東川仁『銀行融資を3倍引き出す!小さな会社のアピール力』同文館出版、2010年 定価1,575円
本書は中小企業の銀行対策本ですが、わかりやすく、しかも普段の経営で気をつける部分などの実践的な指摘があり、とてもよいと思います。
・決算書は過去のデータ。企業の強み、将来性、可能性は決算書に表れない。さまざまな長所を自分からアピールするべき。
・金融機関は忙しくなりすぎたため情報収集力が極端に落ちている。
・「ビジネスローン」という商品は決算書をコンピューターで分析するだけで融資を決定するため、行員の審査能力を落としている。
・支店長は「人間性の分かっている、付き合いの深い社長をなかなかむげにできない」と思っている。自分からつながりを作ろう。
・保証協会の保証のある融資ではなく、プロパー融資を狙うべき。
・企業が思うほど銀行はメインバンクとしての立場を気にしていない。融資量が一番多い銀行がメインバンクではない。
・メガバンクと都道府県のトップ銀行は特に「数字」と「実績」を重視する。
・取引銀行名で企業のステータスが上下する時代は終わった。複数の金融機関と付き合おう。
・年商5億円未満の企業は、最低でも1行の地域金融機関と付き合っておくべき。
・不景気で融資先が減っているメガバンクや地方銀行は、地域金融機関が重点先としている年商5~10億円程度の優良顧客に照準を合わせて攻勢をかけている。ただし、大事にされるのは初回取引時だけ。
・情報提供料の多さと融資成功確率は比例する。
・決算書に乗らない情報が融資を決める。(人事教育・新商品サービス・新規取引先・モチベーション・取り組んでいる経営改革・財務以外の自社の強み)
・「売り上げ見込み」「予想損益計算書」は不可欠な資料。
・資料を求められても怒るな、喜べ。
・同じ資料でも言い方一つで結果が変わる。一番に強調すべきは「資金調達を急いでいない」ということ。
・「しがらみ」を感じさせる人間関係構築が大事。会えば会うほど「しがらみ」ができる。
・キーマンは「融資担当役席」。月に一度は融資担当役席の顔を見る。
・融資担当役席に毎月面談できるツールが「月次事業報告書」。決算報告でさらに関係強化。
・頻繁に会えば貸し渋りも貸し剥がしも怖くない。ランクを分ける『心理的抵抗』とは構築された良好な関係。
・銀行が貸したくなる人のポイントは人間性。借りたものは必ず返そうと思っている人かどうか。
・まずは見た目を整える。
・当然行わなければならないことを普通に行う。5S、挨拶等は重要。
・有能な後継者の存在は無条件で有利に働く。
要するにきちんとした経営を行っていれば借りやすいということでしょう。