2010年8月12日木曜日

書評 「企業とは何か」②

昨日に続いてドラッカーの「企業とは何か」を検討します。

本書には、ドラッカー理論の基本的概念のいくつかが詳しく説明されています。

いくつか取り上げてみたいと思います。

企業存立の要件

「まず組織として存続することが必要である。
したがって、利益をあげつつ財サービスを生み出すことが、企業を評価するうえでの必須の尺度である。」


大量生産の原理

①共通部品の集合としての製品設計
②初歩的作業だけで的確・迅速に生産できる部品の設計
③部品の生産と組立作業の統合(組織編成・生産工程設計・部品の流れの設計)
④多人数の訓練

あらゆる作業は大量生産の対象となりうる。


コストとシェア

業績の尺度としてコストとシェアを重視する。
コストは生産性の指標であり、生産性を低下させれば好況による増益があろうと責任が問われ、不況による減益があろうと評価されるべき。
消費者の意志こそ製品の客観的尺度であり、シェアはそれを示す。市場が縮小していてもシェアを増やすなら評価されるべき。


賃金の決定要因

「賃金についての客観的な基準はひとつしかない。生産性である。
 ‥生産性の向上によらない賃上げは欺瞞であり、やがて働く者自身に害をなす。」


利益について

・経済活動とは、その本質からして未来に対する賭けである。そこにはリスクが伴う。
利益とはリスクに対する保険料であり、生産拡大に必要な投資の原資である。

・利益以外に経済活動の成否の尺度がありうるとすることはナンセンスである。