成果をあげるためにはできることを中心に据えることが重要であるといいます。
リンカーン大統領は、最高司令官の人選にあたってグラント将軍の酒好きを参謀から注意された時、「銘柄がわかれば、他の将軍たちにも送りなさい。」といったという。‥
‥リンカーンは、飲酒の危険性を十分に承知していた。しかし北軍の将軍の中で、常に勝利をもたらしてくれたのはグラントだった。
‥酒好きという弱みではなく、戦いに上手という強みに基づいて司令官を選んだためにリンカーンの人事は成功した。
『経営者の条件』より
徹底的に強みを生かすという視点が大事であるということです。
ドラッカーは強みを生かす事例として他にもいくつかあげています。
① ‥普段は感情を抑えるリー将軍が怒った。
しかし、落ち着いたところで副官が「解任しますか?」と聞いたところ、全く驚いたという顔で、「ばかなことをいうな。彼は仕事ができる。」といったという。
② オペラの舞台監督は、プリマドンナが客を集めてくれる限り、彼女が何度かんしゃくを起こそうと問題ではないことを知っている。
最高の舞台を務める上で必要なかんしゃくであるならば、それを我慢することも舞台監督の報酬のうちである。
強みに焦点を当てることが成果をあげる秘訣ですが、この事例だけをみると当人に好き勝手に任せておくことが正しいのかと誤解を生じるかもしれません。
次回は、この点について検討します。
(浅沼 宏和)