2013年1月23日水曜日

日常業務に埋没すると成果が出ない


仕事を計画する上で優先順位をきちんと決めることの重要性をドラッカーは指摘しています。

しかし、ビジネスパーソンを取り巻く日々の業務、つまり日常業務が彼を成果から遠ざけてしまうとドラッカーは言っています。

少し長くなりますが『経営者の条件』の中で該当する箇所を挙げてみます。

 
‥自らが成果をあげるよう意識して努力しない限り、周りを取り巻く現実が彼らを無価値にする。

‥彼は日常業務に追われ続ける。

断固たる行動をもって変えない限り、日常の仕事の流れが彼の関心と行動を決定してしまう。

 日常の仕事は、本当の問題点どころか何も教えてくれない

‥日常の仕事の流れに身を任せたまま、何を取り上げ、何を行うかを決定していたのでは、それら日常の仕事に自らを埋没させることになる。

 ‥彼らに必要なのは、本当に重要なこと、つまり貢献と成果に向けて働くことを可能にしてくれるものを知るための基準である。だが、そのような基準は日常の仕事の中からは見いだせない。
 

要するに日常業務が流れに身を任せるものであってはならない、意識的に成果に取り組む要素がなければならないということです。

最もそうした意識を持って仕事に取り組んだ時点で、それはもはや「日常業務」ではなくなっているのでしょうけれど。

ドラッカーの日常業務の説明は優先順位を決定する「緊急よりも重要を選ぶ」という原則の意味を理解する鍵になります。




(浅沼宏和)

2013年1月11日金曜日

ドラッカー講座の解説ーその2


仕事とは成果へのプロセスである

これは私がドラッカーの著作からまとめた一番短い仕事の定義です。


ドラッカーは仕事について正確には次のように言っています。

 
1:仕事を分析する

2:プロセスにまとめる

3:管理を組み込む

4:ツールを用意する

 
この4つの中では仕事そのものを表現するキーワードはプロセスです。ですからこれだけで仕事を定義するのが最も簡単なものになります。

そして、管理とはプロセスとしての仕事に組み込まれるべきものであり、ツールは合理的に仕事を行うために必要になると続くわけです。

 管理とツールはいわばプロセスとしての仕事で成果をあげるための付帯条件といった感じになります。

分析は仕事をプロセス化するための手段という位置づけになります。

 私はドラッカー理論を現場で使うためにはできる限り簡便な言葉に置き直したほうがよいと思います。

 簡略化によってこぼれ落ちるものも多いのでしょうが、私は実践で生かされることのメリットのほうが大きいと考えて、このように定義しなおしました。

 この定義でドラッカーの著作を読んでいくと大抵間に合います。

 また、必ずしも間に合わない場合もあるのですが、それは「知識労働」というものが成立した背景に関わるところで「テクノロジストの条件」に詳しい説明があります。

 

(浅沼宏和)

2013年1月9日水曜日

ドラッカー講座の解説-その1


ドラッカーを仕事で使うコツはなんでしょうか。

ドラッカーのマネジメント論は人によって捉え方が違いますが、要するに成果をあげるための考え方・行動の指針と捉えておけばよいでしょう。

 ドラッカーの著作を全て読み、内容を咀嚼してから仕事をするわけには行きません。

「なるほど!」と思ったものからドンドン取り入れていき、試行錯誤しながらレベルを高めることが実際的であると思います。

そこで、私なりにドラッカー理論実践のポイントをまとめてみました。

 
1: 悩んだ時は「実際に成果に結びつくか」という基準で判断する

2: 何を目指した行動なにかをはっきりと意識する

3: ドラッカーの言うことが納得できなければ従わなくてもよい。ただし、その理由がいえるぐらいに考え抜く

4: 成果が出ない場合には、考え方や行動を意識的に修正する

5: 成果が出た場合には、より次元の高い成果を意識する
 

このように成果を目指して「走りながら考え、考えながら走る」といった考え方が必要であると思います。

 ドラッカーを学ぶことが目的なのではなく、ドラッカーをツールとして使って成果をだすことが目的であるということです。


(浅沼宏和)