ドラッカーは仕事は客観的に設計しなければならないと言っています。
客観的な仕事は適切な人事の前提でもあります。
そこでドラッカーは正しい仕事の設計のための原則をあげています。
① 適切に設計する
ときどき見受けられるのは、例外的な個性を持つ人のために設計された仕事を他の人にやらせることです。
こうした仕事は特異な個性に合わせて設計されていますから、他の人にやらせた場合、成果をあげることができないものとなってしまっています。
前職で実績のある人たちが次々と挫折する仕事は、仕事そのものを見直す必要があります。
② 多くを要求するか
どのような仕事であっても多くを要求する大きなものに設計する必要があります。
強みが成果をあげるためには仕事が大きく設計されていなければなりません。
どんな単純な仕事でも、要求されるものが変化します。すると仕事と人の不適合が生じます。
そもそも仕事を初めから大きくかつ多くを要求するものとして設計してあれば変化した状況の新しい要求に応えていくことができるというわけです。
③ その人にできることか
ドラッカーは潜在能力を重視し過ぎる人事考課制度について批判的です。
行うことができるのは現実の成果を評価するだけであるといいます。
現実に成果をあげることができることに絞って仕事を設計するべきであるといいます。
④ 弱みを我慢できるか
強みを生かすには弱みを我慢しなければなりません。
ドラッカーは、
危険な状況下においてリーダーシップが必要とされているのであれば、謙虚さの欠如には目をつぶり、ディズレーリやフランクリン・ルーズベルトを受け入れなければならない。
と述べています。
仕事には最適なものを当てなければなりませんが、逆に際立った成果をあげられない者は容赦なく移動させなければならないといいます。
これが強みを生かすことに伴う責任です。
(浅沼 宏和)