を使うこと

です。


とすると、「あなたが昨日あげた成果は何ですか?」と答えられない場合には、この定義からすると「意識的に」という部分が欠けているということになります。



(浅沼 宏和)

2012年1月12日木曜日

時間は最も強力な指標

ドラッカーは「まず時間から始めよ」という名言を残しています。

マネジメントは成果をあげる取り組みのことですが、現代社会では成果をあげるプロセスの「見える化」が困難です。

唯一見えるのが時間なのでここから始めるということです。

ポーターのマネジメント論は、科学的管理法の創始者であるテイラーを元にしています。

ですから当然時間重視です。


一人が年間に働く時間は普通の企業で2300~2500時間です。

これが成果の上限を定める制約です。

これより多い企業は、長時間労働による「間のび」が問題になりますし、逆に少ない場合は成果への意識の高さが問題になります。

製造業は、テイラー理論に近い業種なので結構できていますが、サービス業は緩いですね。

国際的にもそのようにいわれているようですが。



(浅沼宏和)

2012年1月8日日曜日

コメダ珈琲の提供価値は意外にわかりにくい

名古屋を中心としたチェーンの珈琲店であるコメダ珈琲の業績がよいということです。

ここ数年、浜松でも目にするようになったのでコメダの強みには関心を持ってきました。

ドラッカー流に言うならば

  1. 顧客は誰か?
  2. どんな価値を提供するのか?
  3. どうやって売り込むか?

について、漠然とはわかるのですがハッキリと言葉にするのが意外と難しいモデルと感じていました。

とあるコンサルタントは次の二点をあげています。

-地域の特色に合わせた長居戦略をとっている


-顧客満足を高めていく、商品戦略~店舗の内装やメニュー

もっと砕けた表現にした方がしっくりきそうな気がします。
ちなみに面白い分析がのっているサイトをご紹介します。


このように砕けた経営分析こそが役に立つと思うのですがどうでしょう。

(浅沼 宏和)

2012年1月7日土曜日

ポーターのダイヤモンド理論で今の日本を考える

現在、マイケル・ポーターの入門書を執筆中のため、ここ半年ほどはポーターの著作の精読に明け暮れています。

ポーターの競争戦略論は、業界への関心に始まって、「業界」⇒「活動」⇒「立地」⇒「社会」へとその重点を移しながら発展してきました。

その立地にかかわるフレームワークがいわゆるダイヤモンド理論です。

ダイヤモンド理論とは簡単に言うと、ある国の競争優位をささえる4つの重要な条件に注目することです。

4つの点を結ぶとダイヤモンドのように見えるのでそのように呼ばれています。

その4条件とは

1、要素条件‥ヒト・モノ・カネや物流・科学技術等のインフラ。質と専門性の高さがポイント
2、需要条件‥国内需要の質と量。特に高レベルの要求をする顧客がポイント
3、関連産業・支援産業‥周辺の産業のレベルの高さがポイント
4、企業戦略・競争‥お国柄に合った経営スタイルがポイント

です。

日本の場合、

1、資源の少なさを克服しようと頑張ってイノベーションを起こした
2、世界一要求水準の高い消費者
3、すそ野の広くレベルも高い下請け企業群の結束
4、「日本式経営」と呼ばれる独自の経営スタイル

がピタリとかみ合った高度経済成長期に一気に先進国に登りつめました。

しかし、現在、これらのすべてが崩れつつあります。

1、ハングリーさを失ないつつある労働者
2、ガラパゴス化しつつあニーズ
3、急速な海外シフトによる下請け企業群の解体
4、時代の変化への経営スタイルは経営環境の不対応

とまとめることができると思います。

こうして論点を具体的にして取り組むのが政治の役割であり、企業が行うべき貢献でしょう。


(浅沼 宏和)

2012年1月5日木曜日

ハーバード大生の時間についての教訓

ハーバード大生の時間意識の高さがあまりにすばらしいので転載させていただきました。
右は朝の4時の図書館の風景だそうです。

下記の項目はその図書館の壁に貼ってあるそうです。





⒈今、居眠りすれば、あなたは夢をみる。今学習すれば、あなたは夢が叶う。


⒉あなたが無駄にした今日はどれだけの人が願っても叶わなかった未来である。

⒊勉強に励む苦しさは今だけであり、勉強しなかった苦しさは一生続く。


⒋学習は時間がないからできないものではなく、努力を欠くからできないものである。


⒌時間は絶えず去りつつある。

⒍勉強する時間が足りないことは決してない。努力が足りないだけである。

7.幸福には順位はないが、成功には順位がある。 


8.学習は人生の全てではないが、人生の一部として続くものである。


9.学習する事が人生の全てとは言わないが、学習すらできぬ者に何ができるのであろうか。


10.人より早く起き、人より努力して、初めて成功の味を真に噛みしめる事ができる。

11.怠惰な人が成功する事は決してない、真に成功を収める者は徹底した自己管理と忍耐力が必須である。

12.時間が過ぎるのはとてもはやい。


13.今の涎(よだれ)は将来の涙となる。


14.犬の様に学び、紳士の様に遊べ。 


15.今日歩けば、明日は走るしかない。


16.一番現実的な人は、自分の未来に投資する。 ‎

17.教育の優劣が収入の優劣 ‎。


18.過ぎ去った今日は二度と帰ってこない。

‎19.今この瞬間も相手は読書をして力を身につけている。 ‎


20.努力無しに結果無し。


出所はコチラ⇒ http://product-empresario.blogspot.com/2012/01/blog-post.html




(浅沼 宏和)

