2009年12月4日金曜日

ドラッカー流戦略的事業計画

ドラッカー経営を実践する難しさはその体系的な壮大さにあると前に書きました。




しかし、ドラッカーのマネジメント理論が初めて有名になってから(1954年)、だいぶ時代が下ってきましたから徐々にその実践形式が出来上がってきています。



ごく簡単に事業のマネジメントの概要を述べると、会社の使命を定義して、それを実現するためにマーケティング、イノベーション、生産性、利益等の目標を定めて、その達成のためのアクションプランを作り、実行し、評価し、修正してまた実行するサイクルを回すことになります。



こうしたサイクルについてドラッカーは多くの有力な論者の協力のもとに『経営者に贈る5つの質問』という簡略な形式を提起しています。その中で事業戦略を明確にする簡単な形式を明らかにしているのです。



英語圏のサイトをvission、missionで検索してみると、このタイプの経営戦略を構築して公にしている組織が多いことに気付きます。


日本でもコンサルティング会社等がこのような形式で戦略を作っていて、その数は年々増えてきているようです。
この形式は今後、事業戦略・事業計画作成の大きな流れになると私は考えています。



『‥5つの質問』に記載されている、公共の美術館の事業戦略モデルの具体例は次の通りです。



市立美術館

ビジョン:世界の多様な美術品を市民の心の糧とする街をつくる


ミッション:市民と美術品との触れ合いの増大


ゴール1:美術品の収集と保全


ゴール2:展示、講座、出版による啓蒙


ゴール3:来場者の増加


ゴール4:設備の充実と運営の改善


ゴール5:財務基盤の確立



ゴールはこの美術館が目指している成果です。

この成果を目指してアクション・プランが作成され、実行され、その結果が評価されるわけです。

そして、そのアクション・プランができて初めて予算が意味を持つわけです。


この例を見ると簡単そうで、なんだか事業戦略がとっつきやすく見えてきますね。
実際はその内容を決めるまでに真剣な議論が必要なんでしょうけれど。




中小企業では実効的な予算や経営計画があまり作られていないようです。

それは上記のように数字以外の部分をしっかり考える手順を踏まないために、数字を作ってもなんだか空々しくなってしまうことが原因であるように思います。


やるべきことも決まらないままにいきなり予算を作ろうとしても難しいですよね。



現在、TMAコンサルティングではこのドラッカーのモデルに基づいた事業戦略・事業計画作成の形式の策定とその支援を検討しています。