2009年12月11日金曜日

ドラッカー流コスト管理②

コスト管理の要諦は「対業績比」です。




昨日のブログに事例を3つあげました。



① 受注半減で仕事終了が2時半


② 修理1件でも3件でも終業ぎりぎりまで作業する


③ オフィスなどで残業終了時間がいつもみんな一緒



経営者の方はすぐ問題の所在が分かると思います。

ですが現場の方はあまり気に留めない現象ですね。
似たような話を非常によく聞きます。
まさに「経営者目線の欠如」です。
現場の方たちには、まずここを理解してもらう必要があるでしょう。





まず①です。

始業8時で終業5時とすると、仕事量が50%なら午前中で仕事が終わるべきです。

2時半までかかるということは、仕事が薄いので終業時刻に間に合わせようとする緊張感が抜けて作業の間延びが発生しています。対業績比が低くなっています。




次に②です。

基本的には①と同じです。1日3件分処理できる能力がありながら仕事が少ない時は終業時刻に合わせて仕事をスローダウン(間延び)させています。

工程が「見える化」されている製造業と異なり、サービス業などで起きがちな現象です。

サービス業では仕事量に合わせてペースを無意識に調整することがおこなわれます。

こうした仕事ぶりでは実質的な手空き時間が隠されてしまいます。





最期に③です。

これは作業能率の最も遅い人間に他のすべての人間がペースを合わせていることを意味しています。現場におけるモラル・ダウンの兆候です。

仕事量が同じ場合、有能な人ほど早く終わります。
最もレベルの低い水準に合わせた仕事ぶりは対業績比を悪化させるでしょう。



上記のような現場、オフィスには前向きなリーダータイプの人材(中核的人材)がいないのかもしれません。
人的資源の問題も浮き彫りになっています。



コスト管理という観点からは、お客様の満足に直結する作業最速かつ正確にこなすことが絶対不可欠です。



上記のいずれの場合に関しても、各人が最速で仕事をこなしていくと手空き時間が発生します。

ドラッカー式コスト管理では、まず最速で仕事をこなしたうえでの手空き時間を見えるようにすることが必要と考えます。



その手空き時間をどのように活用するかは別の経営課題として認識するわけです

これをドラッカーは「浪費的コスト」と名付けています。



経営者目線で見る場合、コストを類型化する視点が大切になります。次回はそれについて解説します。