当社で近々産休に入る社員がいます。
少しブランクを空けてまた仕事についてもらう予定ですが、その前に「自分がこれまで仕事をやってきてうまくできたことを整理して置いてください。」と指示を出しました。
今後は家庭の負担が増えますから、時間当たりより高い付加価値を出していく必要があります。
ですから、今までより一段レベルをあげた仕事ができるようになってもらおうと思っています。
ところで、その話の中で「好きなこととうまくできることは違う」という話もしました。
人は好きなことを中心に物事を考えがちですが、ドラッカーはそれは違うといいます。
お客様に求められ、喜ばれることでうまくできることに焦点を当てるべきなのです。
ドラッカーは、物理学者のアインシュタインが大変なバイオリン好きで、
「オーケストラのメンバーになれるほどの技量が得られるならノーベル賞と引き換えにしてもよい」
といったというエピソードを取り上げています。
彼は弦楽器を弾くことが好きで日に四時間も弾いて楽しんだ。
しかし弾くことはかれの強みではなかった。
彼は数学をやるのは嫌いだといつも言っていた。
しかし、彼が天才だったのは数学においてだけだった。
『非営利組織の経営』より
これは極端なエピソードですが仕事というものの本質を表していると思います。
似た話ですが、プロ野球の城島捕手は大変な釣り好きだそうで、釣り雑誌の連載も持っているプロはだしの腕前の持ち主だそうです。
あるインタビューで「釣りを職業にしたい気持ちがありますか?」と尋ねられて「野球と同じ年俸をもらえるなら釣り師になる」といっているのを見ました。
つまり城島捕手にとって、釣りの方が野球よりはるかに好きであるということです。
仕事でも好きなやり方で成果が上がらなければ、より成果の上がるやり方が強みであるわけです。
仕事は趣味ではありませんから好きなやり方ではなく成果のあがるやり方を選ぶべきなのです。
(浅沼 宏和)