2009年12月2日水曜日

ビジネス誌掲載

データエージェント社発行『近代中小企業』12月号の別冊『速習』向けに書いた原稿が出来上がってきました。

編集部からいただいたテーマの中から「環境整備」と「コスト管理」を選び執筆しました。

総務や経理の現場向けの冊子ですので、かなりやさしめな文体でまとめてあります。

今回、あえてこの二つのテーマについて経営者目線で書かせていただくこととしました。

「環境整備」や「コスト管理」は基本的には現場の活動という色合いが濃いものと思います。
経営者目線でこれらの活動をみるということは、大所高所からその戦略性を明らかにすることにほかなりません。

環境整備の戦略性というと思い浮かぶのは5Sでしょう。
トヨタでは5S活動のような環境整備を有名なカイゼンの前提と位置づけています(トヨタでは今は4Sと呼ぶようですが)。したがって戦略のとっかかりと言えるわけです。

しかし、多くの会社の5S活動が形骸化していることは有名です。
私はその原因が5S活動の抽象性にあると考えています。
「整頓」はものの置き場を決めるという基準設定が必要です。
「躾」は倫理的な概念です。
この抽象性が初歩的な段階である美観維持活動を阻害しているのではないかと思うわけです。

「見た目」だけを徹底すると環境整備は格段にやりやすくなります。
あれこれ細かいことを考えなくても美観だけにこだわれば相当大きな効果が得られます。
それを私は「2S直角平行」という概念に整理しました。

2S直角平行とは、まず、いらないものを捨てる(整理)、汚れホコリを徹底して取る(清掃)、後は見た目を直角平行に整える、だけなのです。
活動を絞ることで徹底性を追求できるわけです。
これは5S活動と両立できますからお勧めです。

またコスト管理についてですが、コスト管理=コストカット ではないというのが結論です。
ドラッカーも述べているのですが、経営活動というのは資源を投入して成果を得る活動です。
したがってコスト管理とは業績管理であるべきなのです。

業績管理の視点を持たないコスト管理は現場レベルではよいのでしょうが、経営レベルの活動としては問題があります。
安易なコストカットは既存事業の根幹を揺るがす場合もあるからです。

日常的な管理活動の戦略的意味合いを深く考えてみると新たな発見があると思います。