人を生かすためには人事が重要なポイントになります。
ドラッカーは適切な人事の前提として仕事を客観的な視点から構築することを主張します。
‥目の前の人事が人の配置ではなく仕事の配置として現れているから‥
‥仕事は客観的に設計しなければならない。人の個性ではなく、なすべき仕事によって設計しなければならない。
‥業績は、貢献や成果という客観基準によって評価しなければならない。‥さもなければ、「何が正しいか」ではなく「誰が正しいか」を重視するようになる。
‥人に合わせて仕事を構築するならば、組織は情実となれ合いに向かう。
『経営者の条件』より
強みを生かすことを強調し過ぎると、その人に仕事を合わせてしまうことになりがちですが、ドラッカーではそれはいけないと述べているわけです。
仕事を客観的に構築するとは、その組織の定める最終的な成果が何であるかに基づいて仕事を構築することです。
個人の強みは組織の最終成果に向けられなければ意味がないということです。
三人の石工のエピソードで、石工が「私は国一番の石積み仕事をしている」と答えた二人目の石工についてドラッカーは問題があると指摘しています。
なぜならせっかくの強みも組織の共通の成果に向けられていなければ意味がないからです。
(浅沼 宏和)