第二次大戦でアメリカ軍の参謀総長だったマーシャル将軍は、強みを生かした人事でアメリカを勝利に導きました。
マーシャルが1939年に参謀総長に就任したときには、第一線で戦える水準の将軍は1人もいなかったそうです。
あのアイゼンハワーですら、将来性が不明なただの少佐にすぎませんでした。
しかし、マーシャルは1942年の時点でアメリカ陸軍史上最多の将軍を手に入れていました。
不適格者はゼロ、二流の将軍ですらごくわずかでした。
ドラッカーによるとマーシャルは原則による人事を行ったということです。
‥たとえばマーシャルは、何度もジョージ・パットンをかばった。
パットンという野心的で自信満々の有能な戦時用の将軍が、平常時に幕僚の資質を欠くことによって不利をこうむらないようにした。
しかしマーシャル自身はパットンのような派手な軍人スタイルを嫌っていた。
『経営者の条件』より
前に、南北戦争の際のリンカーンやリー将軍のエピソードを取り上げましたが、同じ流れのものです。
強みを生かすには弱みに目をつぶるということです。
しかし、それである以上は成果には一層こだわる必要があります。
マーシャルは人事は賭けであることを知っていた。
しかし、何ができるかを中心に人事を行うことによって少なくとも合理的な賭けにすることはできるとしていた。
『経営者の条件』より
どれほど事前に強みを理解していたつもりでも、実際に仕事につけてみなければ成果をあげられるのかはわからないのです。
しかし、強みを意識することでその賭けに合理性が与えられるということです。
行き当たりばったりとは対極の人事です。
(浅沼 宏和)