戦略計画というのは1960年代ぐらいに米国の企業の間で流行したものです。今の経営計画の原型のような実務と言えばいいのでしょうか。
ドラッカーは戦略計画とはアクションプランであるという考えから、独自に定義を行いました。
ドラッカーの定義では、戦略計画とは
1、リスクを伴う起業家的な意思決定を伴い
2、その実行に必要な活動を体系的に組織し、
3、それらの活動の成果を期待したもの比較測定する連続したプロセス
であるとされています。
ドラッカーのマネジメント論は、成果の3つの領域のバランスを現在の視点(マーケティング)と未来の視点(イノベーション)によってとっていこうとするものです。
それと合わせて考えると、戦略計画とはマーケティングとイノベーションをアクションプランに落とし込み、実行し、評価するというサイクルを連続的に行う活動 といえると思います。
同じく戦略計画についてのコトラーの定義を見てみましょう。
戦略計画とは、組織の目標と能力と変化するマーケティング機会とを戦略的に適合させ、維持するプロセスである。
戦略計画プロセスにおいては、明確な使命を打ち立て、目標と目的との達成を支援し、正しい戦略を策定し、適切に実施しなければならない。
といっています。
「明確な使命」とはミッション・ビジョン・バリューといった概念で、ドラッカーもこれこそ経営者の本質的な仕事であると述べているものです。
いい廻し方と重点の違いはありますが、ドラッカーとコトラーはほぼ同じ考えであることが分かります。あえて違いを言えばドラッカーの方がよりイノベーションを意識していると言えるでしょう。
(浅沼宏和)