仲良くさせていただいている掛川の製造業S社の専務が、わざわざドラッカー関連の対談記事を送ってくださいました。
ユニクロの柳井正氏と本田OBで多摩美名誉教授の岩倉信弥氏との対談です。
タイトルもそのものずばり「ドラッカーと本田宗一郎 二人の巨人に学ぶもの」です。
まずは柳井氏の発言をそのまま抜き書きします。
彼の本を最初に読んだのは大学時代で、日本の経営者の間でドラッカーの本を読むのがブームのようになっていました。
読むとすごく役立つといわれていたので読んでみたんですが、その時は全然ピンとこないんですよ。
考えてみたら当然なんです。こちらに経営の実体験がありませんから。それなのに文字の上だけで読もうとしていたので、当たり前のことが当たり前のように書いてある、という程度の印象でした。‥‥
その後、柳井氏はユニクロの規模を拡大していき借金をしていく中でこれは大変なことになったと思ったそうです。
そんな時に改めてドラッカーの本を読み返して見ると、彼の言っていることがはっきり理解できるようになったと述べています。
これに対して岩倉氏も、ドラッカーの本を読んだ時に 「なんだ、これは本田さんや藤沢さんが経営の現場で実際にしてきたことじゃないか」 と思ったそうです。
ここから2人は「良い経営は普遍的だ」という考えについて語っています。いくつか印象的なことをまとめますと
・「企業の目的は顧客の創造」は当たり前のこと。会社はお客様のものである。
・ドラッカーは考え抜くことの大切さを強調。本田宗一郎もとことん考え抜けと教えていた。
・ホンダではとことん考え抜いて若くして経営者の目線を持てた人が役員になっていった。
・サラリーマン意識ではだめ。自分が会社という場所に「自営業」をしに来ているという感覚が必要。
・自分の強みは何かを問え。
・ユニクロは「全員経営」「グローバルワン経営」を標榜している。つまり世界中で一番良い方法で経営していくこと。本田宗一郎も同じような考え方であったように思う。
たしかに、偉大な経営者の行動はドラッカーの言葉で説明できるものが多いと思います。
しかし、柳井氏ははっきりと意識して特別レベルの高いドラッカー経営を実践しているように思います。
柳井氏の著作やインタビューはどれをとっても参考になります。
60年代70年代に活躍された日本の経営者には特にドラッカー信奉者が多かったと聞いていますので、これからはこうした事績についても目を向けていければと考えています。
(浅沼宏和)