論者は神戸大準教授・長田貴仁氏です。
そこで特に評価されていたのが、沼上氏の次のような考え方です。
コンサルタント会社などが過去の概念や理論とのつながりを重視せず、次々と新しい経営戦略を提唱してくる。
これでは実務家は混乱してしまう。
その点、学者はそれらを整理することができる。
二つ目は、現実的な問題を解明するために、他の学問分野から理論的アイディアを輸入・加工し、新たな経営戦略の理論を構築できる。
そして、
特に経営戦略の思考法は、総合的かつ最終的な経営判断である。それを鍛えるには過去の蓄積を学ぶことが有益なのではないだろうか。
という部分です。
多くの実務的経営戦略書は、その理論が経営手法全体の中でどのような位置づけなのかを十分に説明しないで、「とにかくこの通りやりなさい」というスタンスを取っています。
私はかねてよりこうした状況に違和感を覚えていました。
ですから沼上氏の本には共感するところが多かったのです。
以前に共同執筆した経営学の本を通じて、経営学の100年の歴史をまとめる機会がありました。
担当した範囲はわずか12ページでしたが、それを書くために経営学関連書籍をかなりたくさん読まなければなりませんでした。
*坂本光司・西浦道明『キーワードで読む経営学』同友館、2007年、税込2,625円
私は第2章 「主な経営学者・経営学説」の執筆を担当しました。
経営理論の良し悪しをある程度評価できるようになったので、沼上氏の突出した理論整理能力とその仕事の価値に気づき、書評を書こうと思った次第です。
ドラッカー理論は、沼上氏の分類によってもきわめて広い範囲をカバーする基礎理論であると位置づけられると思います。