私はNPO法人東海マネジメント研究会、通称「マネ研」のメンバーで理事も務めております。
マネ研とは、マネジメントの理論と実務の両面に関心を持っている実務家、研究者の集まりで、おもに浜松で活動しています。
毎月1回の勉強会と定期的なセミナー開催、論文執筆を中心に活動しています。
セミナーは名古屋にある大学院や行政などとも連携して行っています。
メンバー各人の関心が違うため、未知の内容をお互いに学びあえる点に大きなメリットがあります。
なかなか多彩な人材が集まっていると思います。
*月例研究会は日曜午前中に開催しています
先日開催された12月の定例勉強会では私も報告させていただきました。
テーマは「フェルミ推定」です。
フェルミ推定というのは、ここ4~5年ぐらいで急速に認知度が高まったビジネス上の推計の方法です。
有名なコンサルティング会社の入社試験でよく出題されることから、できる大学生の間では常識になりつつあるテクニックです。
たまたま雑談で話題となったところ、会員の方で「初耳」という人が何人もいらっしゃったのでテーマとして取り上げました。
フェルミ推定は、フェルミという有名な物理学者の名前をとった俗称ですが、決して科学的なものではありません。
時間も情報も限られた中で、おおよその推計を行うことでビジネス・シーンにおける各種意思決定に役立てようというものなのです。
たとえばスターバックスの1店舗の売上を推定してみます。
基本的には 1日の売上=客単価×客数 になります。
また、客数は キャパシティ×稼働率×回転率×営業時間 となります。
キャパシティ×稼働率は、滞在客数で言い換えられるでしょう。
さらに、それを時間帯別で区分してみると精度が上がります。
客単価 滞在客数(1H) 回転率 持帰客(1H) 売上
朝 (3H) 400円 20人 1 4人 2万8800円
昼 (2H) 700円 50人 2 30人 18万2000円
午後(5H) 600円 30人 0.5 3人 5万4000円
夜 (4H) 400円 20人 1 4人 3万8400円
合計すると約30万円ということになります。
回転率は滞在時間の逆数です。平均2時間滞在すれば回転率は0.5です。
本当にこのような数字なのかはわかりません。
しかし、このように推計し、ひとつひとつの要素について新たな情報を得られればどんどん精度が上がってきます。
フェルミ推定はビジネス上のツールとして非常に実用的と言えます。
ポイントはひとつ、ざっくりとした基礎条件を想定し、あとは手早く計算することです。
*参考資料:東大ケーススタディ研究会『地頭を鍛えるフェルミ推定ノート』東洋経済新聞社、2009年