ピーター・センゲ『持続可能な未来へ』日本経済新聞社、2009年 定価2,520円
センゲは「学習する組織」を提唱した有名な経営学者です。
私は以前に、現・法政大学大学院教授と編著である「キーワードで読む経営学」で、経営学100年の歴史をまとめた章を分担執筆したことがあります。
その執筆の際の大きな悩みの一つは、わずか12ページの制約の中で、どの経営学者を得fら部下というものでした。
センゲの「学習する組織」は非常に重要であると判断して取り上げたことを思い出しました。
センゲの考えは、組織が複雑かつ変化の激しい外部環境に適応するためには組織として学習する必要があるというものです。本書はそれをさらに広く社会の持続可能性に結び付けて検討しようとするものです。
今回の本のコンセプトは、現代社会の抱える複雑な諸問題についてマサチューセッツ工科大学の考案した「システム・ダイナミクス」という手法で解決を図ろうというものです。
私は現代的問題を「手法」で解決できるとは思わないのですが、センゲが学習する組織のコンセプトをさらにグレードアップする視点を提起しようとしている点には感銘を受けました。