2012年1月4日水曜日

落合監督のプロフェッショナル論

3回にわたって落合監督の著書をご紹介しました。
落合監督のプロフェッショナル論とドラッカーの共通点を私なりにまとめると


1、プロは全力を尽くす

2、努力ではなく成果に焦点をあげる(結果がすべて)

3、(結果について)責任を負う


といったことになると思います。

もちろん、勝負師である落合監督の方がドラッカーが入っていることよりも厳しいですが、本質的にはほぼ同じ考え方であると思います。

逆に、「プロ野球選手よりもビジネスマンの方がより厳しい世界で戦っている」 と落合監督は述べています。

勝負を突き詰めることは、とことん合理的な行動です。落合監督は「理屈からするとこうなるはずだ」ということを極めているようです。

あの小さな体格で大男たちに混じって傑出した成績を残したのですから、頭はフル稼働させていたのですね。

また、余談ですが、本書の中で落合監督の現役時代に世間では「落合は外角打ちが得意だ」「外角をホームランにする技術がある」と信じられていたのがウソだったという話が面白かったです。

落合監督は小柄なので、外角をさばく体力は実は無かったのだそうです。そこで真ん中より手前の球を体をくるりと回す技術だけで処理していたということです。

内角の球をライトに運べるはずがないという先入観を持っていた評論家たちが、ライトへのホームランを見て勝手に「外角打ちがうまい」と誤解したのだそうです。

この誤解があったので、ピッチャーが内角に投げてくれたおかげで技術が活かせたのだそうです。

この秘密は現役時代には家族にも話さなかったということです。

「ここまで考え抜いていたのか」と驚かされました。

落合監督に限らず、超一流のプロフェッショナルの言葉はドラッカー理論ととてもなじみます。

今後も、折に触れて分析していきたいと思います。



(浅沼 宏和)

2012年1月3日火曜日

落合博満 「采配」 ③

続きです。

41. 現場の長は、「いつも」ではなく「たまに」見る。



42. 情報管理こそ監督の仕事。


43. 身内から嫌われるのが監督という仕事。


44. チームリーダーという存在によって、競争心や自立心が奪われていくことは、組織に置いてリスク以外の何物でもない。


45. 自分の腹の中を読まれてはいけない。それがプロフェッショナルの仕事である。


46. 今日の戦いに全力を尽くさなければ、明日も来年もないだろう。常に全力を尽くすことは明日に希望を見出すことだ。


47. 自分を大成させてくれるのは自分しかいない。100回バットを振った奴に勝ちたければ、101回バットを振る以外に道はない。自分で自分を成長させた選手がレギュラーの座を手にしていく。


48. 自分から練習に打ち込んでいる間は、オーバーワークだと感じてもストップをかけるな。


49. いい結果が続いている時でもその理由を分析し、結果が出なくなった時の準備をする。負けが続いた時もその理由を分析し、次の勝ちにつなげられるような負け方を模索すべきだ。


50. 組織を預かるものの真価は、0対10の大敗を喫した次の戦いに問われる。


51. 勝負の世界では一番と二番は天国と地獄の差がある。


52. どんな仕事でも、目立つ成果を求めるのなら、それに見合ったバックアップが必要だ。


53. 模倣とは一流選手になるための第一歩だ。


54. 「初」には大きな価値がある。


55. 歴史を学ばないことはその世界や組織の衰退につながる。歴史を学ぶことは同じような失敗を繰り返さないことにもつながる。


56. レギュラー、つまりチームにとって必要な人材の甘えを断ち切っておく。


57. 自分の職場に「居心地の良さ」を求めるな。「目の前にある仕事にしっかり取り組む」と割り切るべきだ。


58. 極論から物事の本質を見直してみる。


59. 勝ち続けることに全力を尽くす。


60. 世の中がどんなにスピーディーになっても後進や部下の育成には必要な時間をかけなければならない。


61. 監督がひとつの方向性を明確に示さなければチームは動きようがない。


62. 「絶対的な基本」はあるが「絶対的な方法論」はない。


63. リーダーにとって大切なのは、仕事を引き継いでいくことよりも自分自身の方法論を部下に明確に示すこと。


64. リーダーは、自分の属する世界への愛情、情熱、変革しようとする意欲で選ぶのがよい。



(浅沼 宏和)

2012年1月2日月曜日

落合博満 「采配」 ②

続きです。


21. 「今、一番大切なことは何か」だけは見誤ることなく、そこでの最善の手を打たなければならない。



22. 仕事では契約はすべてに優先する。行動を起こす前に「自分はどこと契約しているのか」「自分の仕事は何なのか」をしっかり見据え、優先しなければならない。


23. ただひたすら勝利を目ざしていくこと。そのプロセスそのものが人生だ。


24. レギュラーになって活躍するには①できないことをできるまで努力し ②できるようになったらその確率を高める工夫をし ③高い確率でできることはその質をさらに高める


