先日、ビジネスパーソン向けのデータベース用に中小企業のコンプライアンス問題についてまとめました。
著作権の関係がありますので、原稿をそのままHPにアップするわけにはいきません。
ですから概要だけ説明したいと思います。
コンプライアンスとは法令等を遵守することで、当たり前といえば当たり前の話です。
それでは、なぜ最近になってコンプライアンスが注目されるようになったのでしょうか?
その理由として、世の中の大きな流れとして許認可権を中心とした事前規制型の行政から、何か問題があった場合に厳しく非難される事後規制型へと制度が変化してきたことがあげられます。
また、情報化の進展やグローバリゼーションの進展により、世間の裏をかくような行為について市民の目が厳しくなったことも理由の一つです。
こうしたことからコンプライアンス体制を構築することは企業が長く存続していくうえで必要なこととなったわけです。
ここ10数年のニュースを思い返してみれば、世間に知れた企業の不祥事がセンセーショナルに報じられ、その後どれほど痛い目に会ったかを思い起こしていただければ納得されるかと思います。
さて、ごく簡単に説明しますと、コンプライアンス体制は2つの側面から考えると便利です。
一つは人の心に関するもの、もう一つは会社の仕組みに関するものです。
前者はいわゆる企業風土と呼ばれるものの問題です。
不正な行為に対する会社のスタンスはどのようなものでしょうか?
かつては「ばれなければ大丈夫」「建て前と本音は違うものだ」という議論がまかり通っていました。
現在、こうした考え方こそが経営上の大きなリスクになっているわけです。
そして、企業風土を決定づけるのは経営者の意識です。
企業風土の上限は経営者のモラル水準なのです。
コンプライアンス体制を決定づけるのは経営者の意識というのが通説です。
後者は、制度の問題です。
目まぐるしく変わる法令等に対してすべて完ぺきに対応することはかなり困難です。
まして資源に大きな制約のある中小企業の場合にはなおさらでしょう。
そこで、セカンドベストなやり方として主要な法令等を中心にして、後はその企業の直面する特有の事情を加味したチェックリストを作成するのが有効でしょう。
特に大きなリスクをつぶしていくことが実務的には有益であると思います。
そのための体制を専門的には内部統制と呼びます。
これは以前は会計用語でしたが、会社法にも取り入れられ、今ではビジネスシーンにおける日常語になっています。
内部統制が注目されている背景には「やるべきことをやっていることが目に見えるようにしておく」という考え方があります。
何かあったときに内部統制がしっかりしていなければ責任を免れないわけです。
中小企業が求められるコンプライアンス体制は、「完ぺきな体制」ではなく「最大限の努力を払っていることがうかがわれる体制」といえるでしょう。