25. 「手抜き」、つまり自分のできることをやらなかった時にはしかる。注意しなければ気付かないような小さなものでも「手抜き」を放置するとチームには致命的な穴があく。


26. 組織を統括するようになったら、部下たちに方法論を示し、それで部下を動かしながら成果を見せてやることが大切だ。


27. 好きにやることのは責任が伴う。好き勝手とは違う。それは「自分で考え、自分なりに行動すること」に他ならない。


28. 「特別扱い」ではなく「大人扱い」をする。自由が最大の規律になる。


29. 一芸に秀でた若者にはいい意味で将来の成長度合いを創造しきれないという魅力がある。


30. 平均点の中から一芸を磨き、スーパーサブという存在になるのも一つの手だ。


31. 厳しいことを言ってくれる人の言うことほど、しっかりと聞きなさい。


32. 高い技術を持っている人ほど、その難しさを熟知しているのでシンプルな表現を使おうとする。


33. プロだからこそ見なければわからない。プロだから見なくてもわかるという人は、自分が経験したもので時間が止まっている。


34. 自分の仕事だからこそ、まだまだ知らないことがあるはずだという謙虚な姿勢を持ち、仲間、ライバル、同業他社が何かに取り組もうとしている際には、深い関心を寄せながら観察してみるべきだ。


35. 自分にない色(能力)を使う勇気が、絵の完成度を高めてくれる。


36. 普段と違うのではないかと感じることができれば頭がその理由を探ろうと働き出す。固定観念を取り除けば多くの情報を得られることが多い。


37. レギュラークラスの選手からは「慣れによる停滞」を取り除かなければならない。


38. チームの勝ち負けの責任はすべて監督にあるが、自分の残した数字の責任は選手本人にある。


39. 競争で答えを出せなければ競争相手はどんどん増えていく。


40. 必死に競争した選手は心身ともにタフだ。

 
 
 
(浅沼 宏和)

2012年1月1日日曜日

落合博満 「采配」 ①

落合監督の著書の内容はドラッカーの仕事論にとても近い内容です。

概要をまとめてみました。

ドラッカーの仕事論と極めて似ています。

ポイントは「自力」「努力」「責任」です。




落合博満著 『采配』 ダイヤモンド社、2011年


1. 一人で決めねばならない。孤独に勝てなければ勝負には勝てない。



2. たとえ自分がうまくなっても、ライバルがもっとうまくなったら自分の地位は変わらない。そう実感すれば、今自分がすべきことが見えてくる。


3. 社会、あるいは組織に必要なものは「能力」である。「俺は一生懸命やったのに」と憤慨しても道は開けない。


4. 前向きにもがき苦しむ経験は、すぐに結果に結びつかなくても、必ず自分の生きる力になっていく。


5. 自分自身を適性のある世界に導く才能、セルフプロデュースする能力が必要だ。そのためには普段から目の前の仕事にベストを尽くすことが条件だ。


6. 練習でできないことは試合でもできない。


7. 1年でも長くユニフォームを着ていたいなら、休むということを考えてはいけない。


8. 「不安だから練習する」というのが原則。


9. 心技体ではなく体・技・心の順番である。体とは仕事をしていく体力である。技術を持っている人間は心を病まない。技術を身につけて自信を身につけるしかない。体・技の順序で強くなれば、心もタフになっていく。


10. 予習はいらないが徹底した復習が必要だ。飲み込みの早い人は忘れるのも早いことが多い。自分を不器用だと自覚している人ほどしっかりと復習する。


11. 仕事では自分のスキルを成熟させながら3つの段階の戦いに直面する。それは自分、相手、数字だ。数字と戦えるようになれば本当の一人前、一流のプロフェッショナルということになる。ただし、数字と戦うことは一流のプロでも容易ではない。


12. 3割を超えららない選手は3割を目標にしているケースがほとんど。3割の壁を突破していく選手は一度も3割をマークしていないにもかかわらず、3割3分当りを目ざしている。


13. 大きな成果を得るために何かを犠牲にすることもある。自分の目標を達成したり、充実した生活を送るためには必ず一兎だけを追い続けなければならないタイミングがある。


14. 選手は育てるのではなく、自分で育つものだ。自力があってこそ一流を目ざせる。


15. 一流には自力でなれるが超一流には協力者が必要。


16. 30代で何をしていくのかが極めて重要。20代ではしっかりした土台を築き、充実した30代にしていくべきだ。


17. 勝てない時は負けない努力をする。負けない努力が勝ちにつながる。


18. チームスポーツで「仕事をした」といえるのは、チームが勝ったときだけである。


19. 責任ある立場の人間は、この瞬間に最善と思える決断をするしかない。そこがブレてはいけない。


20. 勝利の方程式ではなく勝負を少しでも優位に戦っていくための原則論が必要。パーフェクトな理想を描き、それに一歩でも近づいていけるように現実的な考え方で戦っていく。

 
 
(浅沼 宏和)